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南国育ちの短歌集

南国の夜空彩る篝火や 夜蝶の娘は汐風に舞う 紅染めの渚に流れてくるものは 何も哀しみばかりではない 確率の世界に踊る夜蝶は レバトン魅せる刹那の幻 南国の甘き幻 …

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1か月前

雨の短歌集

雨降りの街を往き交う傘の下 ひとりひとりの影は透明 雨降りの窓辺に憩う憂鬱は 寂れた喫茶の猫の眼差し 山奥に打ち捨てられた信号の 雨に夢むは街に在りし日 雨降りの…

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2か月前
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春の短歌集

いま君の髪を揺らしたその風は かつてギリシャの詩を聞いていた 春風にめくられ進む物語 少女は駆ける 紙上の荒野を 教室の窓辺の君がはにかめば 知らない風は花を散ら…

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2か月前
7
南国育ちの短歌集

南国育ちの短歌集

南国の夜空彩る篝火や
夜蝶の娘は汐風に舞う

紅染めの渚に流れてくるものは
何も哀しみばかりではない

確率の世界に踊る夜蝶は
レバトン魅せる刹那の幻

南国の甘き幻 夜蝶は
生き血を吸いて美しく舞う

天国へ誘う紅き夜蝶を
追いかけ至るは地の獄か

雨の短歌集

雨の短歌集

雨降りの街を往き交う傘の下
ひとりひとりの影は透明

雨降りの窓辺に憩う憂鬱は
寂れた喫茶の猫の眼差し

山奥に打ち捨てられた信号の
雨に夢むは街に在りし日

雨降りの中洲をひとりさすらへば
匂い立つのは紅さす横丁

土曜日の学校終わりの永い午后
雨降る路地に天使は降りて

春の短歌集

春の短歌集

いま君の髪を揺らしたその風は
かつてギリシャの詩を聞いていた

春風にめくられ進む物語
少女は駆ける 紙上の荒野を

教室の窓辺の君がはにかめば
知らない風は花を散らして

うそ、と君が笑えば真白のカーテン
やさしき春のひかりをたたえて

ゆきが降る、なんて君がうそぶけば
瞳に映る 桜のふぶき

水墨のような山あい 咲く花の
夢幻のごとし 白き春雨 

在りし日に通った坂道 学び舎の
桜の薫りは今

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