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短編小説 「タペストリー」

※以前に趣味で執筆していた短編小説です。
元々はお題にそった短編小説なので、原題は「おしゃべり」という作品になります。

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 時を経てもあんなに鮮やかなのは、織った彼女たちの想いが強く、美しかったからだ。


【 タペストリー  】 


「サヨはさ、全然自分のこと喋らないから何考えてんのか俺分かんない。もう別れよ」

え、と口から漏れた声は実際には空気に溶けただけだった。

2週間ぶりの彼氏とのデートは動物園で、まさに帰りのゲートを出てしばらく歩いたところだった。

隣を歩いていた彼が急に「ごめん、やっぱもう無理」と言い出して足を止めた。そして次に発した言葉がそれだった。

事態を飲み込めなかった、っていうのは少し嘘になるかもしれない。

だって彼から言われた瞬間どこかで「あぁ、やっぱりな。そろそろそんな気がしてた」って思ってしまったから。

だけど、ここで踏ん張らないっていうのも少し違うような気がして、ダメ元だと分かっていても「え、どうして?私、何かした……?」と彼の服の袖をつまんで引っ張った。けれどそれは逆効果だったのか素早く振り払われて、その素っ気なさにようやく私の胸が痛んだ。

「サヨが悪いわけじゃないよ。だけど、ごめん。もう無理」
「だから、理由を言ってよ」
「……多分、サヨは俺には勿体ないってだけだよ。もっと大人のやつと付き合ったほうがいいと思う」
「ちょっと、答えになってないよ」

「じゃあ正直に言う。他に好きな子が出来た」

あ、浮気したんだ。

彼の言い方にピンときて、次に頭を横からガツンと殴られたような気持ちになった。

振られたことはあっても、浮気を正直に告白されて振られたことは初めてだった。

「……そう……そっか……」

「そういうとこだよ!」

心がここにないのならしょうがないので引き下がるしかない。だからそう言うしかできなかっただけなのに、私のあっさりした言葉に腹が立ったのか、彼が吐き捨てるように続けた。

「結局、サヨだって俺のことそんなに好きじゃなかったでしょ。そう、そっか、って簡単にすぐ言えるってそういうことだろ。付き合ってもなかなか自分のことを話すでもなく、一年半ずっと俺の話聞いてばっかだし、今日だって動物園見たけど会話も弾むわけじゃなかったじゃん」

「それは……仕事で疲れてるのかなって思ったから、余計な会話やめようと」

「サヨにとって恋人ってなんなの?普通の会話を余計な会話って考えてんの?」

「そういうわけじゃないけど……」

そんなに言わなくたっていいじゃん。
反論したいのに、言えない私は弱い。

第一浮気したのはそっちなのに、どうして私が非難されなきゃいけないんだろう。

「とにかく、もう別れよう」

「ねえ、ちゃんと話をさせてよ」

「話?今更何の?今になって話すんのとか遅いだろ」

「だって、私が話したりすることそんなに得意じゃないの分かってくれてたじゃん」

「そんなのは付き合う前だろ。付き合ってから変わるかと俺も思ってたよ。だけど前より会話減ってたろ!?話も俺が切り出してばっかりで、サヨは全部頷くだけだったじゃん。そうして俺がいつも楽しいと思ってた?」

