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陶芸家・三宅直子さんの、水屋にも点前座にもなるキッチン・前編 【連載:「お茶を一服、いただけますか」第一回】

いつの間にか吹き抜ける風もあたたかく変わり、窓から見える氷川神社の緑は日に日に鮮やかに青々としていきます。
さいたま市大宮区から、茶と家企画室・わたぬきです。

去るゴールデンウィークのよく晴れたある日、陶芸家で私のお茶仲間でもある、三宅直子さんのお宅へお邪魔し、お茶を一服いただいてきました。
茶のある暮らしを彩る、作家さんならではのこだわり抜いた空間をご紹介します。

【連載:「お茶を一服、いただけますか」について】
茶の湯とともに暮らす方のご自宅にお邪魔して、お茶を一服点てていただき、支度や片付けなどを見せていただく連載です。

お茶を始めたばかりの方にとって、
「何から買えばいいの?」「お手入れは?」「保存方法は?」
などなど、疑問は尽きないことと思います。
また、茶の湯が日常になるにつれ、
収納や使い勝手など、お悩みもどんどん出てきます。

茶道具には様々なものがあり、取り扱いもそれぞれ。
そして、ご自宅の茶の湯をする空間も収納場所も人それぞれ。

きっと、疑問・お悩みを解決策もひとつではなく、ひとりひとりの暮らしに合った正解があるのではないか。
そしてそれはとてもたのしそうではないか。
おうちでのお茶生活の様子、見たい、知りたい。

ちょっとずうずうしいお願いなのですが、
茶のある暮らしを送る皆々様、お茶を一服、いただけますか。


お邪魔したのは、陶芸家三宅直子さんのご自宅

いつも柔らかい笑顔であたたかな空気をまとった直子さん

三宅直子さん
大阪生まれ
大阪芸術大学美術学部工芸学科陶芸コース卒業
多摩美術大学大学院美術研究科陶コース修了
現在 東京都町田市の自宅兼工房にて作陶
多摩美術大学在学中に裏千家茶道教室に入門
作品制作と子育ての傍らでお稽古を続けられています
Instagram

直子さんと私は、八王子市の山ひとつ挟んだお隣の美大の院と学部に通っているときに、裏千家のお教室で出会いました。
ほぼ同時期に入門した年の近い社中で、ちょっとしたことを聞いたり、楽しみを共有したりすることがしやすく、とても親しみを感じている同期です。

ちなみに茶道はじめ日本文化のお稽古ごとでは同門の仲間のことを社中と呼びます。



三宅さんのお茶空間(キッチン、リビングダイニング)

広々としたカウンターキッチンが印象的なLDK

ご案内いただいたのは、ご自宅2階のリビングダイニングキッチン。
大きな窓から明るい光が差し込み、猫さんうとうとしている癒しの空間でした。
ハチワレ猫さんはヒマラヤちゃん。もう一匹、アルプスちゃんがいるのですが、この日は終ぞ姿を見れず。警戒心が強い猫さんもかわいいです。


ではさっそく、収納棚よりお道具を出すところから見せていただきます。

収納

全体図①の場所・茶道具専用の棚

よくある普及型のキッチンでは、天井の高さいっぱいまで戸棚になっていることが多いですが、直子さんのキッチン収納は目線の高さの一段のみの潔い設計。
踏み台などを使わなくても全ての道具に手が届き、なおかつ上開き扉で全面を開放できる作りのため、安全に出し入れすることができます。

戸棚後ろの壁も直子さんの作品のタイル
淡いグレイッシュな青緑色がきれい
戸棚の中身

見た目はスタイリッシュなのに、驚きの収納力です。

焼き物の茶碗、水指、建水はすべて直子さんの作品。
この棚には日々のお茶に使うものを入れており、器はたくさんの作品から翌日使うものなどを選んで加えているんだそう。

「しまい込んでいると使わなくなっちゃうし、お茶もしなくなってしまうから、すぐ使えるところに置いておくんです」

本日の茶碗や菓子器も、すでに選んでキッチンの上に控えてくださってました。

全体図②の引き出し収納
直子さんの作品だけでなくほかの作家の作品もたくさん
余談ですが右上にある某怪獣の酒場の豆皿、
我が家にもあるのでちょっと嬉しかったです

お仕度

いちど茶漉し缶を通した抹茶を棗に張る
穏やかな山形を作る
鉄瓶に浄水を張り、火にかける
水指も浄水で満たし、コンロとシンクの間に据える

三宅さんのキッチンは奥行が広くフラットなタイプ。
コンロとシンクの間に十分なスペースがあり、お道具を並べると素敵な点前座になりました!
カウンターキッチンなのでダイニングテーブルのお客様とお話をしながら点てられ、湯も冷めないし、合理的で美しい。真似したい。(毎日キッチンがきれいであることが大前提ですが…)

お仕度ができたところで、少し長くなりましたので前編はここまでに。
続きはこちら↓

最後に、お道具情報や三宅直子さんのアトリエ情報をご紹介いたします◎

お道具紹介

茶碗、銘々皿、建水、水指
焼き物はすべて直子さんの作品で、
黒にシルバーの幾何学模様が遊ぶシリーズの建水、水指、茶碗は、お茶の先生のご依頼で製作した皆具のプロトタイプなんだそう。
鉄のような黒、湖のような水色に、幾何学模様や身近で意外な素材の模様が遊ぶような作品が印象的です。

薄茶器
北海道の木地工房、円舘工芸舎で作られた槐(エンジュ)の薄茶器。
直子さんの遊び心ある作品に寄り添う無垢な表情です。
「道具屋さんにもお世話になってますが、作家さんや工房から直接購入するものが好き」と仰っていました。

鉄瓶
俵屋宗達の風神が持っている風袋を思わせる、持ち手のカーブが印象的な鉄瓶は南部鉄器の壱鋳堂。


'n studioオープンアトリエ

東京都町田市南成瀬の直子さんのアトリエ[「'n studio(エン スタジオ)」では、陶芸制作の場として毎月オープンアトリエを開催されています。

・毎月第1・3金曜日 または 第2・4金曜日
・9:30-12:00 または 14:00-16:30
・会費 ¥5,000/月
・土代(釉薬・焼成費込み) ¥1,000/800g
・入会金 ¥5,000
・JR横浜線「成瀬」駅より徒歩約15分
・お問い合わせ: mail@e-n-studio.com

藤野ぐるっと陶器市 2022.5.21(土)-22(日)

神奈川県相模原市緑区「芸術の町 藤野 」で開催される「藤野ぐるっと陶器市」に、三宅直子さんも出品されます。
相模原と山梨の県境、緑陰が心地よい陶器市です。ぜひおでかけください。

【藤野ぐるっと陶器市】
・2022.5.21(土)-22(日)
   am10:00 ~ pm 5:00
・出品場所 「工房 艸(そう)」
・神奈川県相模原市緑区日連675-5 
・tel 090-5409-3736

文:わたぬき 絵:わだのぞみ

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