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ミライのキャリア#15 メタ認知のすすめ 起業編(3)

インテリジェンストラップおさらい


【えりな】
 前回はインテリジェンス・トラップの話。インテリジェンストラップというのは、知的な能力が高い人が正しい判断ができるとは限らない、頭の良さと合理的な判断力とは違う、という話でしたよね。
【Caol】
 そうですね。今回は、前回のインテリジェンス・トラップ、前々回の生存者バイアス、この2つの落とし穴から逃れるための方法、メタ認知の話です。
【ホリデー】
 なるほど。誰だって落とし穴に落ちたくないですもんね。
【えりな】
落とし穴から逃れる方法、知りたい〜!

メタ認知の効能


【Caol】
 はい、なので、このメタ認知がわかると、自分が仕事をしたり、生きていく上で、目標に向かって正しい努力ができたり、物事を正しく対処できたりできるようになるんですよ。メタ認知が高いと例えば
・計画の達成力が向上する
・先延ばしをしなくなる
・怒りのコントロール力がつく
 みたいな効果があるんです。
【ホリデー】
おお〜。メタ認知すごいな。メタ認知最高だ!ところで、えりなちゃん、メタ認知ってそもそもどーゆーことか知ってる?
【えりな】
 「メタ」って言葉は日常的に使いますよ!例えば、舞台だと役者さんは登場人物としての発言しかしないと思うんですが、その中にちょっと楽屋の話題のアドリブが入ったり、あとはアニメや漫画でキャラクターが「続きの公開はいつ!見てくれよな!」って言ったり。「メタい!」ってみんな使います。
【ホリデー】
 お〜!なるほど!かなり正確に言葉の意味を理解できてるやん!なるほど。もしかしてZ世代にとっては「メタ」って概念が僕らの世代よりもより身近なのかもしれないなあ。
 ちなみに僕はメタ認知のことは、学生時代にCaol先生から教えてもらいました!(得意げ)。このメタ認知、って今の仕事にもかな〜り役に立ってるんだよね。【えりな】
 へ〜!そうなんですね!アニメだけじゃないんですね!
【ホリデー】
 ふふふ、そうなのだよ。じゃあ、メタ認知って、なんなのかというと、それはCaol先生が解説してくれます!

メタ認知とは?


【Caol】
 はいはい、説明しましょう。メタ認知というのは、自分が認知していることを把握してコントロールすることです。
【えりな】
 ほほ〜!自分が認知していることを、把握してコントロールすること!
【Caol】
 そう、人は物事をありのままに見たり聞いたりすることはできないんです。
【えりな】
 ん?どゆことどゆこと?ありのままに見たり聞いたり、できないんですか?え、いつも私やってるつもりでしたけど!
【Caol】
 例えば、テーブルに置いてある紙に鉛筆で書いてある文字を見たとき、目への情報は、白と黒でしかない。これを文字、と判断するのは脳。「今日は遅くなります、冷蔵庫におやつのケーキが入ってます」と読んで判断できるのも脳。この脳の働きのことを認知といいます。
【えりな】
 なるほど〜。確かに、書かれた文字は、物質的にいうと、ただの鉛のシミみたいなもんですもんね。
【ホリデー】
 そう、物事をありのままに見ると、まさに「鉛のシミ」になるはずだよね。でも、その人の脳のせいでそれが文字に見えてしまう、ってことですね。
【えりな】
 なるほど〜!
【Caol】
 認知の働きには、感情や行動もくっついています。「おやつのケーキが入ってます」という文字を見たときに、「やった~!」と思うか、「別に」と思う、という考えも認知のうち。なので、認知によって起きる感情や、その後の行動も変わってきます。今、自分の認知はどんなもの、ということが自分自身で分ると、感情も行動もコントロールできますよね。その、認知を俯瞰して把握することが、メタ認知。
【えりな】
 自分を客観視して、いろんな視点でものを考えるということですね。だからキャラクターが、キャラクターとしてではなく「作られたもの」として発言したりするのもメタだったのか!
【Caol】
 お見事!さすが理解が早い!
 別の視点からメタ認知を説明すると、優れたサッカー選手は、目の前の景色のほかに、サッカーコートを俯瞰する視点も持っている、と聞きます。自動車を運転するときに、カーナビがあって、目の前の景色のほかに別の俯瞰する視点がある感じですね。このように自分の視点と別の視点をもてたり、別の考えが持てることがメタ認知です。