彼に言われたことは全部図星だった。

正直、話題は全部彼に任せていたし、彼がいつも楽しそうに話してくれるものだから自分が喋りたいタイプなんだなと解釈していた。

だけど、本当はもっと会話に乗ってきてほしいタイプだったんだと今になって初めて知った。


「それに、俺引っ越すから。申し訳ないけど、彼女と一緒に暮らすことになったから」

それは “もう二度とうちには来るな。お前の使ってる歯ブラシも洗顔も全部処分しておくから” っていう宣言とほぼ同じだと受け取らざるを得なかった。


嘘ばっかり。

なにが、浮気だ。初めから本気なんじゃん。

浮気のはずが、どうして「彼女」なんて言葉出るのよ。

同棲するだなんて、どうせずっと前から二股してたんだ。


今にも足元は崩れ落ちそうな感覚のくせして、しっかり踏みとどまっている自分のふてぶてしさが嫌になる。


* * * * * * * *


『本日は17時30分より国立博物館東洋館A展示室にて、「中央アジア更紗 心の美~いにしえの女性たちの手仕事~」の企画展について東央藝術大学 大学院美術史研究科アジア美術専攻のフカマチ教授による解説ツアーが開催されます。参加は無料です。お時間のある方はぜひご参加ください』


さっきまでのやり取りで頭がいっぱいになっていたところ、館内にアナウンスが響いた。

私の目の前には大きな赤い絨毯が展示されている。

だいぶ古いものでところどころ痛んでほつれていたり虫食いの穴跡もあったりするけれど、小鳥や鹿や馬や植物の蔓などの模様ははっきりと分かるし、色は褪せているとはいえ朱色が深くなったようにも思えて、綺麗と言われれば綺麗なものだった。

キャプションを見ると、シルクロードを渡って日本の天皇に献上された品らしい。

どうして目の前に赤い絨毯の展示があるのかというと、結局あれから恋人だった人には、何の反論もできないまま大人しく別れた。

彼はため息をつくと「言い過ぎた。ごめんな」と呟いたのを最後に私に背を向けて振り返ることなく行ってしまった。

私はそのまましばらく動けなくて、でも真っ直ぐ帰りたくもなくて、ふらふらと動物園前の広場を抜けて隣接する博物館へと何となく向かった。

もう夕方だし閉館してしまうかと思ったら、土日祝日は20時までやっているようだったのでそのままチケットを買って博物館に入ったのだ。


酷い顔をしているのが自分でも分かっているから、博物館の中でもなるべく人がいない方を選んでいたら、アジアの古美術の展示室に辿り着いていた。

時計を見るとツアーが始まるまで5分少しだった。
どうせ暇なのだから教授の解説とやらを聞いてから帰ろうと思い、隣り合う展示室へとのろのろと向かった。


ツアーがスタートとなる展示室は薄暗いけれど、展示ケースのガラスの蛍光灯が白いせいで展示品の織物の色味が鮮やかなほどだった。テーブルに敷くような縦や横に細長いものから、コースターくらいの小さな織物、大きな絨毯も展示されている。

解説ツアー参加者はざっと見て20人~30人程集まっていた。こういうものに初めて参加する私にとってその数が多いのか少ないのかよく分からなかった。年齢層はけっこう高く、若い人は藝大に通っていそうな学生くらいだ。

展示のショーケースの脇に控えめに立っている男性はおそらく教授だろう。担当の学芸員2名が解説のレジュメを配布していて、私も受け取った。解説項目はそんなに多くはなさそうだけど、教授の見解が書かれた文章がA4の紙いっぱいに2枚も綴られていた。

何となく目を通していると定刻になったようで、進行役の学芸員が前に出て話し始めた。

「本日はお集まりいただきましてありがとうございます。それでは東央藝術大学 大学院美術史研究科アジア美術専攻のフカマチ教授による『中央アジア更紗 心の美~いにしえの女性たちの手仕事~』の解説ツアーを始めます。それでは、フカマチ教授 宜しくお願いいたします」

拍手の音に包まれて、先ほど教授だと思った男性が会釈をしながら前に出てきた。

藝術大学の教授なんてどんな人なのだろうと思っていたけれど、こう言っては失礼かもしれないけれど普通のおとなしそうなおじさんだった。

濃い茶色のツイード生地のジャケットを着た教授は、
「ただいまご紹介に預かりました、東央藝術大学 大学院美術史研究科アジア美術専攻で教壇に立たせていただいておりますフカマチと申します。本日は休日にも関わらず、このようなマイナーな解説ツアーに足を止めてくださりありがとうございます」
と、落ち着いた声で流暢に挨拶をしながら笑いを取った。


