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『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第1話:原因不明のじんましん

3月15日 午前9時21分
某皮膚科 診察室


 
先生「どうされました?」

ボク「じんましん、なかなか治らなくて」

先生「ちょっと診させてもらってもいいですか。うーん、なんか慣れない物を食べました?」

ボク「いえ、とくには……」

先生「仕事のストレスは?

ボク「うーん、まぁ、なくはないですが……」

先生「あと、花粉症ですか?」

ボク「あ、花粉症です!」

先生「花粉でも、じんましんになる人もいるんですよね」

ボク「じゃあ、花粉ですかね、今年の花粉の量はスゴイみたいだし。そもそも、ボクはそういうアレかもしれませんし、うん、花粉症、そんな気がしました」

先生「まぁ、今日の所は、塗り薬を渡しますので、それで様子見ましょう」
 

春が近づいた頃。少し温かい日が続いていました。

お客様先での打ち合わせから事務所に戻って、イスの背もたれに上着を掛け、座って一息。卓上USB扇風機のスイッチを入れても暑かったので、ワイシャツの袖をまくると、

「え!」

右腕にじんましんがビッシリありました。

(も、もしかしたら……)

左袖を恐る恐るまくると、

「!」

少し吐き気がするぐらいのじんましんが。

両腕のじんましんを見て、身も心も一気にクールダウンしました。

事務所にいる他の人にバレないよう、ゆっくり袖を下ろします。
そのまますぐに洗面所へ。蛇口から流れてくる水で両腕を交互に流し続けて、しばらく冷やし続けます。

しかし、いつまで経っても、両腕に何も変化はありません。
 
家に帰ってから、すぐ裸になりお風呂へ直行。そして、鏡に映った自分を見ました。

改めて見る自分の裸体は、意外と太っており、いや、それにも驚いたのですが、最も衝撃的だったのは、腕以外にもじんましんができていたことです。

「今日は汗をかいたからかも」

「そういや、昼に食べた弁当が、暑さで傷んでいたんだな」

と、それなりの理由を自分で考え、無理に納得してその日は寝ました。
 

それから一週間経過。じんましんは一向に良くなりません。

家にあった市販のかゆみ止めをとりあえず塗ってみたのですが、全く効き目なし。

「もしかしたら、なんかの大病を患っているのかも……」

どんどん不安になってきたので、休日に診察をしている皮膚科に行きました。

そこで処方された薬は、さすがは専門医だけあって、効果テキメン。

一ヶ月ぐらい塗り続け、ちょうどもらった塗り薬がなくなる頃にはじんましんが目立たなくなっていました。その頃、花粉の飛散はピークを過ぎており、やはり花粉も原因の一つだったのかと安心し、次第にじんましんのことは忘れていました。
 
しかし、クールビズが始まった頃、朝、半袖シャツに腕を通して、絶句。

「ま、まただ……」

じんましんが再発していました。

結局、再発を繰り返すうちに、薬がどんどん強くなり、ステロイド入りの薬が処方され、ついには抗生物質の飲み薬も追加。すると今度は胃の調子が悪くなり、胃腸薬まで。

ただ、一週間のうち一日だけ回復するという不思議な現象もありました。

その時に通っていた皮膚科には土曜日の朝一に通院し、日曜日の夜になると具合が一気によくなっていました。しかし、月曜日の夜から少しずつ悪化。金曜日の夜ともなると最悪な状態になります。

いま気がついたのですが、これは薬で良くなっていたのではなく、仕事のない週末にストレスが軽減され、ウィークディにストレスが蓄積されていただけだったのですね。

実際に、通院を継続していると、何度か皮膚科の先生から聞かれました。

「仕事が忙しかったりしない?」

でも、当時のボクは、“仕事のストレスが原因”ということを頑なに拒否します。
 
あの時、素直に受入れていれば、別の道が開けていたように思います。 







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