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南国育ちの短歌集

南国の夜空彩る篝火や 夜蝶の娘は汐風に舞う 紅染めの渚に流れてくるものは 何も哀しみばかりではない 確率の世界に踊る夜蝶は レバトン魅せる刹那の幻 南国の甘き幻 夜蝶は 生き血を吸いて美しく舞う 天国へ誘う紅き夜蝶を 追いかけ至るは地の獄か

    • 雨の短歌集

      雨降りの街を往き交う傘の下 ひとりひとりの影は透明 雨降りの窓辺に憩う憂鬱は 寂れた喫茶の猫の眼差し 山奥に打ち捨てられた信号の 雨に夢むは街に在りし日 雨降りの中洲をひとりさすらへば 匂い立つのは紅さす横丁 土曜日の学校終わりの永い午后 雨降る路地に天使は降りて

      • 春の短歌集

        いま君の髪を揺らしたその風は かつてギリシャの詩を聞いていた 春風にめくられ進む物語 少女は駆ける 紙上の荒野を 教室の窓辺の君がはにかめば 知らない風は花を散らして うそ、と君が笑えば真白のカーテン やさしき春のひかりをたたえて ゆきが降る、なんて君がうそぶけば 瞳に映る 桜のふぶき 水墨のような山あい 咲く花の 夢幻のごとし 白き春雨  在りし日に通った坂道 学び舎の 桜の薫りは今も変わらず 年ごとに綴られ消える花の歌 それは桜の散るに同じか 歌舞伎町 ネ

      南国育ちの短歌集

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