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読みやすい文章を書くコツ【実例編】削って整える…ってどうやるの?

昨年末に書いたこちらのnote、ありがたいことに多くの方から反響をいただいた。今も引き続きビュー数&スキ数が伸びている。感謝。

特に、最後の「7.最後に削る&削る」という項目が参考になった!という声が多く、私の中ではちょっと意外だった。

7.最後に削る&削る
最初はばーーっと書いてもいいけれど、書き終えた後は無駄をそぎ落としてスリムに。「削る&削る」は編集の基本。
例えば、なくてもいい文章はカットするし、使わなくても意味が通じる接続詞は使わない、など。余計な部分を外すことで、伝えたい内容がより伝わりやすくなる。これも読みやすさを左右する大きな要素である。

そこで今回は実例(私のnote)をもとに、もう少し補足説明をしてみたい。“削る”という具体的なイメージが少しでも伝わればと思う。


【実例1】

例えば、この記事の冒頭部分。

まずは、削る前のBeforeの文章を見てほしい。

▼Before

私はスフレチーズケーキが大好きだ。ベイクドチーズケーキでも、レアチーズケーキでもなく、NYタイプでもなく、少し前から流行っているバスク風でもなく、私はスフレチーズケーキを愛している。

すでに「うっ」となった方もいることだろう。(白状すると、分かりやすくするために元の文より少し盛っている。)では、Afterの文章をどうぞ。

▼After

スフレチーズケーキが大好きだ。ベイクドでも、レアでもなく、少し前から流行っているバスク風でもなく、私はスフレチーズケーキを愛している。

どうだろう、文章がすっきりしたのが伝わるだろうか。

[解説]

1. まずは「チーズケーキ」書きすぎ問題。ベイクドチーズケーキも、レアチーズケーキも、種類の違いだけ言えば十分伝わる。くどいのでカット。

2. 「NYタイプ」は、この中ではさほど知られていないので、言及する優先度は低い。必ずすべてを網羅する必要もない。リズム感を重視するためにも、ここではカット。

3. 冒頭の「私は」もカットしてしまっていい。なぜならこのnoteの書き手=私ということは明らかだから。それに、冒頭の印象づけにはズバッと入った方が切れ味がいい(主張が強くなる)し、最後の「私はスフレチーズケーキを愛している。」の方に重心を持たせることができる。「私は」から入るのもありだが、やや説明風、作文風になるので、時と場合によって使い分けたいところ。


【実例2】

次は、こちらの記事の冒頭部分を。

BeforeとAfterを続けてどうぞ。

▼Before

年が明け、いよいよ2020年に突入した。1983年生まれの私にとっては、もう2020という数字の字面だけで未来感あるわー!なんて感じてしまう。

▼After

いよいよ2020年に突入した。1983年生まれの身としては、もう2020という字面だけで未来感あるわー!なんて感じてしまう。

[解説]

1. 「年が明け」と言わなくても「2020年に突入した」ことは分かるのでカット。この程度の前置き言葉なら残してもいい(短いしテンポも悪くない)けれど、年が明けたことよりも2020年の方を際立たせたいので削ってOK。

2. 「生まれの私にとっては」を「生まれの身としては」に変更。一見、そんなに変わらない?と思うだろうか。ところが“音”に変換してみると「わたしにとっては」(8音)と「みとしては」(5音)では結構違う。さらに、直前には1983年=「せんきゅうひゃくはちじゅうさんねん」という長い音のカタマリがある。なので、この3音を削れるかで文章のリズム感が変わってくるのだ。

3. 「2020という数字の字面」、これは少しずつ指す内容が重複してしまっている。「2020」自体が数字なので、わざわざ「数字」と言わなくても伝わるのでカット。


【実例3】

最後の3つ目の実例は、こちらの冒頭部分から。

今度は少し長めの文章で、Before/Afterを見てみよう。

▼Before

年末年始は娘がインフルエンザにかかってしまい、家に引きこもることになってしまった。その結果、本当は予定していなかった大掃除に手を付けてしまい、キレイな家で気持ちよく新年を迎えることができた。

(Twitter引用:大掃除をしたツイート)

基本的に家に引きこもっていたため、いつもよりのんびりnoteを読んだりする時間もあって。いろんな人の文章を読んでいると、みんなすごいなぁ、世の中の人全員が私より才能があるんじゃないか…と、少し胸が苦しくなるような感覚を覚える(こういうとこある)。

表現やトーン、言葉選びなど、文章にはその人のカラーが出るなぁと思う。

私にはエモい文章は書けないし、ユーモアのある文章を書くセンスもない。華々しいキャリアもないし、偉い人でもないし、かといってどん底の経験をしたわけでもない。

▼After

年末年始は娘がインフルエンザにかかってしまい、家に引きこもることになってしまった。その結果、予定していなかった大掃除に手を付け、キレイな家で気持ちよく新年を迎えることができた。

基本的に家にいたため、いつもよりnoteを読んだりする時間もあって。いろんな人の文章を読んでいると、みんなすごいなぁ、世の中の人全員が私より才能があるのでは…と、少し胸が苦しくなったりも。

文章にはその人のカラーが出るなぁと思う。

私にはエモい文章は書けないし、ユーモアのある文章を書くセンスもない。偉い人でもないし、かといってどん底の経験をしたわけでもない。

[解説]

1. 「本当は予定していなかった大掃除に手を付けてしまい」→「本当は」と「てしまい」をカットして短く。

2. (Twitter引用:大掃除をしたツイート)もここではカット。ツイートの内容が今回のテーマ(本筋)とはそれほど関係ないので、必要性は薄い。ツイートは引用していいけれど、内容をサポートするものでなければブレるし、読み手にとってはその分画面をスクロールする負担になってしまう。

3. 「基本的に家に引きこもっていたため、いつもよりのんびりnoteを読んだりする時間もあって」→「引きこもって」「のんびり」をカット。「引きこもり」は1文目にも出てきているので、2回も重ねるとくどい。引きこもりすぎ。

4. 「私より才能があるんじゃないか…と、少し胸が苦しくなるような感覚を覚える(こういうとこある)。」→「私より才能があるのでは…と、少し胸が苦しくなったりも。」とスリム化。自分ツッコミもばっさり削除。

5. 「表現やトーン、言葉選びなど、文章にはその人のカラーが出るなぁと思う。」→「表現やトーン、言葉選びなど、」をカット。あっても悪くないけれど、ここでは短文にしてインパクト重視。伝わるし。

5. 「私にはエモい文章は書けないし、ユーモアのある文章を書くセンスもない。華々しいキャリアもないし、偉い人でもないし、かといってどん底の経験をしたわけでもない。」の「華々しいキャリアもないし、」をカット。前文は2つの例(対感)を挙げているので、後文も2つに揃えて、リズム感を整える。


最後に大切なこと

…と、ここまで3つの例を見ながら文章の削り方の解説をしてきた。

ただし、これが「正解」ではない。人によって好みはあるし、どんな場で書くか、どんなジャンルを扱うか、自分はどう見せたいか――で、全然変わってくる。言い逃れではなく、本当に。

読んでみて「うーん、削りすぎじゃない?」「なんか好きじゃない」と思った方がいたら、その感性もまた正しいはず。

大切なポイントはこの2つ。

・自分の文章の中で、削る方針(ポリシー)を統一する
読み手のことを最優先に考える(読みやすさは、相手への思いやり!)


以上、読みやすい文章を書くための削り方【実例編】ということで、少しでも参考になれば嬉しい。

それでは、また。


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