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「医師×AI」で医療現場をDXする!カルディオインテリジェンス起業にかけた想い

皆さん、こんにちは。カルディオインテリジェンスCEOの田村雄一です。
カルディオインテリジェンスを創業するに至ったきっかけや想い、現在CEOとして大切にしていることについて紹介したいと思います。


医療現場の現状と課題から『自動化』と『AI』に着目!

私は心臓専門医として”肺高血圧症”という難病の診療を専門としていますが、とくに難病は専門医が少ないため、診療を受けることの出来ない患者さんが多いことに課題を感じていました。特にこの気持ちが強くなったのは、大震災が起きた2011年でした。患者さんが病院に容易にアクセスできない状況が生じるのをみて、医療提供におけるセーフティーネットとしてICTソリューションを活用したいと思い、デジタルヘルスに深くかかわるようになりました。
難病専門の遠隔診療システムを2015年に立ち上げた後も、「もっとダイナミックに多くの患者さんを救いたい!」こんな気持ちが沸き上がる一方で、医師の数は限られ、労働時間をこれ以上増やすことは難しい…。
このような医療現場を革新的に変えるため、『自動化』『AI(人工知能)』に可能性を感じるようになりました。

医療現場で本当に役に立つAIとは

今でこそITやAIという言葉が身近なものになりつつありますが、安全性が重要視される医療現場にこういった技術を取り入れるのは容易ではありません。
確かに、人間も間違うことをAIが絶対に間違わないようにするということは不可能であり、医療現場におけるAIの社会実装の最初の目標としては適切ではないのです。AIが得意としているのは”膨大なデータからスクリーニングをかけるということ”、つまり医療現場の作業効率化の観点でAIの良さが発揮されるのです。
例を挙げると、画像診断を補助するAI医療機器が普及し始めていますが、こういったAIは膨大な画像データの中から異常の可能性がある部分にあたりをつけて医療従事者に示してくれます。ただし、データを確認して最終的な診断を下すのはあくまでも医師の仕事なのです。
このように、すべての業務を最初から最後まですべてAIが行うのではなく、AIが得意な作業と人間が行うべき作業、それぞれが協同するシステムを構築することが、本当に医療現場で役に立つAIの目指すべき姿です。

研究開始から3年、”起業”を通して理想の医療現場を実現する!

世界中の心臓病の医療現場をAIで支援し、患者さんにも医療従事者にも良かったと思ってもらえるような技術を開発し、届けたい。そのような気持ちを胸に、中学時代からの友人で立命館大学情報理工学部の谷口忠大教授と共に、まずはもっとも古典的な検査である“心電図”の自動化を目指し研究をはじめました。
試行錯誤の末、ディープラーニング技術を使用した自動化の目途が立ちました。しかし専門医として「もっとAIにしかできないことはないか」と突き詰めて考えた末、人間の目では見つけることのできない病気の微細な“兆候”をAIが見つける、いわゆる「未病診断」ができるようになることに、病気の早期発見の鍵があると考えました。これを患者さんに届けることができれば、病気の早期発見だけではなく医療従事者の業務効率化の観点からも価値があると考えました。
研究の構想を進めていく中で、谷口教授を通じてAI専門家の高田(現CTO)がジョインし、1年半ほどで基本的なAIアルゴリズムが完成しました。これが今の我々の製品である『長時間心電図解析ソフトウェア』のコア技術となっています。
研究成果を実用化する方法はたくさんありますが、成果の社会実装を通して自分たちの思い描いた医療の姿を実現するためには会社を立ち上げることが最善と考え、2019年に起業を決意しました!

長時間心電図解析ソフトウェアを操作中

”未経験”の壁を超えるために、大切なのは人と人のつながり

私は医師・医学研究者としての経験は豊富な一方で、開発した研究成果を医療機器製品として社会実装していくためには、各種手続きをはじめとした様々なノウハウが必要であり、自分にとっても初めてのことだらけでした。それを一緒に乗り越えてくれるメンバーを集めること、これが自分にとっての最初の壁でした。そんな中、ヘルステックに興味があったり、すでに社会実装の経験があったりする旧知の方や、投資家の方など、様々な方の協力のもと自分と志を共にする仲間と実現に向けた知識や情報を得ることができ、2019年10月に株式会社カルディオインテリジェンスを創業しました。

CEOとして大事にしていることは「医療現場のニーズ」に立ち返って判断すること

私自身、会社ではCEOですが、医療現場では心臓の専門医でもあります。
”2足のわらじ”を履くことで、タイムマネジメントに課題を感じることもありますが、一方で医療現場のリアルなニーズを会社に持ち帰って製品開発に活かし、現場に還元していく、このようなサイクルを回すことができるのが、私とカルディオインテリジェンスの大きな強みだと思っています。
またCEOである以上、会社の経営方針や事業計画など、決断を求められる場面が多くあります。そんな場面でも、技術先行ではなく本当に医療現場で患者さんや医療従事者の役に立つのか、そこに立ち返って判断できるのは、自分が2足のわらじであるからこそだと感じています。

医療現場を良くしたいと志を共にする仲間

カルディオインテリジェンスは医療現場で診療や営業に携わっていた者だけではなく、エンジニアをはじめ様々なバックグラウンドを持った社員がいます。医療現場未経験の社員も多いですが、皆さん各々の得意な分野を通して医療現場を良くしたいという気持ちをもってジョインしてくれています。
今後、私が誇りに思っているスタッフたちから、カルディオインテリジェンスで自分がどのように働いているかについて、記事が投稿される予定です。
エンジニアからバックオフィスまで、自分が得意なことを活かして活躍し、それが医療現場を良くしている姿をご覧いただけると嬉しく思います。

役員も同じ座席のため気軽に話しかけてもらってます