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*DAY2 ガウディの足跡 / 1月15日(Wed) ---4

コロニア・グエル地区は、この教会以外にも様々な建物が建っている。
病院、学校、住居など、外観だけではあるけれど色々なものを見ることができる。受付でもらったマップを参考に、私たちは劇場と貯水槽を見た。貯水槽ってどんなものなんだろうと興味を持って行ったのだけど、壁の向こうにあったため上の方しか見えず、全貌はよく分からなかった。あれか?あれなのかな?と言いながら、「多分あれ」を見ていた。

しかし、とにかく静かだなぁ。様々な建物がある中で貯水槽を選んで見る観光客は私たちくらいだった。そもそも、さっきの団体客と一人で来ていたアジア人男性(おそらく日本人の方)しか観光客はいないみたいだったし、そこに住んでいる方はもちろんいるのだけど、ほとんどすれ違うことがない。でもそのおかげで、私たちしかいないような空間で、時間がゆっくりと感じられた。

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だんだんと太陽が下がってきて、建物の隙間から強いオレンジの光が芝生を照らす。私たちはまた足跡を辿って、駅へと戻った。駅までの距離は遠くなく、散歩にちょうどいい距離である。行きと同様、気持ちがいいねぇと話しながら歩いた。


しかしここで、問題が発生。
帰りの電車のためのチケットを買う機械が見つけられない……。

行きと逆のホームを見て、使用できる券売機がないことをお互いに確認し、とりあえずホームの上にある建物に行ってみることに。すると注意書きのようなものが貼られてあったのでそれを読むと、私たちが今見て来て「ない」と思った場所に、チケット券売機があると書かれていた。

「あれ〜?なかったよね?」
自分だけならまだしも、2人で見落とすことがあるだろうか。しかし、そう貼り紙に言われちゃ仕方ない。見たはずの場所にもう一度戻ることにした。来た道をもう一度歩いていたら、後ろから見知らぬおじさんに「Ticket?」と話しかけられて振り返った。
えっ。そうそう。私たちは頷いて返事をした。

すると、「今はあっちで売ってないんだよ。こっちにおいで」とスペイン語で教えてくれて、言われるがままに私たちはもう一度改札の方へ戻った。
私たちの他にもご夫婦と思われる男女2人が同じ状況になっていて、おじさんとその方達がスペイン語で会話をしていた。チケット売り場にスタッフはおらず、券売機もない。そこにあった電話のようなもので駅の人と連絡するといい、とおじさんは夫婦に言って、じゃあね、と去って行った。おじさんは通りすがりの人だったのだ。私たちは精一杯の気持ちを込めた「Thank You」を伝え、おじさんはさらりと帰って行った。

そしてご夫婦が係の人と機械越しに話してくれ、事情を説明した模様。私とmamiさんは、横でそれを眺めることしかできず、言語が英語でもないので全く分からない会話が続く。これ、私たちも一緒に帰れるのだろうか……?
とりあえず、分からないけどめちゃくちゃ真剣に話を聞いた。

機械越しの会話は終わり、どうやら電車に乗って到着した後にお金を支払う、という形になった模様(私たちに伝わるように説明してくれた)。夫婦は何も感知することのない改札をさらっと通り、君達もおいで、という素振りを見せてくれた。「Plaça d'Espanya?」と聞かれ、私たちはスペイン広場駅へと戻りたかったので「Yes!エスパーニャ!」と返した。僕らもエスパーニャへ行くから、一緒に行こう、と言ってくれた。
奇跡だ、本当によかった……!

電車では夫婦と別々の場所に座ったので、私は本当に同じ場所で降りてくれるか心配だった。というのも、会話がニュアンスでしかないので違う意味だったらどうしようと思った。mamiさんはあまり心配しておらず、「大丈夫だよ〜」と言っていたが、車内30分の間、私は2人が乗っていることを横目でずっと確認していた。
結果心配することはなく、電車はスペイン広場へと着いた。

降りたところで 旦那さんの方が「一緒においで」、と顔を傾け、手で合図してくれた。そして改札前で、係員の人に自分たちの事情と私たちのことも話してくれた。それを聞いた係員さんは私たちにチケットの買い方を教えてくれて、無事に支払うことができ、改札を抜けて外に出ることができたのだった。
ああ、良かった〜〜。ご夫婦がいなければ、このハプニングを正しく乗り越えられたか分からない。帰って来れたのは2人(と、声をかけてくれたおじさん)のおかげだ。2人は「無事に出れて良かったねぇ」と笑いかけてくれ、「Gracias」、と伝えると、いいんだよ、気にしないで大丈夫、という素振りをしてくれた。

Thank you、Gracias、と心を込めて言ったけれど、この言葉だけじゃ伝えきれない感謝だった。

知らない場所で助けてもらったありがたさは、きっとずっと心に残る。
2人に幸せがありますようにって思うことしかできなくて、もどかしかった。私もまたもらった優しさを、別の場所で誰かに渡したい。


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