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小説

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#超短編小説

【3分小説】氷星視察人

「嘘だろう」
男は小さく声を発した。有名難関大学を出て数年、小さな頃からの夢だった視察人として氷星(ひょうせい)を訪れるこの日のためだけに、厳しい酸素トレーニングにも耐え、言語も習得してきたのだ。それがなんだ、この景色は。氷星はその名の通り、美しい氷の星だと聞いていた。氷の星といっても気温は地球と大差なく、地面から建築物までが氷のように透き通った素材で出来ている美しい星、のはずだった。

ぬちゃ、

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【二次創作小説】リンス/オレンジスパイニクラブ

「一本ちょうだい」
ミキの言葉ですべてわかった気がした。

乾かしていないミキのロングヘアーが朝日を受けて不健康そうに光る。
「煙草吸う人だっけ」
俺がそう言うとミキは気まずそうな顔をして「たまにね」と言った。成長期の真っ只中からヘビースモーカーだったタケルが煙草の重さを変えたのも、タケルとミキが俺の前であまり喋らなくなって随分経つのも、全部がミキの一言で繋がってしまった。まあ今までも、わかりたく

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【500文字小説】卒業

「ついに卒業式だな。引っ越しの準備は済んだ?」
ユウコはあの日から無口になった。俺の言葉には返事を返さず、こっちを見て微笑むだけ。
「今日で離ればなれなんて信じられないな」
去年の夏休み、俺は海を見に行こうと早朝から自転車を走らせた。ユウコは俺の後ろで鼻歌を歌っていた。早朝だったんだ。運転手がちょうど、眠くなるくらいの。
「東京って行ったことないなあ」
ユウコの向こうで親友のカトウが心配そうにこち

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【500文字小説】出会いと別れと出会いの季節

アラームを止める。まだ五時半か。寝直そうとしたとき、異様な光景に目が覚めた。壁一面に張られた黄色の付箋と、ゴミ箱を埋める丸められたピンクの付箋。
『犬(サスケ)』
『洗濯機に洗濯物』
『朝六時サスケの散歩』
『僕の記憶は一日で消える』
足元を見ると、リードを咥えた柴犬が座っていた。

公園に着くと、サスケが一心不乱にベンチの方へ駆け出すのでそれを追って僕も走った。サスケは座っている女性に飛び付き尻

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【小説】お題「ドライヤー」「雪山」

「遭難したときにチョコってやっぱいいらしいですよ」
「え?」
つい聞き返してしまった。美容室。テレビからはワイドショーが流れている。
「ほら、雪山の」美容師が俺の肩を揉みながら顎でテレビを示した。「ああ」テレビから司会の声が聞こえてくる。
「万が一遭難したときは~…」

目を閉じて、揉まれている肩に集中する。チョコは嫌いだ。甘ったるいから。隣の席からはゴオオというドライヤーの音。遭難したことはない

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【500文字小説】妖精屋

「もしあの人が立ち直れていなかったら、お願いします」
「一年後ですね、承りました」

花見客で賑わう公園で酒に口を付ける。
「もう一年だろ。そろそろ新しい彼女でも」
「そんな簡単に言うなよ」
「あ、おい」
新しい彼女?馬鹿らしい、だって俺はまだ───
突然風が強く吹いて花びらが舞った。その向こうに見覚えのある後ろ姿。
「サユキ?」
思わず手を引いて、振り返った顔を見て驚いた。
「サユキだ!生きてた

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【500文字小説】新生活応援プラン

「新生活応援プラン?」
「はい、当社限定6G通信は十年後の自分と通話が可能なので、より的確な新生活へのアドバイスが頂戴できることでしょう」

値は張ったが、これから始まる大学生活のネタになるからと契約した新しいスマホを起動した。通話アプリを開き、指定された番号にかける。
「サトルだね、待ってました」
電話口の男は何故か誰も知らないような俺の情報を持っていて、やけに詳細なアドバイスをくれた。そしてそ

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【小説】信号機に4色目があったら

「犯罪者は目が違う」
その研究結果が出たのが三年程前だっただろうか。研究結果は瞬く間に広がり、小学生は目付きの悪い同級生をイジメの対象にするようになった。研究結果の発表後、あまりにも悪い影響があったため、研究所はその結果を取り下げた。

しかし俺は知っている。その結果は真実だ。起き抜けにコーヒーを飲みながら朝刊を読む。
『犯罪者減少、交通事故増加』
日頃から犯罪者の減少を訴える研究職の俺に、行政は

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