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建築キャリアを考える前に読んでほしい!私の世界の見え方が変わった出来事ー私が多様性にこだわる理由ー

私は、2021年3月に植松千明建築事務所 一級建築士事務所として開業しました。

独立はできたほうがいいと思っていたけれど、一番大切なことは建築の設計を続けていくことだったので、何がなんでも独立!死ぬまでに独立!のような燃え上がる気持ちだったかと言うとそうではなく、どちらかというと固執しないようにしていました。
やりたいことってやりながらじゃないと見つからないと思ってます。
(※ブレブレだと思われたくないのでいつか独立しますとは言っていた時もあります。)

独立はあくまでもよりよい設計をするための手段。
こう思い続けられたのも、前職で勤めていた山田守建築事務所がホワイト企業だったこと大きいと思います。

しかし、とある出来事で世界の見え方が一変。


1,なんとなくいつも我慢をしていたことに気付いた


感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

駅のトイレが商業施設のトイレの中で
『フックの高さが高い』

なんとなく使えてるけれど、気にしていなかった方多いのではないでしょうか。

なぜそのことに気が付いたかというと…

前職の仕事中に車椅子の方へヒアリングをしたときのことでした。
建築を使用する上で、何に困っているかということを細かく丁寧にお話してくださいました。

 「この高さのカウンターだと使えないことはないけれど使いにくい」とおっしゃっられたのを聞いていて…

『あれ?それ私も高いと思ってるんだけど・・・』と思ってしまいました。
(当時、仕事でなくても多数決の場で少数にいることが多かったので「共感」するポイントにとても敏感になっていたのもあり反応してしまいました。)

それと同時に「あ、これは言っていいことなのね」と理解しました。
車椅子とカウンターの高さに関しては、設計の教科書にも載っているような常識とも言っていいことなのですが、それでもしっかり自分の感じたことを伝えていらっしゃるのがとても印象的でした。
よく考えれば、車いすの方が9割の世界でしたら、それが常識の高さですよね。

なので、住宅などの個人で使うものに関しては、いくらでも調整するのですが、公共性の高い施設において、大きく不自由をしていない自分もカテゴライズされる「女性」という存在を無意識に後回しにしている・されている部分があったことに気付いたのです。
どうしても建設業界は男性が多いので、男性が悪いということではなく無意識的に男性優位になっている部分もあるのだろうと考えるようになりました。

実際に建物を使うのに困難なほど困ってはいないのですが、実際にこうだったらという自分の中のニーズに恥ずかしながら気付いたのです。そして、実は、目には見えにくいマイノリティとなっていることが多くあるのではないかと考えるようになりました。

そこから所謂「多様性」、「ダイバーシティ」に興味を持ち始めたのです。

2、決意 新しい可能性にかけてみたい

人の内面にフォーカスする

これからの建築をつくる上で、フォーカスすべき分野は、人の内側にある感覚や想いに着目すると考えるようになりました。

半世紀以上前と比較すると建築の法整備や技術の発達により、安全や品質が最低限担保されてきました。

次に必要とされ開拓していく分野として、テクノロジーとの融合なのかとも考えていましたが、戦後の日本は、住宅・オフィスビルなどを大量に供給する必要があり、安全や快適性を追求しながら規格化・工業化が進められてきた背景があることもあり、その前に、人の内側にある課題を個々に丁寧に解決することがいいのではないかと考えるようになりました。

フォーカスする対象例

建築には、その時代を生きる、人の生き方が現れます。
価値観が多様化する現代だからこそ、クライアントの個々の幸福感が得られる状態も違います。だからこそ、その状態を共有しながらパーソナルな部分にフォーカスし設計することでクライアントの生き方を肯定し未来を切り拓いていくような新しい建築が誕生する瞬間に立ち会えるのではないだろうかと考えるようになっていきました。

その瞬間に立ち会うには、クライアントの内面を掘り下げていくには設計のプロセスから見直す必要があると感じ独立をより深く考えるようになり独立への意欲が高まったのです。

なのでぜひビジネス、つまり働き方も建築のように考えてもらいたいのです。あなたのような人が9割の世界だったとして、こうだったらいいなと思うことが「常識じゃないか」「そっちのほうが幸せ!」と思ったらそのことにはこだわるべきなのだと思います。他の業界でそれ叶えた事例がないかなど調べてみてほしいです。なんとなくこれが「普通かな…」ということを上手くこなすのではなく、一度きりの人生を自分らしく過ごせる建築ライフを探してもらいたいです。


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