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作り手と異業種との技術の交配から「新しい商売」を

工場や職人ごとにできることがあるのと同時にできないことが必ずあります。

ここまで広げたいと思っていても、自分たちだけではできない。

また、これまで下請けとして生産の一過程を請け負っていただけだと、自分たちだけで完結できるモノづくりの事業を起こすこと自体が難しいケースもあります。

同じ要素をいくら掛け合わせても、違う土地へは旅立てない。工場と工場や職人とデザイナーとの良いマッチングを進めていくためには、第3者が橋渡しすることが大事なんだと感じます。

そんなとき、他社の技術や設備を活用できれば、難しいことが解決できることもあるのです。自社から、無理やりに商品の新ブランドを立ち上げるというのではなく、今あるものを他と共有しながら再生の道を模索する手もあるのです。

今では各地で行われている異業種交流会や名刺交換会。
自分たちも大阪で12年間進めてきた『LOBBY』という異業種交流会があります。

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最初は自社のスタッフの異業種との関わりを増やしていくことでコミュニケーション力を上げていきたい想いからはじめた会合です。最初の参加人数は10名くらいだったでしょうか、だんだんと会を重ねていくうちにメンバーも増えて業種もさまざまな会になりました。すると他の街から参加されていた方々から「うちの街でもやってみたい」とお声をいただくようになりました。

僕らはその土地の方が実行委員を担っていただくことを条件に各地でLOBBYを進めて行くことにしました。交通費、宿泊費などの課題は会費からまかなってくださるケースもありますが、場合によっては厳しいこともあります。なので交流会で僕らは自社の商品を販売することで何とかしたりとこれまでやってきました(苦笑)

たとえば新潟ではこれまでに4回開催しましたが、2回目で繋がった新潟市のデザイン会社と五泉市のニットの会社と燕市の金属加工場の事業者同士が商品を生み出しました。そしてなんとグッドデザイン賞も受賞まで発展したケースもあります。

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こういう企画はどこでもできるかと思いきや案外難しいもんです。
初めての会社から連絡が来て、見積もりが出て打ち合わせをして。。。

お互いビジネスにしようと進めていくうちに予算やロット数が障壁になってしまいすぐに実現できないようなことも多いのです。

ですが、交流会でお酒を飲みつつ自分たちの技術や色々アイデアを話しているうちに「とりあえず試しに作ってみましょうか」ってなることもあるわけです。いきなり知らぬところから見積もり依頼が来る場合はどうしても構えてしまって仕事へ発展しづらいことは皆さん経験したことがあるかと。

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地元の職人さんを「土の人」とするならば、現地で交流会などの企画をする「水の人」と、「風の人」である僕らの3者で話をしながら、地元の人たちも巻き込んでいくよう考えています。僕はよそ者だから地元のしがらみが無い。開催したい方が人付き合いや組合などの気を使わなければならいこともあります。その方々にとってみれば面倒なこともありますが、僕らと一緒に組むことで、何かあれば僕のせいにしてもらえば良いわけです(笑)

各地で行われるLOBBYの内容はそれぞれ違います。
現地の主催者される実行委員の方には参加者や空間などのイメージを伝えていますが、場所によって課題も違うし、内容も変えます。京都では女性の職人だけのトークセッションをしたり、福井では3市の同世代の実行委員がそれぞれの土地の異ジャンルの職人を集客して交流しました。

町工場や工芸の皆さんは都市部から離れて場所を構えるケースが多い産地では普段から交流できる場所も機会も少なくなります。悩みがあっても相談できる相手が増えていかない。一次事業者の場合は特に外に出る機会が少ない。各地に行けばわかりますが、特に行きつけの飲み屋も無ければ、皆さん家で飲んでる事が多い(笑

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交流会に参加した職人は、遠くの同業種や近くの異業種、同世代で同じ悩みを抱える人たちと出会えたことに感謝してくれたり商売につながったよ!という話を聞いて、僕もすごく嬉しかった。

日本は元々は技術大国として席巻してきたわけです。

デザインだけではこの先を突破していくことはとても難しいと思ってます。
現場の高い技術やそこから生まれた素材や加工のレベルを上げていくことが本来の日本の製造業のありかただと強く思います。

各地の工場の技術を持つ人たちの強み同士をつなげていくことを、僕はこれを産地や地域の枠を越えた「技術の交配」と言っています。交配していくことで工場同士の熱量の高い最高の種が交配していくのですから、優秀な子ども(商品・サービス)が必ずや生まれると思っています。

こんなタイミングですがオンラインで各地をつなげる交流会できないかなと。

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