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終活・戸籍謄本集めの勧め

 相続などで親の戸籍を集めた経験のある方はお分かりかと思いますが、ある人物の出生から死亡までの戸籍を集めるのは結構面倒くさい。

 生まれてから死ぬまで同じところに住んでいて結婚をしていないとしても、油断は出来ない。役所側の都合で戸籍を改編していると、現在の戸籍だけでは済まない。改正原戸籍という改編前の戸籍も取らないとならない。

 親が結婚してからあちらこちらへ引越してその度に戸籍を動かしていると、どんどん戸籍の履歴は増える。養子に行ったり、結婚と離婚を繰り返していたりすると更に複雑になる。昭和の初期以前の生まれだと、戸主制度というのがあり、戸主が代わると戸籍も代わるので更に複雑。ここまで遡ると日本の戸籍制度を呪いたくなるぐらい。

 おまけに戸籍が転々としていると、あちらこちらの役所へ出向くか郵送依頼しないとならない。もちろん郵送依頼は出来るが、この際手数料はほとんどの市町村では郵便局の定額小為替同封で支払う必要がある。この定額小為替なるものキャッシュレス全盛の時代に合わない。額面がいくらであろうと1枚200円(50円の発行でも200円)の発行手数料を取られるし、もちろん現金払い。ここまでくると面倒な上、手数料負担が増えて更にイライラが増す。役所の窓口手数料については、キャッシュレス決済が出来るところが増えているが。

 とはいえ、こんなに戸籍を遡る必要があるのは相続の時ぐらいで、平常時は殆ど必要がない。面倒な手続きはお金を払って行政書士や司法書士やらの士業に頼めばやってくれるのだが。

 ところで住民票等は有効期限があるので予めとっておくことが出来ないことが多いが、戸籍謄本に関してはそうでもないという事実は意外に知られていない。

 相続の際、手続きに戸籍謄本が必要なのは不動産登記、相続税申告、金融機関の手続き等が考えられるが、このうち不動産登記と相続税申告の場合、戸籍の有効期限がない。

 金融機関の場合は個々に規約が違うので確かめる必要はあるが、法務局に一連の戸籍謄本(除票含む。)を提出して法定相続情報証明を受けていればほとんどの金融機関でこれを元に作られている法定相続情報一覧表を一連の戸籍の束に代えることが出来る。この場合の法務局に提出する戸籍謄本も期限が定められていない。

 もし自分が死んだ後に遺族に少しでも面倒をかけたくなかったら、今のうちから出生から現在に至る戸籍を揃えておくことも一つの終活かもしれない。時間があれば自分の戸籍の変遷をたどる旅をして過去を振り返ってみるのもいいかもしれない。

 ちなみに自分はつい最近自分の過去の戸籍(除籍簿含む)を集めてみました。参考まで。


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