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ながさご大介
2020年7月6日 18:01
小さい頃から本が好きで、本屋に行けば一日中でも時間がつぶせた。収入の大半が本に消えたといっても良いくらい大量に本を買った。といっても収入はたかがしれていたので、今にいたるまで大した蔵書はできなかった。二十歳を過ぎてから、学校や勤めの関係でたびたび引っ越したが、そのたびに蔵書の大半は実家に送り返してそのまま放置された。それでも新しい住居はまたすぐに本で部屋が埋まった。その繰り返しだった。一度だけ
2020年7月13日 09:14
テレワークの運動不足を解消するために毎朝4時に起きて散歩をするようになった。5月の初めからもう2カ月続いている。といっても1日の歩数は勤めに行く時と変わらないし、起きる時間も変わらないので、むしろ続かなければおかしいくらいである。ある日、夜明け前に家を出て、いつものように西の方にある川沿いの道を歩いていると、小鳥の巣を見つけた。あるいは、見つけたような気がした。それは川沿いに作られた遊歩道
2020年7月20日 11:01
昼ごはんを食べていると、雨が止んで少し日も差してきた。変な天気ね、と言いながら、母が、川沿いを歩くのは気をつけなくちゃね、と言いだした。人吉の集中豪雨のことが念頭にあったのだろう。「H川もむかしはしょっちゅう水が溢れていたんだから」と言った。H川というのは、テレワークになってからわたしが毎朝散歩するようになった町の西のはずれの川のことである。実は、H川沿いの水田地帯には、母の両親の実家が隣り合
2020年7月27日 18:22
今朝、散歩から帰ってくると、母が妙にバタバタしている。みると、食卓の上には空っぽの皿が置いてあるだけで、朝食の支度がなにもできていなかった。いつもはわたしが戻ってくる時間を見計らって用意ができているのであきらかにおかしいのだが、おかしいのはそれだけではなかった。みるからに狼狽した雰囲気の母を見て、寝坊したのかと思ったが、どうもそうではなさそうである。「今日は朝から大掃除しちゃったから、まだ