「テーマは『中央アジア更紗 心の美~いにしえの女性たちの手仕事~』ということで、今回常設展のコーナーに展示されているのは主に18世紀あたりのものを中心に……」

解説が始まり、参加者たちがレジュメを確認する紙の音が静かに響いた。

レジュメの解説文を見る限り、どうやらウズベキスタンやイランあたりで作られた織物を中心に、それを作っていた当時の女性たちの暮らし、村や地域によっての織り方の違いなどを説明するらしい。

正直そこまで興味を惹かれた訳ではないので2枚もの長文を読む気力はない。だったら実際に耳にしたほうが何となく楽なように思えた。

それにもっと別のことを考えて頭の中の考えをどうにかしてしまいたかった。

教授は元々世界史が好きらしく、知り合いに遺跡発掘ツアーに誘われたのをきっかけに中央アジアに行った事、そこで地域の歴史資料館巡りをする中で織物の美しさに出会った事、気が付けば各村の織物を探す旅を計画していた事などを落ち着いた声ながらも、時折ゆるいユーモアも交えて話してくれた。

更紗とはどういった生地か。基本的な織り方や地域によって染色の色味が違ったり、村ごとによって受け継がれている文様の数は数えきれないほどある事を教授は説明してくれた。

各家庭で娘や嫁に受け継がれるその家の伝統の印があったり、模様が繊細であればあるほど価値が高く、献上品として他国の王家に行き渡ったりしたらしい。

だけれど高値で売れたとしても、作り手の女性たちには特別な報酬があるわけではなかった事など、展示されているタペストリーを見ながらツアーは進んでいき、話は当時の作り手だった女性たちの生活や、結婚の話題へと移った。

「さて、解説ツアーもそろそろ最後になってきました。それではみなさんに質問です。ここの展示ケースに並んでいる4つの小さなタペストリーですが、愛する人のために紡がれたものはこのうちのどれだと思いますか?」

突然の質問に参加者たちはそれぞれ「うーん」「え、どれかな」とざわつきはじめる。

そのうち教授は参加者を指名しだし、当てられた人は「一番右の1枚。色がいっぱい使われているから」「真ん中の2枚だと思います。模様がなんか派手だから」とおずおずと発言した。それぞれの回答に教授がちょっといたずらそうにニヤリとしながら聞いてることに私は気が付いた。すると突然、教授と目が合った。

「そちらの、お嬢さんはどれだと思いますか」

「え!」

突然の指名に思ったよりも大きな声が出てしまい、注目を浴びた私は恥ずかしくなってしまい思わず俯いてしまった。私の行動に教授も戸惑ってしまったようで、優しく苦笑するのが分かった。

「驚かせてしまってすみません。……どれだと思いますか?」

顔を上げると、もう一度教授と目が合った。とても思慮深い穏やかな目をしながら答えを促すように微笑んだ。

「……じゃあ、全部、ですかね……」

じゃあって何だ、じゃあって。明らかに何も考えてない回答に申し訳なくなったところで後の祭りだった。けれど、教授の答えは以外なものだった。

一瞬驚いた表情になったと思ったら、屈託ない笑顔になった。

「ご名答!そうなんです!これは全部女性から想い人の男性へと紡がれたタペストリーなんです」

周りの人から「おお~」という歓声が上がった。

「普段は作品の横に解説パネルを配置していますが、解説ツアーのために特別に取り外させてもらいました。じゃあその解説には何が書かれているかというと、タペストリーと一緒に見つかった手紙の内容や、タペストリーの裏側を撮影した写真が印刷されています」

