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作り話 ~季節巡り~伍

倒れ込み暫くの時が過ぎる。
気を失っていたようだ。
目を開けると社が見える。
周りに溢れる血の臭いに見渡してみる。
よく見れば社は荒らされ、
屍と成り果てた人々が見える。

「なんということを…」

そう思うが早いか、目の前がぼやけていく。
声にならないほどの湧き上がる感情に
涙が溢れてくる。

「これがお前の言うヒトの姿か。」

と聴こえてくる。

「それほどまでに弱き者なのです。」

と絞り出すように言うと、目の前に刀を
構えた者が立っている。
なすすべ無く立ち尽くす私に振り上げる刀が
見える。

「終わりか…」

と思った瞬間に、見えたのは一人の姿。
刀を短刀のように持ち、瞬時に持ち替え目の前の刀を振り上げた者へ向かい、構えた瞬間に、
私に向かう相手の刀は地面に落ちている様だった。
薄れる意識の中で、青く薄い束帯の男性が遠くで微笑んでいる。
梅の紋章が見える。

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夢の中なのか。
次に気付いた時には、四隅を結界で貼られた
場所にいた。

「ここは…?…いやだ。出して!」

叫ぶも届かない。
閉じ込められてしまった。

「これがお前の言うヒトのすることだ。」

と、無感情な声が聴こえてくる。

「あぁーーー…!」

叫ぶように嘆く私に…

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           𑁍܀続く𑁍܀

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