役者は3つの目を持っている


【えりな】
 似た話だと、「役者は3つの目を持っている」という話があります。自分が自分を見た目と、お客さんから見た目、そして最後が舞台全体を俯瞰した目。
【ホリデー】
 おお〜、いい話!確かに同じ話だね!
【Caol】
 で、フランベルさんの理論では、メタ認知が働くタイミングは4つ、
【ホリデー】
 フランベルさん、誰?Caol先生の友達?
【Caol】
  いや、このメタ認知という能力を見つけたアメリカの心理学者。ジョン・H・フランベルがメタ認知が働くタイミングは4つあるって言っていて、
1 目標段階
  目標を設定するときには、自分は何を考えているのか、と自分をモニタします。2 知識段階
  目標を達成するために、自分がどんな知識を持っているか?何が不足しているか?振り返っていきます。
3 行動段階
  行動しながらメタ認知をしていく。例えば、集中していない自分がいる、なぜか集中できないのか?など自分を観察していきます。
4 結果の段階
  失敗、成功について評価をしていきます。例えば、失敗したけど、あの時、このように考えたのがミスの原因だった、など自分の感情を確認していきます。
【ホリデー】
  ほえ〜。言われてみると、確かに、って感じだけど、この4つでメタ認知発動しない人も結構いる気がするw
【Caol】
  フランベルは、子どもの思考発達の研究で、メタ認知という能力を発見しました。基本、誰もが持っている能力で、年齢とともに成長するものです。
【えりな】
  人間がもともと持っているんですね!確かに子供ほどメタな感じが少ない気がします。小学生が夏休み最終日に宿題を全部やらなくちゃいけなくなって「やだー!やりたくないー!宿題消えろー」と思うとおもうんですが「なぜ今宿題が残ることになったのか客観的に分析してみよう…そもそも夏休みの日数と宿題量は適切だったのだろうか…?」とはなりませんもんね笑
【ホリデー】
 こないだネットで「夏休みの宿題を最終日までやらないと人はどうなるのか」って自由研究やってた子が話題になってたけどねw
  最後は「宿題はなんのためにあるのか、僕はなんのために生きているのか、なぜ人は争うのか」って、メタの階段登りまくってたよw
【Caol】
 その子のメタ認知能力は非常に高いですね。最後は実存主義哲学じゃないですか!
【えりな】
 でも、大人だからってみんな物事を客観的に見れるとは限らなくないですか?仕事を内容や量を客観的に見れずに、やみくもに残業する先輩もいるし…

メタ認知を高める方法


【Caol】
 その通り。メタ認知は能力なので、人によって高い低いの差があります。インテリジェンストラップのときにやったプラクティカルインテリジェンスと関連がありそうです。
 ただ安心してください、メタ認知を高める方法、というのはいくつかあります。【えりな】
 え〜、知りたいです!
【Caol】
 まず1つ目が「と私は考えている」という方法。これは、今、自分が考えていること、感じていること、感情などを「〜と私は考えている」とか「〜と私は感じている」「〜と言う感情を私は持っている」という風に言葉にしてアウトプットする方法。
【ホリデー】
 なるほど。強制的に「他者視点」にしちゃうわけですね。
【Caol】
 このやりかたを一歩進めると「〜と考えているのは私で、ファクト/事実はこう。」と考えと客観的な事実を分ける、よりメタ認知が働く方法にもできます。【ホリデー】
 なるほど、そこまではかなり訓練が必要そうですけどw
【えりな】
 でも、確かに他者の視点からスタートして冷静に分析していく、って思考のパターンは役に立ちそうですね!
【Caol】
 2つ目、「と私は考えている」という方法でうまくいかない、より徹底的にやりたい、という人は、紙やスマホのメモに書くことをお薦めします。これは、
 まず日々の出来事を書く。朝何を食べた、とか。これは事実
 次に出来事の時に起きた感情を書く。朝食がおいしかった、とか。
 その次に出来事の時に考えたことを書く。明日もパンを食べよう、とか。
【ホリデー】
 可視化することによって、より強力に他者視点で自分の行動や思考を眺めることができる、ってことですね。なるほど。
【Caol】
 ですです。そして、こういう他者視点の取り入れに成功すれば、前回お伝えした「インテリジェンストラップ」や「生存者バイアス」の罠にはまることから逃れられるんです。
 「本当に自分は賢い選択をしたのか?違う可能性もあるんじゃないか?」とか、「たまたま前に成功したからこれが正しいと思っていたけど、本当の課題はもっと別のところにあるんじゃないか?」とか、そうやって自分の考えを相対化して考えることができれば、落とし穴に落ちにくくなる、というわけですね。
【えりな】
 なるほど〜!
 確かにメタ認知能力を上げれば、自分の行動を先読みして監視できるので、計画の達成力が向上しますし、先延ばしをしなくなる。自分の感情を客観視できるので、怒りのコントロール力もつきそうですね。
 まさに、夏休みの宿題を計画して先伸ばさなくなることで、達成できるようになる、みたいな役割があるということですね。
 メタ認知が苦手な人も、自分の考えを可視化することでメタ認知を習慣づけることができる、というお話しでした。



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