シェア
狭霧 織花
2024年7月12日 12:27
かんかん照りとはよく言ったものだ、などと考えながら店先で手を日除けに空を仰げば、まばゆい光が指の隙間から針のように差し込んでくる。たったそれだけで暑さを感じてしまうのだから夏はいけない、と少しだけ文句が言いたくなる。 夏は嫌いではないが、暑さは苦手だ。体力がないという自覚を差し置いても、空から焼かれ地上からあぶられ、体から水分を奪って体に熱を注ぎこもうとしてくる意思すらあるように感じてしまう。
2024年7月5日 12:34
その魔法店は、珍しいものを売っている。薬草でも、薬でも、呪文や巻物でもなく。きらきらと光る砂糖菓子だ。一口大のそれは様々な色をしており、まるで宝石のようで、見る者すべてをとりこにした。ショーケースの中には色とりどりの砂糖菓子が並べられ、客はその中から好きなものを選んで瓶に詰めてもらって買い取っていく。 砂糖菓子にはそれぞれ色や顔料の素材や宝石の名前などがつけられているが、さらにもうひとつ、それ