『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第40話:薬がどんどん増える
3月6日午後4時37分
××クリニック診察室
ボク「先生、ぜんぜん良くなっている気がしないんですが……」
先生「いや、そんなことはないですよ」
ボク「ですが、なんか悪いことばかり考え込んだりで、夜も寝れない日が続きますし……」
先生「じゃあ、少し薬の量を調整しましょう」
ボク「毎回増えていませんか?」
先生「それは症状に合わせて薬を調整しているので。どうしても増やすこと
が気になるなら、いまのままでも良いのですが、どうしますか?」
ボク「いや、気にはなりませんけど」
先生「であれば、薬を一種類、追加しましょう」
ボク「え?そんなに悪いんですか?そもそも、どういう薬なんですか?」
先生「他の薬と相乗して気分を安定……分かりやすく言ったら、隠し味みたいなもんですよ」
ボク「……(この先生、大丈夫か)」
初診から数ヶ月過ぎると、かなりのペースで薬が増え続けていきました。
通院当初、病院としては、様子を見て慎重に処方しているだけなのですが、
ボクにしてみれば、
「そんなチマチマしたことやってないで、早く楽にさせてくれ!」
と、ずっと思っていました。
しかし、今度は量が増えれば増えたで、
「通院を欠かさず、薬もきちっと飲んでいるのに、なんで薬が増え続けているんだ!」
と、先生への不信感が強まっていました。
「前回の薬、一週間飲んでみてどうでしたか?」
「あまり変わらないというか……」
「うーん、じゃあ、少し変えてみましょう」
「え?(じゃあ、いままで飲んでいたのは実験だったのか?)」
「新しい薬は、先ほど話してくれた状態にとても効く薬です」
「あの……、どういう薬なんですか?」
「いままでは朝晩と飲んでいましたが、一日一回で十分効果があるんです」
「いや、そうじゃなくて、薬の効果をきちんと説明してくれますか?」
「うつ病に効果のある、飲み薬です。○×製薬会社がこの薬で化けたんですよ」
「だーかーらー、そんなこと、聞きたいんじゃない!」
「うーん、困りましたね。何を伝えればいいんでしょう?」
「じゃあ、自分でスマホ使って調べますんで、薬の名前を紙に書いてください」
自分で調べても、専門家でも何でもないので、先生が話してくれた情報ぐらいしか分かりませんでした。
「あの……その新しい薬でお願いします」
自分のバカさ加減には、情けなくて涙が出てきます。
結局、このあと二ヶ月ぐらいで、薬の量が増加するピークが過ぎました。
ところで、薬の種類と量が増えて困ったことが、三つあります。
一つ目は、そもそもどれが効いているのかが、分からないこと。
でも、そんなことより、一刻も早く楽になりたいという気持ちが先行してしまい、結局は、先生の提案に従っていました。
しかし、いつかは薬を減らす段階になります。
ボクはその際、非常に苦労したので、この時、もう少し突き詰めておけばよかったと、いまは後悔しています。
二つ目は、他の薬との飲み合わせです。
不規則な生活をしていたので、カゼを引くことが多くありました。
カゼで病院に行くたびに、まず、うつ病であることを話します。
その後、うつ病の薬との飲み合わせについて調べてもらうのですが、うつ病の薬が多い為、とても時間がかかるのです。
最後の三つ目は、飲み忘れないように常に心がける必要があること。
よく、老人が薬を飲み忘れないようにとても気をつけていると聞きますが、そういった気持ちが分かりました。
また、飲み忘れないようにするのも大切ですが、“飲んだことを忘れない”ようにするのも重要です。
ボクは、この“飲んだことを忘れない”というのが、ボクはなかなかできませんでした。
ある日、薬を飲んで数時間したら、クラクラしてしまい、どうしようもありませんでした。数分前に、薬を飲んだことを忘れて、再度飲んでしまっていたのです。
その為、アナログですが、薬が入った紙袋に、飲んだ日の日付書き、その横に回数を○で書いて、あとで思い出せるようにしていました。
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