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歌誌『塔』2024年3月号掲載歌「小窓をあけて鳥語を聴きぬ」

みなさま、こんにちは。

昨年の夏に私家版『歌集 瑠璃色の夏の終りを見届けながら』を作成しました。先日、日本現代詩歌文学館(岩手県)に寄贈したところ、受理していただきました。現在、一般書架に配架されております。書誌番号はB10931274。自分の書誌レコードが作成されているのは不思議な感じ。嬉しいけれど。

それでは『塔』2024年3月号の掲載歌。小林信也選です。

かなかなのいつしかしんと鳴きやんでゆふべの空に鈍色垂らす
園児らは葉つぱがなくてかはいさうと彼岸花をさして言ひにき
愛子さまの登校なさる朝のみち金木犀のかをり漂ふ
側衛官そくえいかんと呼ばるる人らキャンパスのあちらこちらに立ちて見守る
黒板に〈そしてまた〉とふ丸文字を残して去りし姫野先生
予定なき日曜の朝わたくしは小窓をあけて鳥語を聴きぬ

『塔』2024年3月号p155

休日は予定がないほうが好き。本も休日も余白が大事。

★2024年8月13日追記
「予定なき日曜の朝…」の拙歌に宮脇泉さんが評を寄せてくださいました。ありがとうございます!

予定なき日曜の朝わたくしは小窓をあけて鳥語を聴きぬ
<評>
ゆったりとした日曜日の朝、庭に面した小窓を開けると庭木に鳥たちが集まっている。作者は鳥の声を聞くのではなくて、鳥の言葉を聴いているのだ。鳥に対して敬意を持って接している感じが心地良い。鳥の語る物語を静かに聴きながら、ゆっくりと時は流れていくようだ。(宮脇 泉)

『塔』2024年5月号p221


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