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「貴方様なら、喰えぬ私ですが、さっぱりと ……下さるでしょう。この世から居なくなったもの…
「ヒトはもうよいと、諦めはつかないか。」 あの者は、そう尋ねる。 「何故でございますか。…
「知っている。ここも知っているのは 驚いたがな。」 あの者が樹の上から無表情に言う。 「…
「欲…だな。お前には、私が眺めているように見えたのか。」 そう問われる。 「いえ…。鳥居…
「お前は、怖くないのか。この世から去ることが。」 答える。 「怖い…いいえ。それが来るの…
いつもの社に戻っている。 鳥居を見上げると、真剣な目でこちらを見る あの者がいた。 「見て…
「あぁ…この桜…。」 何故だかわからない。 懐かしいこの桜は触れれば舞い散る桜吹雪。 右回りに上から巡るように舞う者を待つ。 見渡せば社の奥にある山が見える。 「舞いながら待ちましょう」 そう呟く。 ふわりと目の前に降りてきたその者を見る。 赤い衣を纏っている美しい者。 袖から少し出している手は白く細く美しい。 「ここは広い。だからお前も居られるだろう。」 そう言うとふわりと社へ戻っていく。 頭を下げ桜の樹に触れる。 「一人でいい、ひと度心許せば、辛くなる。 」
どれほど嘆いたろうか…。 どれほどの時が経ったのかも分からず そこにいた。 過ぎる時の中、…
倒れ込み暫くの時が過ぎる。 気を失っていたようだ。 目を開けると社が見える。 周りに溢れる…
「ヒトの狂気の様は…の比にならない。 ヒトというのは…。面倒なものだ、いっそ…」 と、鳥…
雨の降る社殿までの道を歩く。 鳥居の向こう側に大きな狼がいる。 雨に濡れた身体を一振るいし…
その者の言葉に返す。 「そうはいかぬのもヒトの道 貴方様にも道がありましょう 存在する者全…
誰かが鳥居の上に座っている そんな社での夏のお話 「お前、私が見えるのか」 不意に聴こえ…