『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第48話:転職を考える
3月31日6時29分
××クリニック診察室
先生「だったら、もう、転職を視野に入れた方が良いですよ」
ボク「え……?」
先生「あなたと似た症状の方がいましてね、転職したらだいぶ具合良くなりましたよ」
ボク「でも、こんな病気になっていて、転職できるんですか?」
先生「大丈夫、いま話した方もできましたから」
ボク「うつ病なんて言ったら、相手は断るのでは?」
先生「そんなの相手に言わないですよ、普通」
ボク「え?」
先生「ま、聞かれたら仕方ないかもしれませんが、まず聞かれませんし。十分働けるだけの状態とその意欲があるのに、その職場が合わないだけなら、もったいないですよ」
ボク「………………」
復職後も定期的に通院をしていますが、休職中と違って、明らかに、突発で病院に駆け込むことが多くなりました。
「すみません、急に」
先生は、元気と覇気がないボクの状態を察知したのか、
「やっぱり、復職してつらいですか?」
「はい……いやいや、つらくない。つらくないです!」
「……」
「……」
「じゃあ、どうして今日、診察にいらっしゃったのですか?」
「あの、仕事をしていたら電話を受けて、取ったら知っているお客様で、ドキドキして一生懸命対応したのですが、上司がそれを見ていていろいろと言ってきて、こっちは精一杯に対応しているのに、なんか上司が言ってきたので、上司に刃向かうことができず……」
「ちょ、ちょっと待って。それはつまり、その上司とうまくやれなかったということですよね?」
「短く言うとそうなります」
先生は、カルテからペンを離して、
「その上司は、あなたがうつ病だと知っているんですか?」
「はぁ、診断書を直接渡しましたから」
再び、カルテに何かを書きます。
「強烈なパワハラだなぁ」
「え?」
「いや、パワハラですよ、そんなもん」
先生はカルテにひたすら何かを書いています。
「あの、先生、ボクはどうしたら良いのでしょうか?」
先生は、引き続き、何かを一心不乱に書いています。
「あの、先生?」
「上司の上の立場の人はいないのですか?」
「まぁ、いることはいますが……」
「その人に、相談した方がいいですよ」
「あ、でも、そんなことしたら、言い付けるってことですよね?」
「そう、そして、異動の希望を出しなさい」
相談したその日のうちに異動させてくれる保証があれば言いますが、そんな可能性は全くなかったので、先生の提案を受入れることはできませんでした。
「あの、薬をですね、薬を増やして、なんとかなりませんか?」
「な、なにを言ってるんだ!」
先生はペンを机に叩きつけ、いきなり怒鳴りました。
「あなたの薬の量はとうに限界を超えているんですよ。休職もしないし、職場でも助けを求めないし。このままだったら、どうなるか、分かるでしょ?」
「………………」
その後です、先生から全く別の新しい提案があったのは。
「転職、考えたらどうですか?」
その日、帰ってから、転職について考えました。いまのボクの条件は、次のとおりです。
・年齢がIT定年(35才)を超えている
・うつ病で休職歴あり
・残業と休日出勤はムリ(健康状態悪い)
余計に落ち込むだけでした。
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