学芸員2名が、おそらくパネルの復元と思われるものを参加者の前に見せた。

パネルにはボロボロに劣化した手紙の写真と訳された言葉、タペストリーの裏側であろうものには白い糸で言葉が綴られていた。まるで秘密のラブレターのように。

「当時この織物が織られた地域に住む女性たちには今と違って人権がありませんでした。もちろん宗教上理由等あって今でも女性に権利がない国もあります。しかし当時は今よりも『物』扱いと言いましょうか。一族が生きていくために、家畜と交換される花嫁というのは当たり前でした。当然恋愛結婚ではありません。まぁ、中には恋愛結婚した方もいますが全員がそうではありません」

パネルに書かれていた手紙の訳はこうだ。

“ あなたの瞳は夕闇にきらめく星のように美しく、あなたの温もりはどんな羊の毛布よりも温かい。あなたの声は春の風のように私の心の中を喜びで満たす。あなたの全てを毎日神に祈ります。どうか忘れないでください。遠い見知らぬ土地でも、私の心はあなたと共に生きていることを ”

「そうした彼女たちの営みの中で、この4枚だけは己の心の自由のためだけに紡がれたタペストリーなんです」

会場がその意味を汲んだのかシンと静まり返る。

現代、ましてや私のいる国と違って、好きでもない人のところへ嫁がされる彼女たちの現実を目の当たりにし、今更ながらも心がずしんと重たくなった。

飢えや貧しさ、病気、政略結婚、家畜と交換される花嫁に待ち受けている過酷な労働。もちろん嫁入り前も嫁入り後も、自分の自由は現代と違って無い。

彼女たちにできるのは子孫を生み育てること、少しでも労働力の担い手として嫁ぎ先に貢献すること。

全ての女性がそうだったわけじゃないかもしれないけれど、今の私には考えもつかないほど不自由に違いない。

「このタペストリー裏に綴られた文章のほうは、とても短い文章ではありますがこう書かれています」

“ 私の想いを口にすることが許されたのなら。糸にあなたへの愛を託します ”

「このタペストリーを作った女性の生まれ故郷の、ある男性の家から見つかりました。織ったであろう女性は二つ隣の村に嫁いだ記録が残っていました。こちらも叶わぬ愛だったことがうかがえます」

想いを一つだって口にしなかった私とは正反対すぎる情熱に、打ちのめされそうだった。こんな風に彼に想いを口にしたことなんてなかった。

好きになったのは私のほうだし、付き合えたってだけで幸せでいっぱいすぎて、会いたいとか好きだとか言いづらかった。

自分の気持ちを押し付けすぎて嫌われたらと思うと言えなかった。

元々人の話を聞くことのほうが得意だったし、私の話す内容が平凡すぎてつまらないと思われるのも嫌だった。

そう。私は、うまく言えない私の気持ちを察してくれる彼に、あぐらをかいていたんだ。
伝え下手な私のことを、ありのまま受け入れてくれたのだからって。
私にはいくらでも伝えられる時間も、自分の言葉もあったはずなのに……。

目の前に展示されている4つのタペストリーは、どれも鮮やかだった。

臙脂色や濃い朱色の糸をベースに、黒や白の糸で文様や植物が絵を描いたかのように綺麗に織り込まれていた。劣化してほつれたり穴が開いていたりも見えるけれど、それでも持ち主がよほど大事にしていたのか状態はどれも綺麗だと思った。

しんみりしたところで、教授は「ですが……」と続けた。その声は実に温かいものを含んでいた。

「タペストリーはどれも悲しい事ばかりではないようです。このうちの一つのタペストリーは “ 私の真心を捧げます。あなたに嫁げて心の底から幸せです ” というような手紙と一緒に大切に保管されていたようです。また、現地の人に昔話を聞いたところ、女性たちは他愛無いおしゃべりをしながら機を織っていたとのことです。今も昔も。まぁ村のお母さんたちは『ぜーんぶ亭主か姑の悪口だけどね!』と大笑いしながら仰られていましたけど」

オチにほっとした笑いが参加者からおこった。

教授の解説はもう終わりのほうになってきたのか、学芸員が「フカマチ教授、貴重なお話をありがとうございました。最後に、この研究をするうえで先生が心掛けていることは何でしょうか」と締めくくりの言葉を促した。

