『おまえのせいで、うつになったんじゃ、ボケ!』第47話:昼休みの過ごし方
3月31日午後12時31分
某所公園
ボク「はあーーーーーーーーーーーー」
ボク「疲れたぁ……」
ボク「それにしても疲れたなぁ」
ボク「書類二つも作って……あと、それから、えーっと、書類と……」
ボク「………………」
ボク「それしか、午前中してなかった?」
ボク「ほ、他には何もしなくて、それで、午前が終わったってこと!?」
ボク「……あ!」
ボク「そうか、居眠りしてたのか……」
昼休みは、チャイムがなるとすぐに外へと出かけました。
「職場の空気は、最悪。よどんでいる、邪に満ちている」
と思い込んでいたので、とにかく職場から離れたかったのです。
職場でのボクは、仕事は遅いわ、ミスが多いわ、居眠りするわで、かなり浮いていました。
うつ病は見た目では、病気だと分かりませんので、パニクるボクを周りは冷ややかな目で見ていたように思います。
ある日、同僚がカゼを引いていてマスクをしていました。
熱もあるようなので、仕事は遅く、ミスも多いし、居眠りもしています。
でも、彼は「仕方ないね」という優しく空気に包まれていました。
「そうか!」
翌日、マスクをして出社しました。
カゼを装って仕事をしていたのですが、家にあった安いガーゼマスクだったこともあり、自分で自分の臭いに酔って気持ち悪くなってしまいました。(そして、この時初めて自分の加齢臭は顔からも発していたこと気付きました。)
帰りの電車の中ではいつも反省会です。この日はこんなことを考えていました。
「いま一度、ボクが病気であることをみんなに知ってもらえれば、こんな冷たい視線にはならないんじゃないか?」
そして、ある日のチームミーティング。
メンバーの進捗報告が一通り終わり、議長の
「他に、申し送り事項はありませんか?」
という問いに、挙手します。
「知っている人も知らない人もいるので、改めて申しますが、ボクはうつ病です」
暴挙でした。
結局、周りには“ちょっとおかしな男の子”(率直にいうと“頭がイタイ奴”)と思われ、ますます近寄りがたい存在になってしまいました。
その日、帰りの電車で“妊娠してますバッチ(通称・マタニティマーク)”をしている女性を見かけます。
“うつ病ですよバッチ(通称・うつマーク)”というのがあったらいいのに……とうらやましく眺めていました。
このように、結局は自分でまいた種なのですが、完全に職場に居づらくなり、昼休みは一人で過ごすようになります。
休職中、歩くことを日課にしていたので、お昼休みはずっと歩いていました。川沿いを歩くと、唐突に、(ほら、飛び込んじゃえよ)と心の中の自分が身投げの提案をしてきたのですが、ここはオフィス街。
危険ゾーンはないはずだったのですが、低層階のビルが目に付くと、心の中の自分から、
(屋上に上ってそのまま鳥になるんだ!おまえは不死鳥、フェニックスだ!!)
と提案をされることがありました。
最初は怯えていましたが、薬が増えた効果か、
「屋上から飛び降りたら死ぬだろうけど、死んだら、来世は鳥になるということなのか?」
と彼の問いに対して、深い解釈をしたりしていました。
で、最終的には、安全な大きめな公園周辺をクルクル歩き回り、疲れたらベンチで休憩というのがボクの過ごし方になります。
そう言えばある日の午後。復職時に気持ちを切り替えようと、数珠を買って左手にしていたのですが、そこに繋がれていた水晶が砕け散り、「これほどこの職場は邪に満ちているのか」と驚きました。(単にボクが安い数珠を買ってしまっただけかもしれませんが。)
でも、邪に満ちていたのはボク自身だったのかもしれませんね。
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