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*DAY1 始まりは長い1日 / 1月14日(Tue) ---3

機内で読もうと思い、瀬尾まいこさんの『強運の持ち主』の文庫を持ってきたものの、機内は長時間暗い照明の「おやすみモード」が続いたので、そんな中自分のところだけ明るくするのは気がひけてしまい結局読まなかった。

通路を挟んで隣に座っていた外国の方が、自分のジャケットに刺繍をしていた。刺繍でいっぱいになったデニムジャケットがカラフルでとても素敵だった。

私は高校のとき服飾デザイン科に通っていたので、お裁縫や編み物をしている人がいるとつい見てしまう。私は手先があまり器用じゃないので高校時代はかなり苦労したが、スパルタ課題のおかげで人並みくらいにはなったんじゃないかと思う(むしろそれくらいなってないと困る)。高校の被服の課題は様々で、シャツや子供服やスーツ、編み物などいろいろあったがフランス刺繍は比較的楽しかった。刺繍は一度絡まると厄介なんだけど、絵柄になっていくことが楽しくて。
刺繍糸は6本が合わさって1つになっていて、その中から1本ずつ引き出して必要な本数をとる。抜いた糸をもう一度合わせて針に通すと、仕上がりがふんわりして綺麗になる、と高校の先生に教わった。こうやって時たま思い出す知識があると、学ぶことは面白いなと思う。

冬休みの課題でマフラーを編んだときはつらかった。1週間ちょっとしかないような冬休みがマフラー編みで過ぎていき、当時は本当に泣きながら編んでいた。もちろん、楽しく編めるような子や上手な子はすぐに綺麗な模様を編み終わっていたと思うが、私は一番基本的なシンプルな編み目にも関わらず、マフラーと思われる長さにするのが精一杯だったな。
隣の人の刺繍のおかげで、少しだけ高校時代を思い出していた。

長いフライトで疲れたけど、席は良かったしごはんもおいしかったし、「のどぬ〜るぬれマスク」をしていたからか喉の乾燥も気にならず、ずっと快適だった。

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スイスのチューリッヒに着き、ここで乗り継ぎ。


機体から降りて外の風景が見えると、別の場所に来た!ということが分かって一気にテンションが上がる。赤い屋根が連なる穏やかな風景が見えて、スイスのイメージ、そのままだ!と思った。まるで絵本に出てくるようなかわいらしさ。空港から見えるくらいの距離の場所にも、そんな景色が広がっているんだな。逆にもっと街の方へ行ったらどんな風なんだろう、とわくわくした。スイスもいつか行きたい場所である。

手荷物検査をして無事に通過し、そのあとは入国審査。
入国審査で質問をされるたびに緊張するので、こういうとき英語がすらすら出てきたらいいのに、と思う。やっぱり使うときになってから英語の必要性を実感するのだ。
聞かれたことは、滞在目的は何か、何日間いるのか、いつ日本に帰るのか、誰と来ているのか、など。難しい質問はされていないけど、言い回しによって質問の内容が分からなかったりする。今回は予想と違うワードで話しかけられ、一瞬フリーズした。だけどどうにか再起動。言い方が間違っていてもとりあえず何か言葉を返せば、相手も何かを言ってくれる。どこかで通じて、無事クリア。


よし、しばしのフリータイム!帰りの便の乗り継ぎはスイスじゃないので、スイスにいるのは今だけ。「スイスに降り立った記念」が欲しくて、私は何かを買いたい気持ち満々。

野菜やフルーツが並んだ、ヘルシーな雰囲気のお店でスムージーを買うか、スタバにするか迷った末に、海外のスタバにあるものが気になってスタバに決定。初めてのスイス、次いつ来るか分からないスイスとあって、けっこう長々と悩んだ。

スタバのショーケースにはおいしそうなものがずらりと並んで、食べたことのないスタバメニューにテンションが上がる!私は日本でもスタバが大好きである。ずっしりしたフラペチーノにスイーツ、気になるものがたくさんあったけれど、次のフライトのことも考えてオートミールのようなものとペットボトルの水を買った。レシートに印字する金額は日本円を選ぶことができて、2つで1400円だったのでめちゃくちゃ高いと思った。なんとなく日本円換算はしていたものの、いざ本物の料金として表示されるとびっくりする。

いや、オートミールとお水よ……?

mamiさんに、スイスは物価が高かったと思うよ、と言われ覚悟はしていたものの、高すぎてびっくりだった。しかしそれでも買うことをやめるということにはならない。スイスはいつか来てみたいと思うけど、その「いつか」はいつ来るかわからないので、今のタイミングで食べれるものは食べておきたいスタンス。
オートミールのようなものは、中に穀物、ドライフルーツ、カボチャの種などが入っていて食感も楽しい。どろっとしたヨーグルトのようなものがかかってて、ベリーのソースが下に詰まってる。調べてみたところ、「ミュースリ」という食べ物らしい。私はグラノーラとヨーグルトが大好きなので、とっても好きな味でおいしかった!

さて、気持ちも満たされた。ちなみにmamiさんは何にも食べていませんし買っていません。そりゃ普通に考えたらあれだけ機内で食べて、ましてやこれからまた機内で何か食べ物が出るかもしれないんだから、正しい判断です。

今度は1時間半くらいの短いフライトなので機体も小さめ。機内は通路を挟んで3席ずつで、私たちの横の窓際の席は空いていた。またしても自分たちのことだけ考えれば良い席で、ラッキーだったな。
そしてやはり、機内食が配られた(受け取りました)。硬いパンにチーズが挟まれていて、うん、好みの味!しかし「ミュースリ」のおかげもあり、もうお腹はパンパン。あたたかい紅茶(black tea)も飲んで、眠さがピーク。さっき読めなかった本を一瞬読みかけたものの眠さは限界で、私はすぐに寝落ちしてしまった。すでに日本時間で深夜2時を過ぎていたから、朝から活動していたらそりゃ眠い時間。

機体が少し揺れ始め、ハッと目が覚めた時には着陸準備に差し掛かっていた。窓の外からバルセロナの景色が見える。空の上から初めての場所に到着するときは、本当にどきどきするな。手を伸ばせば届く場所に、自分の知らない景色が広がる。
現地時間で19時を過ぎていたのですでに日が落ちて、電灯の光がキラキラしていた。


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