「時を超えて全く知らない人たちに自分の気持ちを知られてしまうと思うと少し恥ずかしい気もします。乙女なら尚更。なので私たちもそういった真心を暴くような行動に少し気が咎めるような瞬間があります。

だって、誰だって思春期の頃につけていた恥ずかしい日記を自分が死んだ後でも公開されたくないじゃないですか。

しかし、私たちが知るということは、彼女たちの言えなかった本当の想いや願い、彼女たちがあらゆる環境の中でくじけず、心を強く持って生きてきた証を後世に伝えていける事でもあるということです。

彼女たちの思いを風化させないことで、彼女たちの秘めた真心に報いることかできたらなと、おこがましくもそう思いながら研究をしています。

言えない気持ちを喋る代わりに、いろんな祈りや想いが込められた1枚だからこそ、時を経てもこんなにも美しいものなのかもしれませんね」

最後の言葉を言い終えたところで、会場には盛大な拍手が起こった。
教授は少し照れ臭そうにしながら丁寧にお礼を言って、学芸員の案内で退場されていった。

参加した人たちはどの人もみんな楽しかったというような表情をしていて、もちろん私も同じ表情をしていた。
虚しさでいっぱいだった心が教授の話を聞くうちにいつの間にか少しほどけていた。

会場を後にしようとしたところで、何となく名残惜しい気持ちが残ったので、もう一度4枚のタペストリーを見た。

この1枚1枚にそれぞれの女性の想いがあって人生があった。
織っている時にまさか遠く離れたこの国でたくさんの人の目に触れるなんて思わなかっただろう。

そう考えると確かに秘密にしたかった想いを暴いてしまった気になる。
けれど、彼女たちは周りに知られても良い覚悟で、これを相手に贈ったのではないだろうか。

一本一本紡いだ時間は、愛しい人のことを考えていた時間と同じなんだ。

帰りがけにミュージアムショップを少しだけのぞいてみると、お土産品の中に、今日解説されていたラブレターのタペストリーが印刷されたポストカードを見つけた。

印象派のポストカードは綺麗だからいくつか持ってはいるけれど、タペストリーが印刷されたものはさすがに買ったことがなかった。

印刷されたタペストリーを見て、本物のほうがずっと鮮やかな赤だったと思い返しては、実物と印刷はこんなにも違うのかと改めて思った。
図鑑や雑誌くらいでしか見る機会のなかった芸術品。百聞は一見にしかずとはよく言ったものだ。

初めは何の興味も惹かれなかったくせに私はそこで初めて、自分が見に来てよかったと心から思えていたことに気付かされた。
時を経てもあんなに鮮やかなのは、織った彼女たちの想いが強く、美しかったからだ。

想いを何一つ隠さずに、一本一本糸に想いを込めて一段一段織ったからだ。

今ではあのタペストリーの劣化してしまった部分でさえも美しいと思えるほど。

心を隠すのが上手すぎたって良い事なんかひとつもない。結局、自分の気持ちも相手の気持ちも傷つけて終わりだった。

一緒にいれる間に、もっと話せば良かったんだ。
私の話がつまらなかったらとか、そんなこと気にするところじゃなくて、もっと私のことを彼に知って貰えるように喋れば良かったんだ。
だって誰にも咎められるわけでもなかったのだから。
そうして、自分の想いをもっと伝えたら良かったんだ……。

もちろんすぐにおしゃべりが上手になれるわけでもない。

だけど、得意じゃないからっていつまでも甘んじていてはダメなんだ。

相手に心を開けるような自分になりたい。
そして、相手に心を開いてもらえるような自分に変わっていきたい。
愛した人をきちんと上手に愛せる女性になりたい。


この決意を明日忘れないように、私はポストカードをそっと手に取った。


( 伝える術があったならば惜しみなく伝えてこそ )