夏休み
女性への贈り物は、花束。
それは大嘘である。
オトコだって欲しかった。
夏の青臭い匂いが足を前に進め、背中に湧き出る汗が歩いて来た道を振り返させた。少しづつ気持ちが落ち着いてくる。
結局、親友へは自分から連絡を取った。
”仕事忙しいの?今度メシ食いに行こうぜ”
ラインはすぐに来たが、会うことはなかった。
仕事は覚悟をもって、死物狂いで取り組んだ。
ただそれが本当か分からなくなってしまった。もしかしたら自分はずっと都合の良い嘘をついてるのかもしれない。もう言い返すことに疲れてしまった。
小学生の時していた砂崩しのように、余計なものが削がれていく。「楽しく」「優しく」ありたいのである。気に入った形になったので、砂場に放置してきた。ぐっじょぶ。
親友と会うのはたしか残り3回である。
うまいことやってほしい。他人任せである。
こちらはしばらく夏休みだ。
その間はノーカウントにしてみよう。
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