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途上国支援にもつながる、未電化地域への電力供給への挑戦!風力発電のポテンシャルが高いフィリピンはどんな場所?

皆さんこんにちは🙋‍♀️株式会社チャレナジーの採用担当です。
今回は、2021年にマグナス風車を建設したフィリピンを訪れた社内メンバーが、フィリピン滞在中の様子についての記事を書いてくれました。


フィリピンを選んだ理由

フィリピンについて、バナナやマンゴーなどのフルーツが豊富にあり、セブ島のようなリゾート地をイメージされるかもしれません。しかし、マニラ首都圏は人口1000万人を超える大都市で、国民平均年齢が日本は49.5歳に対して25.4歳と非常に若く、経済成長の著しい国です(*1)。それぞれの国の人口ピラミッドを見るとそれは一目瞭然です(*2)。

▲ マニラの都市部。高層ビルが立ち並ぶ。
▲ 人口ピラミッド 左:フィリピン、右:日本(*2)

国土を比較すると、日本とフィリピンの総面積はほぼ同じですが、フィリピンは7,641もの島々で構成され、そのうち約2,000の島に人が住んでいると言われています(*3)。

日本同様に、多くの島により構成された土地で、それぞれの島には色々な街や村があり、独自の暮らしや昔ながらの暮らしが続いている場所もあります。

▲ 7,000以上の島々からなるフィリピンの地図(*4)

また、若い人が多い国で、スマートフォンやSNSなどインターネット利用のニーズが高く、インターネット普及率は世界平均より高いです。

▲ インターネット普及率ランキング。フィリピンは68%と世界平均よりも高い。(*5)

フィリピンでは電力自由化が日本より15年も早い2001年から施行されていますが、経済合理性の観点で民間企業の力が行き届かない田舎や島嶼部に関しては依然として国営電力公社(NPC)が発電を担っており、ディーゼルを用いた火力発電が主流です。
さらに、人口増加と経済成長により電力使用量が増加しており、結果として、フィリピン国全体では発電コストが高い状態となっています。
 
フィリピンも、日本同様に風力発電のポテンシャルが高いと言われています(*6)。一方で、これもまた日本同様に、台風が頻繁に襲来します。日本では沖縄地域が「台風銀座」と呼ばれたりしますが、フィリピンにおいては北部の太平洋側が「台風銀座」であり、非常に強い台風が襲来し、災害や停電に見舞われてしまうことも少なくない地域です(*7)。

▲ 左:風力のポテンシャルが高い(*6) 右:北部は台風の襲来が多い(*7)

最北端にある"台風銀座"のバタネス州

 81の州があるフィリピンで最北端に位置するバタネス州は、"Home of the Winds"と呼ばれるほど風が強く、風力エネルギーのポテンシャルも非常に高い地域です。州都のあるバタン島は、台湾を挟んで石垣島の隣の島で、石垣島から那覇と同じくらいの距離(!)にあります。石垣島は家を囲む石垣が有名ですが、バタン島も” Stone house”という石造りの家で有名です。石垣島同様に、強い台風が通過する「台風銀座」でもあります。

▲ バタネス州の主要な町のバスコ市の街並み、沖縄県のように石造りの家が多い。

バタネス州の島々では、様々な生活必需品がルソン島からの定期船で運ばれるため、輸送費がかかります。そのため、ガソリン代などの物価が高く、日本よりも高いことすらあります。

▲ 左:ガソリン代。1リットル87.85ペソ(当時約233円)と日本の1.5倍ほど
▲ 右:チャレナジーメンバー御用達の現地のラーメン。一杯370ぺソ(当時約980円)

バタネス州でもスマートフォンが非常に普及していますが、通信線などが整っていないため、各施設や住居へ通信回線不要の衛星通信機の設置が進んでいます。

▲ 左:バタネス州の住居の屋根の上に設置された衛星通信機
▲ 右:衛星通信機による有料のWi-Fiサービス

バタネス州には、風速33m/s(119km/h)を超える台風が平均年間で2回ほど襲来します(*7)。そのため、メガソーラーや大きいプロペラ式の風力発電機では、故障のリスクから事業の採算性が取れず、結果としてバタネス州には再生可能エネルギーの導入が進んでおらず、今でもディーゼル発電に頼っており、高い電気代での生活を余儀なくされています。また、台風通過後は定期船が運航できず、発電燃料を含む物資が届かなくなり、最悪の場合、全島停電になってしまうという課題もあります。
電力民営化の進むフィリピンですが、バタネス州をはじめとした島嶼部は採算性が悪く民間事業者が運営できないため、国営電力会社が電力供給を賄っている地域が多いです。

