縁あって
少し前の話になるけれど、10年以上長く交際していた人と別れて、久しぶりのひとりになった。
10年以上付き合っていたけれど、その人と同棲する事はなかったことが唯一の救いかもしれない。
出会った頃の私は20代後半に入ったばかりで、将来的にも家庭を持ちたかったこともあり、初めから結婚前提のうえで交際を始めた。
それなのに、彼とは付き合えば付き合うほど一緒になる話はこじれていった。
原因は彼の複雑な生い立ちが関係して、最後まで結婚に対する考えが良いものにならなかったというのもあるし、私は仲の良い両親と家族で育ったゆえに、家族への理想が変わらないままだった。
つまり、お互い将来のビジョンが正反対のまま、寄り添えるような要素が一切なかった。
それでもお互い好きではあったから、一旦別れても半年でよりを戻した。
そもそも再び交際を始めた理由も、「次はちゃんと結婚を考えるから」と彼から言ってくれたからなのに、
結局結婚の話になると「忙しい」「それどころではない」「考えると言っただけ。するとは言ってない」と、逆ギレされることが増えた。
(ちなみに1回目別れた時の一番の理由はエスカレートしたモラハラに耐えらえなくなったから)
そのうち「結婚結婚って君は頭がおかしい。そこらへんのつまらない人間と同じだね。底辺で下流にいた君を見つけ出し引き上げた僕の事を感謝しなよ」と言われ、一般家庭で育ったのになぜかそれを罪のように言われ、
仲の良い友人と遊ぶ事すら誹られ、仕事の事も「大した仕事ではない」と馬鹿にされるようになった。
友人と会う約束をするたびに批難され、私を誘う友人の事を悪く言うようにもなった。おそらく、結婚についての女子トークをすることで私の考えが変わり彼から離れる事を恐れていたのだと思う。(今思うとDV臭がすごい……)
挙句の果てには私の人間性まで「くだらない」と否定をされ、
初めにお別れした時よりもグレードアップしたモラハラに気付いた私はようやく見切りを付け、何ともまぁしょうもないオチでその恋は終わった。
(当然その後、半年近くに渡り彼からのSNS監視→私のSNS感想やポエムが続く事になる。いわゆるロミオメールだ。もちろん全て無視しブロックをしたが)
彼との交際で今まで何が一番つらかったか。
それは、親にだんだん何も言われなくなったことだった。
けれどそれを見て、これは私の望んでいる幸せではない事にもようやく気付けた。
別れてホッとしていたのは、私よりも友人と家族だった。
付き合うたびに、私が楽しそうじゃなくなっていたこと。無理して彼をずっと庇っていたこと。
だけどそうしてしまう私の性格を誰よりも知っていて、止めると私が悲しむのが分かっていたから、敢えて何も言わない事にしてくれていたこと。
たくさん心配をかけていたというよりも、
自分が思うよりもたくさん心配してくれていた。
そう表現したほうがしっくりくるのかもしれない。
今は縁あって別の人と巡り合い、有難いことにもうすぐ入籍する。
それも10年近く前に出会った知り合いで、当時から今までもずっと「素敵な人だな。パートナーになる人はきっと幸せだろうな」という印象の人だった。
そして私が思うのと同じように向こうもそう思ってくれていたことも奇跡だった。まさか交際できるなんて思ってもみなかった、ということも。
お互いどんな人と交際していたかも話には知っているし、仕事を通じての出会いなので仕事ぶりや性格もよく理解してくれていて、人間性における信頼が土台にあったからか、いい雰囲気から交際に発展するのはとても早かった。
本当の話、前の彼と別れるに至る、目が覚めるきっかけになったのもその人だった。
飲み会で他愛もない話の中で、私の話をひとしきり聞いてくれ、その時にかけてくれた言葉にふと気づいたのだ。
今別れても、こんな風に言葉をかけてくれる人はまだいるのでは?少なくとも、今の彼はこんな風な言葉すらもう言ってくれない。
もう拘らなくても良いのかもしれない。
加えてちょうどその少し後に、彼との現状を相談した友人から「そんな風に酷い言葉を当たり前のように浴びせる人となんで付き合ってるの?そんな人の傍にちひろがいる意味なんてないよ」と言われ、完全に目が覚めた。
私が女友達と会って考えが変わり別れを告げられるという、まさに元彼が一番恐れていたことが起きたわけだ。
