『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第10話:口コミによる病院選び
12月15日 午前9時42分
オフィス街 街道ベンチ
ボク「ふぅ……」
ボク「さて、どこの病院に行こうか……」
ボク「とりあえず、この近辺で検索して調べてみるか」
ボク「!」
ボク「こ、こんなに数あんの!?」
ボク「うーん、だったら評判が良いところがいっかな……。さらに“口コミ”で検索っと」
ボク「ふーん、そっか。なるほどなるほど」
ボク「………………」
ボク(ここから、ここからボクは……精神病患者になるのか……)
ボク「や、やっぱり、今日だけ体調が悪かっただけなんじゃない……かな」
ボク「………………くっ」
オフィス街。目の前には慌ただしく、ビジネスマンが行き来しています。
ベンチに座っていビジネスマンは、ノートPCかタブレットを片手に仕事しており、そんな中、スマホ片手につぶやくボクがいました。
病院に行った方が良いとは思ったものの、何科に行けばいいかがまず分かりません。
インターネットで、
≪頭痛 耳鳴り 何科≫
と検索したところ、耳鼻科という回答が出ました。
すぐに耳鼻科に行ったところ、耳は全く異常がみられませんでした。
先生に、今日の状況と、腕のじんましんの話をしたところ、“心療内科”というところに行くことを勧められました。
「し、心療内科?」
耳にしたことのない恐ろしいキーワードが出て来ました。今度は、
≪心療内科とは≫
で検索します。馴染みのない世界が出てきました。
そういえば、以前、無料相談ができるコールセンターで、
『専門医に診察してもらった方が良い』
と言われたことがあったのですが、それが“心療内科”のことだったと、今になってようやく気付きました。
いずれにしても、自分が行くべき病院が分かり、その場で検索します。
オフィス街ということもあり、この近辺には、かなりの数の“心療内科”がありました。
それほど、ビジネスマンの需要が多いとも言えそうです。
どうせなら、より良い病院に行きたいし、一方で、これだけ数があれば、変な病院も多いはず。
そこで、口コミ情報で絞り込みをすることにしました。
ありがたいことに、この近辺の病院の口コミもかなり多くありました。
貴重な書き込みから支離滅裂な文章まで、いろんな情報を見ながら、ふと思いました。
「ここに口コミを書いている人たちと同じになるのか……」
それがなんとも言いがたい気分です。そして、ボクはそこに一歩踏み入ることにずっと抵抗を感じていたのだと、ようやく気が付きました。
さて、ここからは、口コミのワナに陥らないためのアドバイスです。(ボクは、このワナに引っかかりました。)
次の三つの病院に対する口コミがあります。あなたならどれを選びますか?
A 病院の雰囲気がとても良かったです
B 受付の方がとても丁寧な対応をしてくれました
C 先生の話し方がとても落ち着きます
なんとなく、どれも良さそうな病院です。でも、いずれも要注意なのです。
まず、そもそもの通院目的は、“病気を治すこと”です。
従って、口コミも“如何にして病気が治ったか、改善したか、回復したか”が大切なのです。
だから、雰囲気の口コミは意味ありません。
また、受付の方が丁寧なのは接客業なので当然ですし、先生の話し方は個性や性格です。
さらに、全ての病院がそうではありませんが、口コミをコントロールしている病院もあります。
ボクが通ったことがある病院で、会計時にこんな依頼がありました。
「簡単アンケートですが、お願いできますか?」
「え、えーっと……」
「amazonのギフト券がもらえるので、ぜひ」
手渡されたアンケート用紙には、500円のギフト券がもらえると書いてありました。
ちっさい文字をよく見ると、抽選なんですけどね。
転院した後、その病院を調べると、自分の回答が掲載されていました。
アンケートには、良い点はもちろん、改善してほしい点も記載したのですが、改善点の方は採用されていませんでした。
一方で、次のような口コミが掲載されている場合は要注意です。気を付けましょう。(全て引っかかったボクが言うのも変ですけどね。)
≪要注意な口コミを見分ける三つのポイント≫
1)同日もしくは同時刻に口コミの投稿が固まっている
2)雰囲気等の抽象的な“感想”が記載されている
3)箇条書きの短い文章をつなげているので文章が変
また、これから長い付き合いになるので、通院にかかる時間という観点も重要です。
≪後で後悔しない病院の選び方≫
1)(休職中に)自宅からも通える距離や診察時間か
2)(復職後も)職場から通える距離(通勤定期内)や診察時間か
3)職場や自宅から近すぎないか
特にこの3)は重要です。
職場や自宅から近い病院を選んだ場合、通院時に、知っている人に会う可能性が高くなります。道でのすれ違いぐらいならまだ良い方で、通院している病院が同じだったら、これほど気まずいことはありません。
実際、そういうことがボクはありました。まず病院に向かうエレベーター乗り場の一階でその人と会いました。そのまま、無言でエレベーターに一緒に乗り、一緒に病院へ。
当然、待合室でも一緒で、診察の順番がちょうど前後だったので診察室の出入りですれ違い、会計時にもすれ違い。さらに、そのまま調剤薬局でも遭遇。
社交辞令かもしれませんが、その人は、先に薬をもらって薬局を出る際、
「では、また」
と言いましたが、
「こんなこと“また”あってたまるか!」
と思いつつ手を振りました。
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