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歌誌『塔』より

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歌誌『塔』に掲載された歌や評をまとめています。
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#短歌

歌誌「塔」創刊七〇周年記念特集:公募エッセイ「言葉はそのまま光となりぬ」

歌誌「塔」創刊七〇周年記念特集:公募エッセイ「言葉はそのまま光となりぬ」

みなさま、こんにちは。
今日こちらは雲ひとつない好天です。

私の所属している歌誌「塔」は創刊70周年を迎えました。
これを記念して4月号では特集が組まれています。
その中のひとつに公募エッセイがありました。

次の3つのテーマのうちひとつを選んで、末尾に自作の一首を添えて提出するというものでした。
①わたしの最初に載った一首(入会して最初に「塔」に載った歌を挙げること)
②わたしが塔に入った頃

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歌誌『塔』2024年5月号掲載歌「お姫さまのやうな名前の」

歌誌『塔』2024年5月号掲載歌「お姫さまのやうな名前の」

みなさま、こんにちは。
初夏の風。今日はいまのところ湿度も低くて快適です。

昨夜から『DIE WITH ZERO:人生が豊かになりすぎる究極のルール』という本を読み始めました。
ずっと気になっていてそのままにしていたのです。
カバーの端に「人生で一番大切なのは、思い出をつくることだ」と書いてあります。

最近、部屋の観葉植物が新しい葉っぱを次々と出しています。
冬よりも夏ほうが好きなようです。

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歌誌『塔』2024年3月号作品批評(2024年5月号掲載)-後編-

歌誌『塔』2024年3月号作品批評(2024年5月号掲載)-後編-

みなさま、こんにちは。
今日は暑いですね。
いま洗濯乾燥機を回しているのですが、室温も少し上昇しています。

今回、題詠四季(9月号)に初めて投稿してみようと思います。
葉書も買ってきました。

それでは3月号の作品批評をどうぞ。

選者:梶原さい子
評者:中村成吾

冬空から湖に飛来するコハクチョウの軌跡を「光の筋」と表現したところに掲出歌の眼目がある。
コハクチョウの白、冬という季節の白、これ

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歌誌『塔』2024年3月号作品批評(2024年5月号掲載)-前編-

歌誌『塔』2024年3月号作品批評(2024年5月号掲載)-前編-

みなさま、こんにちは。

今日は早朝4時に目が覚めてそこから朝散歩。
涼しくて静かで心地よい朝でした。

そして本日は文学フリマ東京の開催日。
久々に見に行こうかと思っていたのですが、あいにく家の排水管清掃が入ってしまいました。
業者の方がお見えになるので、在宅していなければいけないのです。
おとなしく本を読んでいます。

それでは3月号の作品批評をどうぞ。

選者:梶原さい子
評者:中村成吾

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歌誌『塔』2024年4月号掲載歌「水面(みなも)にさくらの花びらひかる」

歌誌『塔』2024年4月号掲載歌「水面(みなも)にさくらの花びらひかる」

みなさま、こんにちは。
連休の方も多いと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。

それでは『塔』2024年4月号の掲載歌。山下泉選です。

「シロツメクサ」いわゆる「四つ葉のクローバー」でおなじみの草花。
白詰草と書くのは、江戸から明治にかけて、輸入品の詰め物(衝撃緩衝材)として用いられていたことによります。植物図鑑などを参照するとだいたい書いてある通説ですね。

「餃子の満洲」は父から教えてもら

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歌誌『塔』2024年2月号作品批評(2024年4月号掲載)-後編-

歌誌『塔』2024年2月号作品批評(2024年4月号掲載)-後編-

みなさま、こんにちは。
今日は初夏の風。
四月号の歌評原稿を書き終えたら外に出る予定です。

写真はやまぶきの花です。

選者:梶原さい子
評者:中村成吾

古本を買ってひらいてみると書き込みがあった。うわ、書き込みがあるよ…と落胆するか、どれどれ何が書いてあるんだ…と愉しむか。主体は後者のようだ。歌集や句集では作品の頭に丸印がついている古本にお目にかかることが多い。気になる言葉に波線が引いてあっ

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歌誌『塔』2024年2月号作品批評(2024年4月号掲載)-前編-

歌誌『塔』2024年2月号作品批評(2024年4月号掲載)-前編-

みなさま、こんにちは。
ここ最近、一気に気温が上がってきました。
街中には半袖の人も。

写真は「みぞそば(溝蕎麦)」の花です。
それでは2月号の作品批評をどうぞ。

選者:梶原さい子
評者:中村成吾

「やはらかな群れ」という把握が、子と向き合う主体の実感を読者に伝えてくれている。
短歌では「愛している」などと言わなくともしっかりと伝わるものだ。
そして、下の句では主格を入れ替えたリフレインが展

