aiko好きによるaikoの歌詞考察 #1 『自転車』
続くかどうかわかりませんが、僕が大好きなシンガーソングライター「aiko」さんの歌詞について考察することを始めてみようと思います。
僕がaikoを好きになったきっかけは姉でした。姉が昔からipod nanoでaikoや嵐を聞いていたのですが、それが僕に引き継がれたことで少しずつ聞くように。
大学生になって軽音楽を始めたことで、今までちゃんと聞いたことがなかった他の楽曲を聴いてハマり、今では姉よりもaikoの曲を知っています。
来年にaikoのライブであるLLP24に当選し、参加することが決まった中、単純に聴くのみならず、aikoが綴った歌詞にどのような意味が含まれているのかを考えるようになり、それをnoteでまとめてみようと思いました。
記念すべき第1回は「自転車」です。
ぜひ一度、普段使っているストリーミングサイトで聞いてみてください。
この曲は2012年6月20日に発売された通算10枚目のアルバム「時のシルエット」の一番最後に収録されている楽曲です。
僕はaikoのアルバムの中で「時のシルエット」「泡のような愛だった」「湿った夏の始まり」がすごく好きで、今でもヘビーローテーションしています。
では、歌詞全体を見てみましょう。
1番
Aメロ
まずは曲の立ち上がり。
前半部分の「小さな音」に着目しましょう。
普通にぐっすり寝ているときに些細な音では起きませんよね。
小さな音で起きてしまうのは眠りが深くない証拠でもあります。きっと何か悲しいことがあって色々思考を巡らせてしまい、よく眠れなかったのかもしれませんね。
後半部分では、
「まだ」が使われていることからこの時間がかなり早い時間であることがわかります。
「きっと」から実際に窓際に行って窓を開けて寒いことを確認したわけではなく、布団の中から多分寒いんだろうなぁと推量していることがわかります。
これらのことから、季節が大体冬〜春の初めで仮に3月だとすると、「別れの季節」とも言えなくはないですね。
「白い」空となっていることから、薄い霧がかかっていることがわかります。霧が起こりやすいのは春なので、先ほどの寒さとも関連づけると、やはり3月である可能性が高いですね。
さらに、ここで実際に空を見上げていることから、布団の中から出て窓辺まで行ったことがわかります。
そして「ゆっくりあなたを想う」という歌詞。
他の歌詞とも照らし合わせると、窓辺であなたと別れてしまった事実に長い間想いを馳せていることがわかります。
もしこれが朝の8時とかだとしたら、仕事の準備でバタバタとしてゆっくりと相手のことなぞ考えている暇はありませんよね。そこから考えると、この時間がまだ日が昇ったばかりの早朝であることがわかります。もしかすると、体感時間が長かっただけで、実際の時間では短時間だったかもしれませんが。
Aメロをまとめると、
3月のある日に振られて、よく眠れなかった日の早朝にふと目が覚めて窓辺に行きあぁと彼に想いを馳せていることがわかります。
Bメロ
すごく印象的な歌詞ですね。きっとこの女性の中でもいろんな気持ちの変化があるのでしょう。その気持ちを推察してみましょう。
この曲の後半部分に「知らない明日がやって来る事 こんなにも辛いなんて」
という歌詞があります。このことから、この女性はきっと昨日急に振られたのでしょう。なので、恐らく
昨日:「別れよう」と彼に急に言われてショックで受け止められない気持ち
今日:少し気持ちが落ち着いたけど、まだ事実を受け入れられていない気持ち
というように変化していると考えられます。そして、「あたしがこんなふうに気持ちが変わっているのだから、あなたもきっと気持ちが変わっているはずだよね」と思い、
「明日あなたはあたしの事をどう思っていてくれるだろう」から、
あなたはあたしと別れる決断をしたけれど、やっぱりあたしと一緒にいたいと復縁する気持ちがちょっとは芽生えているんじゃないか、と淡い期待を抱いているのかもしれません。
サビ
いよいよ1番のサビです。
「とても冷たい風」はもちろん真冬であることを表し、
「暑い暑い日射し」は真夏であることを表しています。
これより真冬も真夏も一緒にいたことがわかります。結構長い間付き合っていたのでしょうね。
あなた:あたし=右手:左手と照らし合わせられているので、この2人はいつも彼が左側、あたしが右側に立っていたのでしょうね。
さらに、あなたを温め、あたしを冷ますという状況は、
あたしの手が暖かくて、あなたの手が冷たい
から起こります。
ここから、2人の間であたしの方が一方的に彼に想いを寄せていたということがわかります。しかし、その長い関係性も終わってしまったのです。
2番
Aメロ
2番の冒頭ではいきなり倒置法が用いられています。
「理由もなくただ 好きになっただけのあの日を思い出したよ」ではなく、
「思い出したよ理由もなくただ 好きになっただけのあの日を」とすることで、このことをハッと突然思い出したということを強調しています。
1番Aメロでしていた長い懐古をし続けているうちにあたしが彼に恋した場面まで戻ってしまったのでしょう。そして「理由もなく好きになっている」これは一目惚れですね。
長期間付き合っていたのにも関わらず、2人の出会いの頃まで懐古していたことからも、相当長い間彼のことを考えていたことがわかります。この時点では、まだ相当彼のことを引きずっていますね。
Bメロ
腕時計というと普段から身につけるものなので、もし時間が止まっていたらすぐに気がつくはずです。なので、どのタイミングで時間が止まっているのかはわかりませんが、時間が止まってからそんなにまだ経っていないはずです。
