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朗読劇脚本で学んだ、「耳で書くこと」の大切さ

3/6開催の、コンテスト#2000字のドラマ発『第一回カタチ発表会』、いよいよ近づいてきました。

前回の記事とも少し被りますが、今回は、朗読劇脚本に初めて挑戦してみた過程や、そこで学んだことをお伝えしたいと思います。


「朗読劇をしませんか?」というメールをスタッフの方から頂いたのは、昨年11月でした。

朗読劇と聞いて最初まったくイメージできず、メール返信を一旦保留して、慌ててYouTubeの検索窓に「朗読劇」と入力しました。

上のほうに出てきた動画をいくつか観てみる。みたことあるような、ないような、ちょっと不思議な形式……

基本は朗読なんですよ。でも登場人物ごとの配役があった上で、プロの俳優さんが表情や声で演技を交えながら朗読する。
なんというか、「エクストリーム朗読!」という感じです。国語の時間の朗読とは、当たり前ですがレベルが違います。

なるほどそういうものね、と一旦納得したその後に、スタッフの方に「朗読劇いいすね!ぜひ!」と、はるか昔から朗読劇に触れてきたみたいなテンションで返信をしました。

あと、「10~15分」という尺のイメージも最初にいただきました。
平均的な読むスピードは1分間に300〜400文字くらいなので、10〜15分となると5,000字前後は必要となるわけです。

つまり、約2,000字だったショートショート小説を、5,000字前後の朗読劇脚本に改編する。
これが僕のやるべきこと、ということがまず分かりました。


一応これが改編する前、「約2,000字のショートショート小説」の段階のものです。

先にお伝えすると、これにかなり手を加えました。もちろん大筋はそのままですが、ストーリーやそれぞれのセリフ部分はけっこう分厚くしました。

最終的にどう変わったかは楽しみにしていただければと思いますが、ここではどんな改編過程だったかを伝えさせてもらえればと思います。……聞かれてもないのにベラベラとね。(伝えたいんですスミマセン!)


さて語ります。改編の過程。

経験のない僕がいきなり全部は出来ないので、段階を踏んで、カクカタチスタッフの方に都度アドバイスをいただきながら進めていくことにしました。

具体的には以下のような段階です。

①ストーリーの構成を整理する
②朗読劇のことは考えず、まず5,000字ほどの小説として書き直してみる
③小説を朗読劇脚本の形に作り直す

この中で特に①と③が今回初めての挑戦で、かつ学びの多かった部分でした。


まず①。5,000字に膨らませた時グダグダにならないように構成の整理です。

いつも1,000〜2,000字ほどのショートショートを書いていて、しっかりと構成案を作ったことがなかったのですが、これやってみるとめちゃくちゃ全体像が整理されてアハ体験でした。

「自由に涙を流せる男”藤野”が、友人である”川瀬”に自身の半生を語る話」
ざっくりいうとそういう作品なのですが、構成を整理することで、ふたりの心の動きとか、特に感情移入を誘いたいポイントとか、そういう「肝の部分」を俯瞰しながら全体を組み立てていくことができたと思います。

そうやって流れやバランスを考えていき、最終的に以下の構成になりました。

朗読劇『涙くんと涙ちゃん』ストーリー構成
1)藤野、特殊な体質をカミングアウト
2)川瀬と藤野の関係について語り
3)藤野の子供時代、はじまりのトラウマ
4)間違った価値観で生き始めた藤野
5)藤野の「泣き落とし」テクニック
6)大学時代の二人の出会い(藤野サイド)
7)大学時代の二人の出会い(川瀬サイド)
8)“涙ちゃん”こと咲との出会い
9)咲と過ごした時間、咲の家族の存在
10)咲の父の死。そして真実に気づく藤野
11)咲との結婚報告。救われる川瀬

これだけ整理できていると、②の5,000字に膨らませる作業は結構スムーズに進みました。


大変だったのは、③の朗読劇脚本に直していく過程です。ここは特に、いろいろとアドバイスをいただきながら進めました。

冒頭に「朗読劇=演技を交えたエクストリーム朗読」ということを申しましたが、それでも基本的に「朗読」であることには変わりないわけです。映像もなければ、字も表示されない。全て読み聞かせで伝えていかないといけない。

そして今回いろいろ教えていただく中で、【目で読んで分かる文章】と【耳で聞いて分かる文章】の間には大きな差がある、ということを学びました。

文字では普通に読めても、声だけで聞いてみると途端に意味が入ってこなくなる文章って、実は結構多い。特に、僕のようなアマチュアが美しい描写をしようとして長々と書いた文は、朗読になると大体分かりません。


例えばひとつ指摘された部分。作品冒頭、藤野が涙を流してみせるシーンです。

藤野は上目で俺を見ながら、人差し指で自分の目頭を差した。そこから、ツー、と涙が溢れ出す。鼻筋を通って、口元まで垂れてきたところで、涙を手で拭う。

映像のような描写をしようと書いた部分ですが、ここをスタッフさんに朗読してもらって聞くと、まったく理解が追いつかなくて驚きました。画が頭に思い浮かぶ前に、どんどん次に行ってしまう感じです。

これが一流の書き手の文章とか、長く読まれ続ける小説とかになると、朗読でも本当にスーっと入ってきます。『吾輩は猫である』の冒頭とかもう一度朗読してみてください。あれはゼリーです。ちゅるんっ、です。

なるほど、これが素人とプロの差か、と納得してしまいました。

つまり、良い文章は耳で聞いても滑らかに入ってくるもの!
これが最大の学び。

そして今回の「朗読劇脚本作成」では、この「良い文章」の条件を強制的に目指さないといけない。文章力向上のためには最高の試練ではないか!まさに文章術版ベストキッド!


ということで③の脚本に落とす作業では、音だけでも自然に入ってくる文章にするために、「耳で書く」ということを徹底的に意識しました。

自分で読んでみるのは最低ライン。誰かに読んでもらえたらいいのですが僕は単身者なので、スマホに録音して聞いてみたり、iPhoneの読み上げ機能を使ったりして、できるだけ客観的にチェックしながら書き進めました。

ちなみに、iPhoneの読み上げって結構使えることは発見でした。

読み上げのショートカットは、画面の上から下に指2本でスッと撫でるだけ。これで開いているページの読み上げを開始してくれます。たまに変な読み方をしますが、朗読のチェックにはぜんぜん申し分ないです。


という感じで磨き上げていったのが、今回の朗読劇。

我ながらかなり難易度高い挑戦だったと思います。そんな感じなのでマジで本番はドキドキですよ。もう僕はやることないんですが。ほんと、暖かい目でみてやってください……


そして最後にご報告。
イベントのオンライン配信も決定したそうです!

詳細は以下リンク先にて。

今の状況で青山いける方は限られていると思うので、これは本当にありがたい!

さらに配信のチケット代は1,000円とのことです!
おいバーガーキングのダブルワッパーチーズセットより安いじゃねえか!!

ということで、かなり参加もしやすくなったかと思います。

『第一回カタチ発表会』ですから。「第二回」「第三回」と、きっとあるんだと思うんです。(いやぜんぜん知りませんが、そう期待しています)
ということを考えると、noteで執筆されている皆さんには関係のないイベントではないはず、と思っております!

ダブルワッパーチーズセット一食分、ちょっと我慢いただき、ぜひご自宅からでもご参加いただけますと幸いです!

よろしくお願い致します。



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