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歌誌『塔』2024年3月号掲載歌「小窓をあけて鳥語を聴きぬ」

歌誌『塔』2024年3月号掲載歌「小窓をあけて鳥語を聴きぬ」

みなさま、こんにちは。

昨年の夏に私家版『歌集 瑠璃色の夏の終りを見届けながら』を作成しました。先日、日本現代詩歌文学館(岩手県)に寄贈したところ、受理していただきました。現在、一般書架に配架されております。書誌番号はB10931274。自分の書誌レコードが作成されているのは不思議な感じ。嬉しいけれど。

それでは『塔』2024年3月号の掲載歌。小林信也選です。

休日は予定がないほうが好き。本

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歌誌『塔』2024年1月号作品批評(2024年3月号掲載)-後編-

歌誌『塔』2024年1月号作品批評(2024年3月号掲載)-後編-

みなさま、こんにちは。

この前読んだ本で「来世とはまぶしきことば花こぶし」(柴田白葉女)・「みづうみは光の器朝ざくら」(片山由美子)という句に出会って、良いなぁと思いました。

それでは後半にまいりましょう。

選者:梶原さい子
評者:中村成吾

いのちの終りを見届けることのできる者はまだ生きている者である。
蜘蛛や蜻蛉などの天敵に襲われることもなく、自動車にぶつかって跳ばされることもなく、そし

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歌誌『塔』2024年1月号作品批評(2024年3月号掲載)-前編-

歌誌『塔』2024年1月号作品批評(2024年3月号掲載)-前編-

みなさま、こんにちは。
今日はあたたかい一日になりそうです。

短歌における評とは何か…ということをあまり深く考えずに、選んだ一首について書きたいことを書いています。
ほんとうにこれで良かったのか、と不安を感じたり申し訳なく思ったりすることもしばしば。
毎月迷いながら書いております。それでは、どうぞ…。

選者:梶原さい子
評者:中村成吾

『源氏物語』須磨の巻。「ありあけの月」とは、夜が明けても

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歌誌『塔』2024年2月号掲載歌「海のなかにもまた海がある」

歌誌『塔』2024年2月号掲載歌「海のなかにもまた海がある」

みなさま、こんにちは。
早いものでもう3月に入りました。
今日はまだマフラーが必要な寒さです。

この記事には載せておりませんが、選から漏れてしまった歌にこそ、よりよい歌を詠むためのヒントがありますね。
今月は私にとって挑戦的な?テーマだったので「これはダメ、あれはセーフ」と多くの学びをいただきました。
それでは『塔』2024年2月号の掲載歌。山下洋選です。

夕顔…と聞いて私が真っ先に思い起こす

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歌誌『塔』2023年12月号作品批評(2024年2月号掲載)-後編-

歌誌『塔』2023年12月号作品批評(2024年2月号掲載)-後編-

みなさま、こんにちは。
今日は時折みぞれが降っています。

それでは12月号の評の後半をどうぞ。

選者:梶原さい子
評者:中村成吾

上の句の間投助詞「よ」が余情を添えながら、下の句の主体の動作へと歌の流れをなめらかに導いている。「開けて確かむ色あせぬうち」という無駄のない引き締まった下の句も魅力的だ。
硝子窓の全面に映っている夕陽。窓を開ければさらに景が広がる。一首全体の運びに淀みがなく、たい

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歌誌『塔』2023年12月号作品批評(2024年2月号掲載)-前編-

歌誌『塔』2023年12月号作品批評(2024年2月号掲載)-前編-

みなさま、こんにちは。
歌誌『塔』が家に届くともう一か月経ったのだなと思います。
月日が経つのは早いものですね。

本記事では、2023年12月号分で私が担当した評の前半を採録しました。
自分が歌を詠む以上に、人様の歌を読むことに喜びを感じています。
後半はまた別の記事で…。

選者:梶原さい子
評者:中村成吾

群れ咲く白いあさおが、少しぼかしてしっとりと描かれている。そんな抒情ゆたかで涼感ある

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歌誌『塔』2024年1月号掲載歌「君のくちびるすこし濡れてる」

歌誌『塔』2024年1月号掲載歌「君のくちびるすこし濡れてる」

みなさま、こんにちは。
もうすぐ1月もおしまいですね。

今年はどのような本を読み進めようか…
皆さんは読書の目標はありますか?

式子内親王集全釈、尾崎左永子短歌集成、山中智恵子全歌集など…買ったけれどまだ開いていない大部な本たちをきちんと読みたいと思います。

それでは『塔』2024年1月号の掲載歌。花山多佳子選です。

今年はどのような短歌ができるのか楽しみです。
5月号の詠草をそろそろ清書

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