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生まれて初めて食べた生ハムメロンの衝撃

ー 思えばあれが私の「食の道への第一歩」だったのかもしれない ー


池袋のデパートへ、かわいいお洋服を買いに行った。

小学校高学年の頃のことだったと思う。

デパートに連れて行ってもらうのは、おばあちゃんちに泊まりに行く時の恒例行事だった。

目的地は「東武  池袋」

行動範囲が鬼セマイ小学生にとって、生まれたわけでもなければ、育ったわけでもない「池袋」は遠い異国の街のようだった。


あれから月日は流れ、10年くらい経った。

私はふと、あの時の「池袋」と、今でこそ電車で簡単に行くことのできる「池袋」が、同じ「池袋」という街であったことに気づいてしまった!

(そういう経験ありませんか?)


そして、

「生ハムメロン」と出会った日のことを思い出した。


その日も恒例のお買い物を終えて、お昼にしようとしていた。

デパートのエレベーターをぐんぐん上って行く。


ついたところはレストラン街。


何を食べようかといろんなお店を見てまわった。

そして成りゆきは思い出せないが、私たち御一行はイタリアン料理店に入ることにした。


メニューを開く。

小学生が食べたい「あれ」が見当たらない。


「あれ」


子どもの特権的「あれ」

子どもの頃はなぜかあれしか頼まない「あれ」

たまにおもちゃがついてくるのが嬉しい「あれ」

小学生中盤からなぜかだんだん頼まなくなっていく「あれ」

大人の夢がつまった「あれ」


もうお分かりでしょうか。

そう

そのお店には「お子様ランチ」がなかったのだ。

その上そのお店にあるのはおしゃれなパスタメニューばかりで、子供が好きな「ミートソース」とかの文字は見当たらない。

(もしミートソースがあったとしても、「ボロネーゼ」とか名付けられちゃうと、もう子どもには解読不能。)


しかたなく一緒に来ていた大人たちにメニュー選びを全て任せる。


そのときだった。

「生ハムとメロン好き?」

と唐突に聞かれた。


生ハムは小学校三年生くらいに初めて食べてから大好きだった。

メロンは普通に大好き。


そんな私は二つ返事で

「好き!」

と答えた。


まさかあんなものが出てくるとも知らずに。


「お待たせいたしました。生ハムメロンでございます。」


はっ


目が飛び出た。


透き通るようなメロングリーンに鮮やかな生ハムピンク

(色の表現、やや雑め)


「(メロンの上に生ハムが乗っかってるよ、、!信じられないものを見たよ、、!)」


「絶対生ハムとメロン別々で食べたほうがおいしいでしょ〜〜」

なんて、

しゃべくりメンバー顔負けのフリを仕掛けてから一口食べる。


ん〜〜?!?!


初めて食べる生ハムメロンのなんとも不思議な味に仰天した。


しょっぱい生ハムとあっまいメロンが出会っちゃったのだ。

生ハムを感じているときは、「メロンもっと来い!」と叫びたくなるし、

メロンを感じているときは、「生ハムもっと来い!」と叫びたくなる。


好きなものがコラボするってなんて最高なの〜と思ったのが、小学生の純粋な発見だった。


あれから10年経った。


今の私は幸せなことに、大学で「食」について学んでいる。

高校生の受験生だった頃、

大学で食について学びたいことをノートに書いていた。

(なんて夢に溢れた受験生なんだ、、)


そのキラキラした夢たちの中でひときわ目立っていたのが、

「味の対比効果について知りたい」

という一文だった。


スイカに塩をかける

きな粉には砂糖と塩を入れる

バニラアイスには醤油をかける


この世には塩味と甘味のコラボしたものがたくさんある。

不思議だ。


なんでしょっぱいものと甘いものを混ぜたくなったのか、

混ぜるとおいしいと思ったのか。


私はそのような「おいしさを科学的に証明すること」をしたいと思っていた。


そしてその原体験となったのが、おそらくはこの「生ハムメロン」なのだ。


しょっぱさと甘さの複雑なコラボに魅せられたあの経験。


あの時の「生ハムメロン」のおかげで今の私がいる。


そう思うと、幼少期って侮れない。

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