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仏INSEAD/EMC:金融業界出身者が多数在籍!

INSEADのExecutive Master in Change(通称、EMC)は、 “Together, we transform”をテーマに、「個人、家族、組織、社会」といったあらゆるシステムレベルで起こる“Change”について、組織論と心理学を用いた組織心理学の観点から、ビジネスプロフェッショナルに新しい視座を提供するプログラムです。
 
EMCは、2023年現在、フランスのフォンテンブロー(ヨーロッパキャンパス)と、シンガポール(アジアキャンパス)の2カ所でそれぞれ教えられています。私が学んだのは、シンガポールのアジアキャンパスです。
 
もちろん、こちらの記事で書いたように、組織コンサルタント、人事スペシャリスト、エグゼクティブコーチを生業にしている方は取るべき修士であり、組織の変革に取り組む企業の経営陣や、コンサルティングファームの方におすすめのコースであることは間違いないのですが、今回は、一般に知られることのない、ニッチな視点から、INSEAD・EMCをおススメしたい方々に向けた記事を書きたいと思います。
 
まずその一つ目のグループが、金融業界にお勤めの方、金融出身者、です。
 
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実はEMCには、ファイナンス出身者が多くいます。私たちのクラスですと、私も含め、クラスメイトの4分の1は、ファイナンス出身者で、投資銀行、PEファンド、格付会社に勤めている(いた)、MD、EDクラスのメンバーがきていました。

キャリアチェンジ、学び直しをしたいと思う金融業界出身者が、EMCに集まってきているのです。 

既にMBAを持っており、EMCは2つ目の修士、というクラスメイトも何人かいました。
 
私は、新卒で米系投資銀行に入社し、その後、日系証券会社の投資銀行部門に転職し、15年ほど投資銀行(インベストメントバンキング、IB)に勤めました。
 
IBの仕事は大好きだったのですが、「これは自分の得意なことではないなぁ」と薄々自分のキャリアの限界に気づいていましたし、M&A、ファイナンス、シンジケート、部門人事と、IBの中でも一通りの経験を積み、異動したい部署もないし、転職してまで他にやりたい仕事もないし、という状況に、30代後半の私は悶々とした日々を送っていたのでした。
 
キャリアの行き詰まりを感じる中では、ターニングポイントとなるような転機点となる「学び直し」も必要なのかもしれないと思っていましたが、当時の私がその選択肢として思いつくのはMBAだけでした。
 
当時勤めていた会社に社費MBA留学制度はありましたが、私に順番が回ってくることはありませんでしたし、私費で行くにしても、元来、コーポレートファイナンスや、Valuationには興味がなく、仕事上必要だから学んでいただけの私にとっては、マスターに行ってまで、それらを勉強する気持ちにはなれませんでした。
 
既に30代後半で、今更MBAにいく選択肢も現実的ではなく、ましてや、MBAをとった人が就くような醍醐味ある仕事に既に就いている自分が、敢えてMBAに学びにいく意味はあるのだろうかと思っていたのも正直なところで、唯一の選択肢にみえるMBAがその答えではないという事実を抱えながら、ただ悶々とする毎日をやり過ごしていたのでした。
 
そのような私にとっては、INSEAD・EMCがMBAではないマスタープログラムであるというところも、魅力的でした。
 
私のクラスメイトのファイナンス出身者たちをみても、金融のキャリアに行き詰まりを感じつつ、セカンドキャリア模索の一環で入学している人たちがほとんどでした。
 
EMCを卒業した今の彼ら彼女らを見ると、各々なりにEMCを上手く使いこなしたという印象です。そのまま金融業界に残ってEMCでの学びを現場での実践に還元する人もいれば、金融業界から足を洗って、第二のキャリアを歩み始めている人もいます。

かくいう私も、IBでの”キャリア第一章”から、EMCを経て、今は”キャリア第二章”に突入しています。
 
金融業界
→ キャリアに行き詰まる
→ 学び直しをしたい
→ MBAではない修士
→ INSEAD・EMC
→ キャリア第二章
という、金融人にとってのキャリアトランジションの一つのパターンが、EMCで創られつつあることは確かです。

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次に、「MBAではない修士に魅力を感じたのは解った。でもそれだけじゃないでしょ? 」というお声にお答えします。
 
はい、もちろんそれだけではありません。伏線はありました。
 
私は、IBの世界から足を洗いたいと思っていた時に、日本の国家資格である「キャリアコンサルタント(通称「キャリコン」)を取りました。

なぜキャリコンを取ろうと思ったかというと、自分はキャリアについてはとことん向き合ってきた人間だと自負していたので、キャリアについての理論があるのであれば、それをしっかり学んでみたいと思ったこと。
そして、将来的には、自分のようにキャリアで悩む方々のサポートをしたいと思ったからです。

フルタイムで働きながら、3ヶ月間、毎週末、土日に終日講義を受けていたのですが、その勉強が楽しくて楽しくてしょうがなく、もっと勉強したいなと思っていたところで、出逢ったのがINSEAD・EMCだったのです。

EMCの内容そのものが、キャリコンの勉強と直結するわけではありません。

しかし、キャリアコンサルタントは、人のキャリア、人生に寄り添い、その歩みや変化をサポートする役割であり、私もビジネスプロフェッショナルとして、そのような個人の集合体である組織に対してもアカデミックなアプローチ方法や、理論等を学ぶことで、より本物の変化を促すことのできるプロになれるのではないかと思いました。その意味での親和性をINSEAD・EMCに感じたのが、EMCに興味を持った理由の一つです。
 
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金融業界というのは、ある意味特殊な環境です。

これは私の分析ですが、金融業界というところは、
会社の看板があるからこそできる仕事だったり、
案件のスケールが大きすぎたりして、
「個人のキャリア」は、会社というシステムに吞み込まれる形で、
組織と社員が一心同体になりがちなのではと思うのです。

ゆえに、 “会社抜きの”自分のキャリアを想像するのが難しく
“会社抜きに”自分のアイデンティティを見出すことが難しい

だからこそ、金融業界には、自分のセカンドキャリアを思い描くことができず、苦しい思いをしている方が多いのではないかと思うのです。

加えて、私たち世代においては、金融業界は給与水準が高い業界でもあるので、業界にどっぷり浸かると、ちょっとやそっとのことでは、そこから脱け出すドライバーが働きにくいというのも現実だと思います。
 
そこで、「このままじゃいけないのは解っているが、自分は忙しすぎて、勉強する時間なんかないんだ!」と半ば諦め&お嘆きの金融マンの皆様にご提案です。

INSEADというトップビジネススクールの名前とブランドを使って、堂々と有給休暇を取り、シンガポール(又はフランス)への”国際通学”を始めてみてはいかがでしょうか。
 

金融人のキャリアトランジション、INSEAD・EMCで既に始まっていますよ。



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