▲ 台風直後のガソリンスタンド。燃料の在庫がなくなっている。
▲ 台風で羽根が折れた可倒式風車。

チャレナジー風車の活躍

チャレナジーは、環境省事業の一環として、2021年にバタン島に垂直軸型マグナス風車を設置しました。その後も稼働を続け、周辺の外灯や衛星通信に電力が使われています。本事業で培った、途上国・島嶼国における垂直軸型マグナス風力発電機の設置・運営のノウハウを活かし、今後の開発に活かしていきます。

▲ 落成式の写真(2021年8月25日)。Marilou Cayco バタネス州知事、Demetrius Paul Naragバスコ市市長にご列席いただき、在フィリピン日本国大使館越川大使もオンライン参加。
▲ ライトニングセレモニーの写真、近くの灯台の電源はマグナス風車で発電した電力を活用。

チャレナジーの風車の特長は「台風にも負けないタフさ」「観光客が近くに来ても気にならない静かさ」「ゆっくり回ることによるバードストライク(鳥の衝突)の起きにくさ」です。

ディーゼル発電の発電コストと、安定供給の課題の解決策となり得る風力エネルギーのポテンシャルが高いのに、台風被害のリスクが高いためにプロペラ風力発電を設置できない・・・バタネス州は、フィリピンの中でも特にチャレナジーの風車が貢献できる場所だと考えています。

最後に

今の世の中ではスマートフォンやパソコン、生活家電や電動のモビリティなど、さまざまな電子機器の需要が増え、あらゆる地域で電気や通信が必要とされてきています。また、それらの生活基盤のインフラが台風や地震などの災害に対して強くなること、そしてその取り組みがカーボンニュートラルに貢献することも求められてきています。全世界の電気を求めている未電化地域含め、隅々まで安全なエネルギーを供給することを目指して、チャレナジーの風力発電機の開発や実証、販売をますます加速させていきます!!
 
今後の世界・日本をエネルギー変えるべく新たな風車づくりに興味がある方は、転職有無に関係なくまずはお気軽にカジュアル面談からお話ししませんか?
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また、エンゲージにも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

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(*1)アメリカ中央情報局(CIA) . Country Comparisons - Median age. “THE WORLD FACTBOOK”. https://www.cia.gov/the-world-factbook/field/median-age/country-comparison/ ,(参照 2024/5/14)
(*2)PopulationPyramid.net. “Population Pyramids of the World from 1950 to 2100”. https://www.populationpyramid.net/ ,(参照 2024/5/14)
(*3)REPUBLIC OF THE PHILIPPINES – Department of Environment and Natural Resources. “NATIONAL MAPPING AND RESOURCE INFORMATION AUTHORITY". https://www.namria.gov.ph/list.php?id=1032&alias=administrator-tiangco-welcomes-2017&Archive=1,(参照 2024/5/14)
(*4)OnTheWorldMap. “Large detailed map of Philippines”. https://ontheworldmap.com/philippines/large-detailed-map-of-philippines.html#google_vignette,(参照 2024/5/14)
(*5)DATAREPORTAL. “DIGITAL 2023: GLOBAL OVERVIEW REPORT”. https://datareportal.com/reports/digital-2023-global-overview-report,(参照 2024/5/14)
(*6)National Renewable Energy laboratory. “Wind Energy Resource Atlas of the Philippines”. https://www.nrel.gov/docs/fy01osti/26129.pdf,(参照 2024/5/14)
(*7)THE WORLD BANK – Documents & Reports. “INDENTIFYING THE VULNERABLE TO POVERT FROM NATURAL DISATERS – THE CASE OF TYPHOONS IN THE PHILIPPINES”. https://documents1.worldbank.org/curated/en/326941558453867995/pdf/Identifying-the-Vulnerable-to-Poverty-from-Natural-Disasters-The-Case-of-Typhoons-in-the-Philippines.pdf,(参照 2024/5/14)



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