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*DAY4 ダリ・トリップ / 1月17日(Fri) ---2

もうこれは自分で考えていてもしょうがないな、と思ったので、券売機の近くにいた駅員のお姉さんに声をかけ、教えてもらうことにした。いつもなら話す前にできるだけ英訳を検索するものの、今は急いでいるので知っている単語を並べて英語を話す。結局こういう勢いが英会話には大事な気がする。

「フィゲラスに行きたいんです、どうやってチケットを買ったらいいですか?」と単語を並べて尋ねると、駅員のお姉さんは無表情。
ああ、伝わらなかったかな、と思いかけたところで、お姉さんは券売機に近寄って画面を指差した。どうにか伝わったようである。
「帰りは戻ってくる?」と聞かれたので、「戻ってくる!」と答え、お姉さんがボタンを選択してくれた。言われたタイミングでカードを入れて支払い、やっとチケットを買うことができた。ああ、良かった〜!

しかし購入したチケットはone way表記だったので、「戻ってくるのか」の質問は謎だった。段々と人に話しかける度胸はついてきたものの、英語力はほとんど変わらないな。こうやって話すといつも、勉強しよう、と思う。
そこからホームに降りるのよ、と教えてもらって、チケットの時間をよく見ないまま、改札を通ってホームに降りた。そしてホームに降りてから、次に来る列車が30分以上後だということを知る。

30分、まぁまぁな時間。こんなに待つなら改札外のカフェでコーヒーを買えばよかったなぁ。朝のカフェでのコーヒー欲が私にはまだ残っていた。
mamiさんも私も、こんなにホームで待つことになるとは思わなかったので、お互い(結構待つな……)と心の中で思っていたであろう。リサーチ不足を反省し、私たちはホームのベンチに座って静かに列車を待った。でも、2人だから自分だけでいるときよりも悲しさは減っていたと思う。嬉しさも失敗も、分かち合える人が同じ場所にいることは大きい。

やっと来た列車は、結構混んでいた。これから2時間ほど乗るので、ここでは座りたい。隣の車両へ移動して、一番後ろの空いている席に座った。
座れたことに安心したのも束の間、動き出すと車両間のドアを人が開け閉めするのが気になって仕方なかった。ドアを動かす音が結構大きくて、一度気にしたら気になってしまう。日本の新幹線みたいにスムーズな感じではないし、ちゃんと閉めないと閉まり切らず、風がヒュウヒュウ入る。

mamiさんは割とすぐ寝れる人なので乗ってすぐに爆睡。私は音が気になり、イヤホンをつけてみたものの風が気になって落ち着かない。
これから2時間乗るというのに、このまま過ごすのはつらいなぁ。何駅か過ぎ、大きな駅で人がたくさん降りたタイミングで前の座席に移動した。

ドアから離れるとやっぱり快適。あ〜良かった……!
あとの1時間半は何も気にすることなく過ごすことができた。飛行機もそうだけど、長時間乗るときの座席選びは重要だな。飛行機とか、真ん中の4人席で中央に座らなくちゃならない時は、それなりの覚悟がいる。特に私のように機内であんまり寝ない人はそうだろうな。学生の頃は20分以上電車に乗る時は寝ていた時期もあったのだけど、乗り過ごすことが多くなってから寝るのをやめた。「寝るのをやめた」と言っている時点で私は才能的に眠れるわけではないと思う。いつでもどこでも寝られる人は、移動に強くていいなぁと思う。


定刻通り、フィゲラスに到着!スペインの交通機関も、割と時間通りに進んでいるな〜と思う。
しかし降りた瞬間、ホームというか、街自体に独特なにおいを感じた。これはなんというか、牧場のようなにおいだ。少し歩くと感じなくなった気がするので、駅周りのにおいなのか、私が慣れただけなのか。 

街は静かで、やはりバルセロナよりも人がいない。マップを頼りに10〜15分くらい歩き、途中にある広場にもダリの作品があった。ダリが街のシンボルになっていることが至る所で感じられる。

ここで、ハッと目を引く建物。
見つけた瞬間にダリ美術館だ、と分かる外観だった。赤い壁に屋根には大きなタマゴのオブジェ。壁一面にパンのような、クッキーのようなものがくっついていて、遠くから見るといちごのような感じにも見える。ユーモアに溢れていて、入る前からインパクトがすごい。

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チケット売り場もハイシーズンは混み合うらしいが、私たちの時は誰もいなくてすぐに買うことができた。中に入るとぽつぽつ人はいたけれど、同じタイミングで入ったのは他に一人だけだったので、作品を鑑賞するときに待ったりすることもなかった。
やっぱり美術館はゆっくり見たいから、1つ1つ向き合いながら、スムーズに見ることができて嬉しい。そういう点ではオフシーズンの方が断然見やすいな。逆にカサ・ミラやカサ・ビセンスのようにお休みに当たることもあるんだけど、自分にはこっちの方が合ってる気がする。

美術館は膨大な作品数だった。いわゆるシュールレアリスム、「記憶の固執」のような、一般的に私たちがイメージする作品だけでなく、ダリは色々なタッチ、様々な手法で作品を生み出せる人なんだということを知った。

ダリ・「記憶の固執」解説記事 >

点描画みたいなものや、ジョアン・ミロを彷彿とさせるような抽象画もあった。「えっ、これもこれもダリが描いたの?」と思うほど、様々な作品とその膨大な作品数。
オブジェだったり彫刻のようなものもたくさんある。
自分で作っているのかな……?それともデザインだけなのかな。どちらにせよ、とても幅広いテイストで色々なものを生み出せるのはすごい。それでいて、どのタッチにもこだわりがある気がする。様々な手法で見せてくれて、どの作品も熱量が感じられるので飽きることがない。

見るルートとして番号が振られているので、それに従って進んでいくのだが、普通の美術館の順路のようにはいかない。メインの部屋をぐるりと周って何個も部屋がある感じなので、さっき通った階段をまた通って別の部屋に行ったり、次はここを見るのかと思いきや、いきなり番号が飛ぶので、別の部屋を探したり。上の部屋の窓から中庭が見えたり、ダリの家の中を見せてもらいながら宝探しをしている感覚だった。

階段が緑・ピンク・黒で絶妙なカラーリング。壁や電気まで、その空間すべてがダリの世界観で、ダリの意思以外のものがない感じがとても良かった。


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