マガジンのカバー画像

詩集

79
運営しているクリエイター

2024年2月の記事一覧

海食の詩

海食の詩

夢をみて

落っこちたらいいのに

ぼくがゆっくり

食べてあげるよ

打ちつける波のように

きみを愛して

いたかっただけなのに

乱れる飛沫に

目を伏せて

ぼくの目の前に立っている

頬はふやけて

もう少しなのに

きみのこころ

海にふたをしてるみたい

ぼくの目の前にいるのなら

すべてをさしだして

たやすくひとのみ

きみの全てを

あいしてあげる

分からなくなって

しまえ

もっとみる
ペルシアの空

ペルシアの空

生まれてすぐは

なにも見えなくて

ペルシアの空は

心のなかに

夢のような

溢れだす心地

本物はいつもここに

信じていいの

懐かしいのは

ペルシアの空に

全て置いてきたの

風は吹いている

渡り鳥

語りかけてるよう

優しさはいつもここに

信じていいの

きっと本当なんだろう

七つの星が呼んでいる

聞こえているよ

ペルシアの空

茶埜子尋子

青碧の賢者

ひし形のランプで

樹洞を照らせば

美しいくに

この世の隠れ家

きっと見つけてしまったから

いのちのならわし

染みこんでゆくの

すっかり目はさめて

呪文のようにささやくの

"イル・フォー・ド・トゥー
・プール・フェール・アン・モンド"

茶埜子尋子

体温の宿

体温の宿

からだ中 幸せにひたして

そっと息を ふきかければ

この場所はぼくの

ひとりじめ

くらり とわり

しのびよる悪魔をむかえいれよう

まるいあわで

せっけんにかえよう

めまい

ゆられて

ほほうめる

桃色の恋

シャボン玉が飛んだ

茶埜子尋子

ハートソング

ハートソング

むかえにいくわ

やさしい気持ち こぼれ落ちる前に

魔法のことば

やさしいうた きみに捧げるうた

むかえにいくわ

なみだの音が こころくすぶる前に

あなたの話し

よくきかせて きっと遠くないから

ふりむいて ゆらゆら

人影が あなたへ

"もどりたい もどれない
もどりたい もどれない"

記憶をあばいて

むかえにいくわ

やさしい気持ち

こぼれ落ちる前に

茶埜子尋子

葉脈の詩

葉脈の詩

どくり どくり

聴こえないけど

それでも生きてる音がほしい

トンボの羽はきっと

葉脈のまねっ子

繊細でしなやかな線

どこにも直線なんてない

生きてる線

流れつづける

透明なつぶを

ひとつひとつ押しあげて

私たちには聴かせずに

静かにしずかに

生きてる

茶埜子尋子

龍神さま

龍神さま

青いうろこ

流れ星のように

海に散りばめて

むらさきの雲を

こえてゆく

りゅうのおひげ

優しくしなやかに

穹に舞いあがれ

永遠のひかり

白いかぜ

透明なまま

流れだして

この痣は

生きてる印

茶埜子尋子

土産にどうぞ

ぼうえんきょうから見たの
青いひかりにひかれて
宇宙にたったひとつだけ
美しい惑星

プラネタリウムみたいな
鉄くずのエレジー
ブリキのような輝きが
お好きなんですね

ざくろは初恋の色
カマキリはみならい侍
わたしはハズレのあみだくじ
みにくいアヒルは悟りを開く
教祖の誕生

Uh...

きみの間違いは全部
この世の発明なんだから
好きにしちゃっていいよ
みんな知らないだけ
そうさ僕らを狂わせ

もっとみる
ほとめき

ほとめき

うすべにのおひな様

子どもたちの手をとって

その唇はきっとほろ酔い

風が桜に染まるのと

星がおかしにかわるのは

きみの きみの

きみのせい

きみにふれると桜になるよ

蹴鞠 曲水

花化粧

祈る手に夜桜

茶埜子尋子

心酔

心酔

窓から果実を落とせば

夢見心地

ちっぽけな世界で

わたしは幸せになる

やさしい明日つまみだして

ルネサンスの香

閉ざされた世界へ

高くたかく飛んでゆく

お花畑

おしゃかさまの

やさしい声

茶埜子尋子

ルラルラの詩

ルラルラの詩

このまま

嵐をみたいの

ほおづえついて

命のあかさに

気づくの

あなたへ

夜空をうかべて

気高いこころ

愚者のようにほら

ルラルラ

しがらみは

風のうたの詩にかえて

まだ見ぬ世界へ

つながっていくの

ルラルラ

ルラルラ

ルラルラ

茶埜子尋子

羊が一匹、羊が

羊が一匹、羊が

羊が一匹

痩せた花をみてる

道に迷っているの

羊が一匹

もう戻れないね

おかし無くしちゃった

草むらに消えてゆく

秘めやかなしるし

世界のことわりを知った

あなただから

いま 手をのばすの

羊が二匹

怯えないで

まちがえちゃうから

正しいばしょを

おしえて

見開きの絵本

もうおわったの

もう一度

はじめから

読んであげる

茶埜子尋子

夜凪の詩

夜凪の詩

あなたの狂気に

耳すませて

泣いている

あの子を連れていく

盲目のウミガメ

真珠や白装束

珊瑚の鱗

どれもどれも

美しいものばかり

茶埜子尋子

妖精の詩

妖精の詩

とぅいんくる

とぅいんくる

りーとるすたー

キラキラひかる

小さなステッキを

くるくる

くるくる

りーとるすたー

って遊んでる

羨ましいな

妖精さんの特権

気まぐれなウインク

バレエのような

軽い羽ばたき

そんなに見つめないで
花にしちゃうわよ

脅し文句もかわいいのね

茶埜子尋子