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『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第22話:いきなり怒鳴り、いきなり告げる

12月15日 午後8時44分
自宅 リビング


 

子ども「でねでね、ママ、きいてよー」

妻「へぇー、そんなことが学校であったんだー」

ボク「あのさ……」

子ども「そうそう、そうなの。それでね、そのこがさ」

妻「なになに、続きがあるの?」

ボク「ねぇ……」

妻「パパ、ちょ、ちょっと待って」

ボク「待てないよ!」

妻・子ども「「!」」

ボク「待てないよ! もおおおおおおー! 今日は仕事中に倒れて、病院行って、うつ病になって、ほら、これもらってきたんだから!!」
 

 
しかし、急すぎる展開でした。

順序よく話そうって思っていたのですが、一気に弾けました。
文字数にするとたったの57文字で全てが解決しました。(情報不足すぎますけど。)

「パパ、ちょ、ちょっと落ち着いて。あ、ほら、もう9時になるから、明日学校でしょ? お風呂に入ってきて」

子どもはよく分からず、お風呂に行きました。

ボクはものすごく早口だったので、子どもはなんことが分からなかったようです。

でも、ちょっと泣きそうになっていました。

「パパ、なになに? もう一度、はじめから説明して」

「今日、仕事中に体調悪くなって……」


そこまで言うと、急にこめかみあたりから痛みが走りました。その時のことを、思い出したからかもしれません。

「体調悪くなって?」

「それで、病院行ったんだ」

「うん」

「で、耳鼻科は大丈夫だった」

「ん? そ、そう……(え、なんでいきなり耳鼻科行ったんだろう?)」


まず耳鼻科に行った報告なので、妻はきっと困惑してしまったのでしょう。

「で、次は心の病院に行った」

「うん」

「うつ病だった」

「そっか」


妻に、今日の出来事を説明しました。仕事で倒れたあたりは、さすがに心配掛けたくなかったのか、その時はトラウマになってしまって思い出したくもなかったのか、きちんと言えませんでした。それから、明日からしなければいけないこと、そういったことをゆっくり伝えることができました。

「これからしばらく会社を休むよ」

「いつから休むの?」

「明日。会社に行って、報告して、それから決める」

「どれぐらい休むの?」

「……分からない」

「会社休んでどうするの?」

「治療する」

「どうやって?」

「……よく分からない」

「………………」

「……あ、病院で、これ、もらったんだ」


病院でもらったパンフレットには、妻が疑問に思っている具体的な質問に対する回答は何一つ具体的な、かつ現実的なことは全く載っていなかったようで、妻はパラパラっとめくって、すぐに返されました。

「だ、大丈夫だから」

ボクはそう言うだけで精一杯でした。

内心、全く大丈夫だなんて思ってもいませんでしたが、でもそう言うしかありませんでした。

妻に、聞いてもらっただけですが、ボクはそれで、ようやく安心することができました。

そして、安心したら、急に食欲が出てきました。

考えたら、今日は昼も食べていないし、かなりの距離を歩いていたので、お腹は空いていたはずです。

「パパ?」

声に振り返ると、お風呂からあがってきた子どもが心配そうにボクを見つめていました。











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