『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第12話:病院に行く
12月15日 午後3時29分
××クリニック 待合室
ボク「ああああ、あの、い、いろいろと、ありがとうございました!」
受付「?」
ボク「あ、そそ、そうだ。申し遅れました。ボク、先ほどお電話いただいた初診者です」
受付(しょしんしゃ?)
ボク「ああああ、あの……」
受付「あ! 先ほどお電話差し上げて、初診予約された方ですね?」
ボク「はははは、はい、その初診者です」
受付「えーと、では、こちらに記入してお待ちください」
ボク「ああああ、ありがとうござござございま、まっする!」
受付「それほど緊張なさらなくても大丈夫ですよ」
はじめての心療内科。
入り口の扉を開けた瞬間から、ドキドキが止まりませんでした。昼食を食べていたら、確実に吐いていたと思います。
“初診者”=“初診予約した者”
“ございまっする”=“ございます”
といった感じで、ものすごい緊張からノドがカラカラだったこともあり、話すことすらままならない状態でした。声が出たとしても、ハスキーボイス。
徳永英明のような声しか出てきません。
決してふざけているわけではありませんが、周りには、“極めて病状が悪いヤツ”だと思われていたと思います。
とりあえず落ち着こう、ノドの乾きを潤そうと、ウォーターサーバで水をアホみたいすごく飲んで待ちました。
あまりに水を飲み続けて、途中で、サーバのボトルの水が空っぽになり、受付の方に交換してもらったぐらいです。
また、水分を過剰に取ったから、オシッコも近くて、水を飲んではオシッコを繰り返す、新しいダイエット法を試みている人のようでした。
気持ちが少し落ち着いてから初診用の問診票の記入に取りかかります、全ての質問事項に対して素直に。それが終わり、ふと周りを見渡すと、ある異変に気が付きました。
いまの時間は、ビジネスタイムです。なのに、この時間に、自分と同じぐらいの年齢の方が多くいるのです。
スーツを着ている人もいれば、パジャマっぽいスウェット姿の方もいて、男性もいれば、女性もいました。
共通しているのは、その人達は、患者なのか、付き添いなのか、見た目では、まったく分かりません。
偏見かもしれませんが、ここに来る前、心療内科という場所は、もっと見るからに病んだ人が集まる病院だと思っていました。
でも、実際に来てみると、そうではありませんでした。(もちろん、そういう人もいましたが。)
待合室も、他の病院、例えば、さっき行った耳鼻科とは異なり、安らぎメインのような感じでした。壁などの内装は白や木目調を中心にしており、雑誌や本も、過激な週刊誌は一切ありませんでした。
イスも座り心地の良いもので、隣の方とあまり近づきすぎないような距離、間隔で設置されています。
こういった病院では、このような配慮をして当たり前なのかもしれませんが、ボクは全く慣れていないこともあり、かえって、落ち着きをなくさせていました。
例えるならば、そう、生まれて初めて、異性の部屋に入った感じといえば分かってもらえるでしょうか。
慣れない場所でも、不思議な空間に飲まれていき、いるとそれなりに落ち着いてきます。
他にすることもなかったボクは、無性に扉の向こうの診察室の中が気になってきました。
あそこで一体、何が行われているのか?
それを純粋に知りたくて、診察で人が入るタイミング、出てくるタイミングで、扉が開くのですが、何とかして中を覗くことができないか、試みます。
ウォーターサーバの水を取りにいくようにして、チラッと。
トイレに行く振りをして、チラッと。
どうしようもなく落ち着きのない状況でした。
あと少しすれば、自分がそこに入ることができるのに、なぜか待てません。
「あ!!」
とうとう、一つだけ分かりました、“何か白い物が動いている”ということが。
白いパンティーをチラ見できたような、なんかうれしい発見でした。
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