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#超短編小説
【3分小説】氷星視察人
「嘘だろう」
男は小さく声を発した。有名難関大学を出て数年、小さな頃からの夢だった視察人として氷星(ひょうせい)を訪れるこの日のためだけに、厳しい酸素トレーニングにも耐え、言語も習得してきたのだ。それがなんだ、この景色は。氷星はその名の通り、美しい氷の星だと聞いていた。氷の星といっても気温は地球と大差なく、地面から建築物までが氷のように透き通った素材で出来ている美しい星、のはずだった。
ぬちゃ、
【二次創作小説】リンス/オレンジスパイニクラブ
「一本ちょうだい」
ミキの言葉ですべてわかった気がした。
乾かしていないミキのロングヘアーが朝日を受けて不健康そうに光る。
「煙草吸う人だっけ」
俺がそう言うとミキは気まずそうな顔をして「たまにね」と言った。成長期の真っ只中からヘビースモーカーだったタケルが煙草の重さを変えたのも、タケルとミキが俺の前であまり喋らなくなって随分経つのも、全部がミキの一言で繋がってしまった。まあ今までも、わかりたく