そして、巻き時計を身につけているならば、1日1回決まった時間に巻くはずなので、彼女にとって時計を巻くことは習慣的なもののはずです。しかし、これを忘れてしまっていることからも、彼に振られたことが相当ショックであることがわかります。
止まってしまっていた時計が差していた時間はきっとまだ振られていなかった時間なのでしょう。
ここで注目すべきなのは、あたしが止まっていた腕時計から「昔の2人がいるかもしれない」と想像していることです。ここまでの歌詞であたしが何か想像している部分はありません。
ここから、彼女の中でほんの少しだけ心の余裕が出てきていることがわかります。彼との思い出をとりあえず一通り思い出して、落ち着きを取り戻していますね。
サビ
この部分は恐らく彼に振られた昨日のシーンを表していると考えられます。
彼に急に「別れたい」と言われて頭が真っ白になってしまったけれど、
「多分彼の気持ちはもう固まっていて、あたしがどう足掻いたとことで彼の決断を変えることはできないのだろうだから、最後くらいはお互い良い気持ちの状態で終われるよう明るく振る舞おう」
という優しい気持ちがふっと降りてきているのでしょう。
1番でも出てきた、彼が左側、彼女が右側に立ってお互いの左手と右手を繋ぐ立ち位置。「振り解く」は「離す」と違って、「束縛から意識的に離れる」というニュアンスがあるので、彼女自身も明るく振る舞うべきなんだとわかっていながら、どうしても別れを告げられたショックが隠しきれずに、さも「あたしだってあなたとは別れたかったんだから別にいいもん」と強がっていることが分かります。
そして「こんな自分をいつ許せるだろう」から、
そんな強がりなんて全く意味ないのに、もっと素直に明るく振る舞うべきだったのに、と自分を責めていることがわかります。
Cメロ・ラスサビ
ここで曲調が一気に落ち着いたものになります。彼のことを必死に忘れようとしていても彼があたしのことをどう考えているかを考えてしまいます。
そして、1番Aメロで見上げた空はあたしの暗い気持ちとは対称的に眩しい=明るい状態になっています。
そんな空を見て、あたしもくよくよしないで前を向いた方がいいのかな?と思うようになっています。
いよいよラストの大盛り上がりの部分です。
この部分では、あたしの熱い想いにケジメをつけてあなたはあたしを振った。あなたのことが本当に好きだったから振られたショックからは簡単には立ち直れないんだという気持ちを表しています。
ずっとあなたと一緒にいたからあなたのいない日が突然やってきてしまった。あなたがいないことがすごく辛いことが付き合っていたときには思ってもみなかったという気持ちを表しています。
もしかすると、彼の存在が当たり前のようになっていて、空気のようになっていたから振られてしまったのかもしれませんね。
この長い坂、突然出てきましたが、何を表しているのでしょうか。結構長い間考えたのですが、私はこの長い坂を
振られたショックから立ち直るまでの長い長い上り坂
だと考えました。
そして、「自転車に乗ったあなたがやってくる」ことから、あたしはこの上り坂を徒歩で(=何の手助けもなしで)ゆっくりと登っていることがわかり、彼の方はその立ち直りの坂を自転車を使ってスイスイと登って行くことがわかります(=すぐに吹っ切れている)。
しかし「また」という言葉がこれでは解消できません。思うに、これは昔付き合っていた頃に彼はデートの待ち合わせ場所にいつも自転車でやってきていたからなのかもしれませんね。
ずっしりと来ますね。この歌詞。「出来事」という歌詞が強烈です。
まだ完璧には立ち直れていないけど、ひとまずあなたとの思い出を大きな大きな過去のものとすることで、前を向き始めていることがわかります。
Cメロに出てきた空の眩しさがきっとあたしの再出発に貢献しているのでしょうね。
この曲において「自転車」の意味とは
さて、全ての歌詞を解釈することができました。曲全体としてのストーリーの流れは、要約すると、
長い間付き合っていた彼氏に振られた次の日の早朝にふと目が覚め、長い間懐古していたあたし。振られた事実からまだ完全に立ち直っていないながらも、振られた事実を受け止め、また再出発し始める
というようになると思います。
そしてタイトルの「自転車」。
自転車という歌詞自体はラスサビの1回しか出ていませんが、どうしてこのタイトルになったのでしょうか。
思うに、自転車はあたしにとって
今まで:デートでいつも颯爽と彼が乗ってやって来た何の変哲もないもの。
今 :あたしの立ち直りをほんの少しだけ早めてくれるもの
というふうに変化しているからだと思われます。
ここで、車とかじゃなくて自転車が使われているのが興味深いですね。というのも、この部分が自動車だったら、立ち直りの上り坂なんかあっという間に走り抜けてしまいますし、自転車であることによって結局立ち直りは自力じゃないといけないんだということを教えてくれます。
私自身もそろそろ長い長い上り坂を登り終えようとしています。
登り始めた当初は自転車、ひいては自動車などを欲しがったかもしれませんが、今となってはこの身ひとつで登りきりたいところです。
正直、時々自分が登ってきた坂を振り返ってしまうこともあります。でも、多分見続けてしまったらいつか転がり落ちてしまうんでしょう。
今は自転車を必要としていないけど、もし今後同じようなことがあったときのために、坂の頂上においておいてほしいものです。
いかがでしたか?
多分解釈自体はaikoさん本人の考えとは異なっていると思います。でも、自分の解釈がぴったりとハマったときの喜びは計り知れないものです。
また、いい曲があればやってみようと思います。
では。
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