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20人以下の企業数が300万社。それぞれが1%でも経常が上がれば凄い事になるはず。

 僕達の従事するクリエイティブやデザインの事業は、モノを作ったり売ったりしている方々からの仕事があってこそ成り立つ業種だと思っています。

伝統産業だけではなく製造業を守り、継承し、存続させようとされている方々を応援したいという気持ちから、現在の会社の活動が生まれました。

デザインの提供だけでは解決していかない事も、これからどんどん増えて行くでしょう。私達はそれを実際に製造業の現場で感じてきました。新しいモノ作り(デザイン)には新しいミチ(販路)も必要であること。

そして次の世代に向けた製造業と、クリエイティブ産業の持続可能な関係を作るための考動(考えて動く)をしなければと。その想いを強く持ち始めて今に至っています。1999(平成11)年に3,000円の元手で設立して以来、主に企業の広告やウェブサイト、ロゴ、プロダクト、パッケージ、会社案内やカタログなど販促ツールのグラフィックデザイン、制作を手がけてきました。

デザインやプロデュースなど各分野の強みを活かして連携しながら、業界を問わず様々なプロジェクトを遂行し、流通を見据えた商品の開発と商流設計、販売もしている会社です。

今でこそ地域との開発の連携が増えましたが、デザインの現場でも機械の発達とともに、僕らの仕事はこれからどんどん変わる可能性があるのではないかと起業時から感じていました。 

受託している下請けのデザイン仕事だけでやっていけるだろうか、そして自分たちの存在意義を世間に示していけるのだろうか、受注型の仕事で高下することに漠然とした不安から、とにかく自分たちでも何かを作って売ってみようと考え、僕らののモノづくりは始まりました。

今では日本各地の地場産業の生産者と共に、地域の技術を活かした商材の開発を進める「みんなの地域産業協業活動」が私達の仕事のこれからの流れを作っていくことになると考えています。この活動では各産地の技術と新たなプロダクトをデザインし、広く流通させる事業に取り組んでいます。

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各地で出会った地場産業と連携してきて感じたことは、これまでの伝統的なものづくり産業が疲弊してきている一番の理由は職人側ではなく「商人の弱体化」だと。これまで各産地で分業型の中で職人たちをまとめ、商品を開発、流通、そして新たな仕事を確保してきたのは問屋と呼ばれる商人の存在だったのですが、ほとんどの問屋は陶磁器なら器の業界、箪笥なら家具の業界へ、友禅染なら呉服業界へ、要は専業商流に特化してきました。

良いときはそれでよかったのかもしれませんが、その業界が熟してくると問屋間で競争が生まれます。そのときに企画でも対応された方と思いますが、ほとんどの事業者が価格を下げる方法で対応してきてしまったと聞いてます。

問屋1社が値を下げる、また他の1社が値を下げる、そしてついには生産拠点を国外へ変えてしまう。で今では国内の生産者が弱ってしまい、生産者が販売流通を手がけないといけなくなってしまった。そもそも商売をしっかり守らなければならない存在があっという間に国内製造を切ってしまった。

もちろん職人側の努力が不足していたかもしれませんが、今は農商だけではなく製造業も6次化していこうという流れになり、補助金も増えました。ただ、これまで製造しかしてこられなかった工芸や工場の職人たちはいきなり商品を開発、販売の現場にいかねばならなくなりこれまでの仕事から大きくシフトし始めます。

職人要素で構成されてきた工房は商人の要素も持たねばならなくなり、中規模の会社にとっては何とか進めてこられた会社もありますが、個人規模の工房や工場では新しいものを作れと言われつつ、営業も販売も頑張らないといけない状況に突入してきています。いつやればいいのかと。

そもそもは問屋がものづくりに必要な工場や職人を座組して商売してきたのですが今は機能しなくなってきうている。そういった意味でも改めて今の世に合った新しい問屋や商人の形=次世代の問屋のスタイルを構築していく時が来ているのではないかなと思うのです。

僕はそれを「ニュー問屋」と呼んでおります。物品を右左するだけではない新たな存在。地域のヒトやコトやモノにきちんと向き合って持続させていく存在。

ヒトの面についてもこれまでもデザイナーを育成する期間は沢山あり、職人の育成する専門校もあったわけです。ただ、デザインや工芸や工場の技術を世の中に流通させることを教える学校や存在をこれまで聞いたことがない。設計者が世に沢山増えてきても、そういう要素を世の中へ活かす人材が現場に沢山育ってきていないことも大きな課題であると思う。形や見え方がが美しくても流通していかなければ製造から流通へきちんと循環し、持続していかなない。

ニュー問屋に近い存在としては今はプロデューサーと言われる人材も都市部を始めとして増えつつあります。が、殆どが個人事業者が多い、そこそこの規模でないと商流に対してプレゼンテーションはできても物流なども事務的なことを大きくは機能していないのも現実だと思います。

国のプロジェクトなど比較的大きめな事業に関しての与信があるレベルのプロデュース会社は少ない。そして新しい商流を作る商人やプロデューサーを必要とされているはずなのに日本各地の事業者はこういう関節的なアプローチをする事業者への仕事への費用観念、仕事への認識が少ないのか地方へ行くほどに関節事業者の労働に対する仕事への意識や費用への意識は低い。

製造、販売してこられた業界からの仕事で成り立ってきたのは我々のようなクリエイティブ業界。大きな家電メーカーやサービス産業からロゴやカタログやパッケージ等請け負ってきた僕らの業界は大手の商品が売れなくなれば仕事が減少しますし、大手の1メーカーが海外メーカーにM&A,されてしまいますともはやその会社からの仕事自体もなくなってしまいます。

クリエイティブ側ではこれから製造者が更に減少することで状況が加速するかもしれません。次の需要が減ると製造業もクリエイティブ産業も合わせて、地場産業は衰退の一途をたどってしまいます。それだけ製造業のこれからのあり方は我々の業界にも大きく強く影響していくかと思われます。

製造業だけの問題ではなくなってきているのです。

クリエイティブ産業に従事する自分たちからもこういった課題へ何かできないのだろうか、各地の生産者と会うたびにその気持ちは強くなってきました。

中小企業が多い日本で製造業とクリエイティブ産業が稼ぎのバトンを渡しあう持続可能なデザインと製造業のきちんとした関係を考え行動してきていかねばなりません。


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