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1軍デビューの今こそ聞き直したいインタビュー。この夏、土田龍空は何を語っていたのか。

突然の、鮮烈な1軍デビュー

中日ドラゴンズの高卒ルーキー・土田龍空が1軍デビューを果たした。スポーツ紙によると溝脇隼人のコンディション不良が主な理由だが、プロ2打席目で初安打3打席目で初打点と順調なスタートを切っているようだ。初スタメンだった9月12日の東京ヤクルト戦こそ2三振に2エラーとサッパリだったものの、チームは福留孝介木下拓哉のHRで劇的勝利。めったに見られないアーチ共演で“戦犯”を免れるあたり、「持っている男」の片鱗も感じさせる。

さて本題。今年6月下旬、びわ湖放送として土田にプロ入り後初のオンラインインタビューを実施した。テーマは2年ぶりに開催される高校野球の滋賀大会について。メインは球児へのメッセージだったが、去年のドラフト会議以来、久しぶりの取材だけにいろんな話が聞きたかった。最近の1軍デビューや近江の甲子園ベスト4を踏まえていま聞き直すと、なかなかに興味深い。

「諦めず、腐らず」夏3連覇

塚本:近江高校の主将だった去年の振り返りから。コロナの影響で甲子園は中止。どんな思いで高校野球最後の1年に取り組んでいたのか。
土田:甲子園がなくなって非常に悔しいというか、寂しい気持ちだった。目標はなくなったが、僕らは滋賀県の夏3連覇がかかっていたので諦めず頑張った。チームメイトには「諦めず、腐らず、3連覇を目指そう」と言った。

塚本:夏の独自大会では1人だけ木製バットを使用し、チームは優勝を果たした。
土田:チームへの声掛けなどを意識して一丸で優勝できた。チームメイトは高校3年間という一番成長できる場所で切磋琢磨してきたライバルであり最高の仲間。優勝は非常に大きかった。一方で、自分の実力でチームを引っ張れなかった。木製バットでも対応できるという気持ちはあったが、甘くなかった。そこから対応をしっかりできるように練習した。苦い思い出は今に生きている。

「いつか甲子園で…」

塚本:滋賀大会は2年ぶりの開催になる。全ての球児への思いを。
土田:高校野球と言えば甲子園。母校に勝ってほしい思いはあるが、どのチームが甲子園に行っても滋賀県初の優勝旗を持ち帰ってほしい。全国制覇を楽しみにしている。目標が明確にあると頑張れる。100回大会の選手宣誓ではないが、最も熱い最高の夏にしてほしい。

塚本:甲子園大会を高校1年と2年の夏に経験した。どんな舞台なのか。
土田:お客さんもたくさん入るし、いつも以上の実力が発揮できる場所。1年生ではあまり活躍できなかったが、ベスト8を経験させてもらった。2年生の夏、自分のエラーでチームが負けてしまったことは悔しい思い出。いつか甲子園で、プロのユニフォームでプレーしてみたい気持ちがある。1軍に上がってレギュラーで活躍できるようになって甲子園で試合がしたい。

実力に満足せず体作りを―

塚本:ドラフト時には「体力づくりから」と言っていた。プロ1年目、ここまでに得たものは何か。
土田:最初は寮生活など慣れない部分はあったが、半年ほどして慣れてきて野球に集中できるようになった。最初はバッティングに苦しんだが、プロの球にも慣れて少しずつ結果も出ている。2軍でもここまでできると思っていなかった。ただ、これからは今の自分の実力に満足することなく、ウエイトトレーニングで1軍で通用する体を作っていきたい。バットの形も自分に合ったものを使い、少しずつだが対応できてきたように思う。これから暑いシーズンなので、しっかりバテない体力を作って打率もしっかり上げていきたい。

塚本:1軍で見られるのはすぐそこか。
土田:まだちょっと…自分の中ではわからないですね(笑)

7月の滋賀県ローカル放送では球児へのエールが中心で、自身の立ち位置についての内容はほぼカットした。改めてインタビューを聞き返すと、今回の1軍登録は本人にとって予期せぬものだったように感じる。
ただ、公式YouTubeで1軍合流の様子を見ると、良い意味で緊張をあまり感じなかった。フレッシュオールスターに急遽出場したり、母校が深紅の大優勝旗に大きく近づいたりと、あらゆる流れが土田に向いているのかもしれない。
「充実の1年目」と言えるラインをすでにクリアしたからこそ、一層の活躍を期待するばかり。次に届きそうな目標はインタビューでも話していた甲子園でのプレーだろうか。個人的にはショートを守る姿を見てみたいのだけれど。

※添付写真の一部は【びわ湖放送アナウンス室】の公式Twitterより。

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