その翌日に元彼に別れを言い全てをシャットダウンし、数日後には結婚相談所にかけこんでいた。
もしかしなくても、自分にもっと優しくしてくれる人はいる!自分が尽くすだけじゃなく、尽くして大事にしてくれるような人はまだいるかもしれない!と一縷の希望を持って。
前の人と別れ婚活も行い、そうしたらその数か月後に何の巡り合わせか、結婚相談所とは関係なしに今の彼と交際する事となった。
思いもよらぬところから思いもよらぬスピードで、こんな縁が転がり込んでくるとは思わなかった。
彼にもちょうど交際している人はおらず、それに実は一度結婚を経験していたこともあり、自分がしっくりくるような人とじゃないともう一緒にいたくない、いなければ一人で充分と思っていたらしい。
お互いのタイミングと、色々と雑談する中で「もしパートナーとして寄り添うなら」と自分の求める人物像がマッチしていて、正直運命だと思った。
一緒にいるなら絶対にこの人、と彼も迷いもなく初めての食事で交際を申し込んでくれ、慎重派な私が迷うことなく「どうぞよろしくお願いします」と言える人だった。
交際して2ヶ月で家族に紹介してもらい、3ヶ月目頃から同棲し始めた。
そうして実際に一緒に生活してみたら、笑うネタ、嫌だと思う事。生活のリズム、美味しいと思うもの、家族への考え。
話すたびにもっと好きになっていくし、何より家庭価値観がパズルのピースのようにピッタリはまる。
不思議なくらいに、こんなに何もかもピッタリな人っていたんだ!と二人して驚いているほど。
(ちょっと余談。)
ちなみに私は30後半まで実家暮らししかしてこなかった、婚活ではめちゃくちゃ嫌煙されるタイプでしたが、自営業だったこともあり家事炊事掃除は母から子供の頃より仕込まれていたので、今のところ全然大変ではありません……。なんなら3人暮らしから2人暮らしに減ったのでめちゃくちゃ家事の量がラクです。
彼からは「今まで実家から出たことないって嘘でしょ?」疑惑をかけられているので、実家暮らしでも家の事は全部できたほうが良いかもです。
どっちにしろ両親亡くなったら一人で生きていくわけなので、なんなら近所の事情や自治会の引継ぎなんかも聞いておくとベストかなぁなんて思います。
何よりうれしかったのがプロポーズの時に、「自分はもう結婚なんていいや、こりごりだと思ってた。なんなら二度と結婚したくないと思っていた。けれどちひろとなら、もう一度結婚したいと思わせてもらえた。」と言ってくれた事だった。
そんなの、いくらでも私が幸せにする!と私の方から抱きしめにいくに決まってるじゃないか。
プロポーズもされて、親に顔合わせをするトントン拍子っぷりにお互い怖くなったほどだ。
先日、私の両親に挨拶に来た際に母がとにかく安堵してくれたことに、今まで実はずっと心配してくれていたんだなぁと、母の本当の気持ちをようやく知れた気がした。
長く付き合っていても解決しないことはあったのに、交際期間が短くても価値観が近く似ているとすんなり腑に落ちる。
そんな人がずっと近くにいたなんて、本当に縁というのは不思議だ。
今までの恋を経たからこそ心の器が大きくなれて、今の彼に見合うような人間になれたのだと思えば、全てありがたいなと思えるのだから私は本当に単純かもしれない。
そして世に言う「長く付き合った人と別れた次の恋は、あっという間に決まって結婚する」が当てはまり、なんだか不思議なものだなぁとぽかんとしている。
私の好きな本に松下幸之助の「道を開く」があり、何か立ち止まるようなことがあると読んでいる。もちろん新居にも持って行っている一冊だ。
その中で「縁あって」というくだりがあり、私はそこが一番好きだったりする。
最近は「縁あって」という言葉がよく頭の中をめぐり、今回の終わりと始まりも、そういうことなのかなと思った。
どんなに嫌な事も、楽しい事も、最終的に縁ある人に結びつくための「縁あって」なのかもしれない。何事も。
とりとめのない内容だけれど、ちょっとだけここ数カ月の出来事の整理も含め、アウトプットしておきたくて綴りました。(最終的にはのろけてすみません。これ書いてる本人以外全然面白くないやつやんって自覚在ります)
また書きたいことの練習のためにも、綴っていこうと思います。
ここまで、読んでくださりありがとうございます。