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中華街とタピオカと私(はじめに)

はじめまして。私は、2019年(令和元年)11月から中国語の勉強を始めて、現在1年3か月になります。6歳の息子の育児をしながら、フルタイムで仕事しています。【2021年2月時点】

私自身、実はまだ中国本土に行ったことはありません。そんな私が何故中国語に興味を持ったのか、少しお話させていただければと思います。


中華街と幼少期の記憶

私が中国と聞いて、まず思い浮かべる場所は、中華街である。両親は昔から中華街が好きで、子供の頃から両親に連れられて電車で片道1時間半かけて遊びに行っていた。チャーシューを焼くときにたちこめるあの独特の香りをかぐ度に、何だか日本ではない、特別なところに来た気分になる。

最初に中華街を訪れたのは、小学校低学年の頃(かれこれ20年以上前!)。メイン通りで、丸ごとのヤシの実が500円位で売っていた。物珍しかったため、母親にねだって買ってもらった。山下公園で氷川丸を眺めながらヤシの実にストローを刺して飲んだ記憶が今も忘れられない。(何せ子供にはとても飲みきれない量だったから。)

その後も内定先が決まった時、自分の子どもが1歳を迎えた時、両親が還暦を迎えた時など、人生の節目には必ず中華街でお祝いをしてきた。

エネルギーに溢れる街

運命の巡り合わせで、晴れて中華街近くのオフィスで仕事をすることになった。多くの中国人が暮らしているせいか、街中ですれ違う人々の会話に耳を澄ますと、体感的に1〜2割の人が中国語を話している気がする。

休憩時間には中華街でランチを食べたり、買い物をするようになり、中国人と話す機会が増えた。中華街で働く中国人の多くは日本語が話せるため、少し仲良くなった人にはどうやって日本語を身につけたのかこっそり聞いたりする。

最近出会った中国人は、最初「何も特別なことはしていないよ〜。日本のテレビをたくさん観た位だよ。」と謙遜していたけど、それだけで本当に上手くなるのか?と根掘り葉掘り尋ねたところ、実は日本語学校に通い、大学院に留学して、日系企業に就職して、などなどエピソードのオンパレード。本当は見えないところで相当努力しているのである。日本で仕事をする中国人からは、「絶対に成功してやるんだ!」という気迫さえ感じる。

日本で生活している中国人は、異国の地にやってきて、コミュニケーションが取れるくらいのスキルを習得していて、本当に尊敬しかない。勉強に対する熱意が半端ない。日本語の喋れる外国人に会う度、自分も頑張ろう!と、気が引き締まる思いになる。

タピオカ屋の栄枯盛衰

ところで少し余談になるが、中華街では2019年(平成31年)3月位からタピオカ屋が爆発的に増え続け、一時期は70店舗位見かけたが、今は両手で数える位にまで減ってしまった。タピオカタウンと化したあの当時の面影は、もうあまり感じられない。

中華街は、新型コロナウイルスの影響が日本で真っ先に直撃したエリアである。緊急事態宣言が出され、長引く自粛期間が明けた頃には、タピオカブームはいつの間にか去ってしまった。

たくさんあったタピオカ屋は、今どうなったかというと、撤退する店が多い中、台湾唐揚げ(大鶏排)の専門店に変更したり、本来の肉まんの販売に戻ったり。きっと、また別の新たなブームがきたら、同じことが繰り返されるのだろう。

私のとってのパワースポット

中華街にやってくる中国人の若者は、新しいことに挑戦しよう、成功している人がいたら真似してみよう、といったチャレンジ精神のある人で溢れている。そして各々のバイタリティが共鳴し合い、物凄いスピードで中華街全体が変革していく。街がタピオカ店で埋め尽くされた時には本当に驚いたものである。

古くから常連さんに愛される名店で、中華街の伝統を守ろうとする老舗の想いと、どんどん新しいことに挑戦しようとする若者の燃えたぎる想いが、あの狭いエリアで交錯している。彼ら同士の内部事情は正直全然わからないが、別のお店の従業員同士で、あっちこっちで仲良さそうに話している姿をよく見かける。

中華街にいる中国人は、気軽に話しかけてくれて、温かくて人情味に溢れている。日本人の私にも分け隔てなく親切に接してくれる。私にとっては、行くたびにエネルギーをもらえるパワースポット、気づいたら大好きな場所になっていた。

中国人は褒め上手

中華街で働く中国人、とりわけ接客のスタッフは基本的に日本語が喋れるため、コミュニケーションに困ることはない。でも、せっかくだから中国語を話してみたい。

ある日、勇気を出して店で働く中国人に「你好!」と挨拶したところ、ニッコリ笑顔で「你好你好!」お返事してくれた。

また、別の人にカタコトの中国語を覚えて使ってみたところ、それはもう大袈裟なくらい「中国語上手だね!」と褒めてもらった。私が中国語を話すと、どの中国人も、とても感激してくれるのだ。たぶん上手なはずないし、お世辞なんだけど、それでも私を和ませようとしてくれる、その心配りが嬉しいのである。

たまに、私が挨拶すると中国語が出来る人だと勘違いされて、機関銃のように中国語で話され、全く理解できないこともある。どうにかして言葉のキャッチボールができるようになりたいものだ。

私自身、中国語を勉強する一番の原動力は、中華街で働く中国人と、もっと仲良くなりたいから。

中国語の勉強を始めて、中国の文化をSNSなどを通して知る機会が増えるにつれて、自分の見える世界がグンと広がっていく気がした。自分が今までどれだけ井の中の蛙だったか。勉強すればするほど、世の中には自分の知らないことがたくさんあるんだ、ということに気づく。

日本でたくましく生活する彼らのように、私もたくさん勉強して、中国のことをもっと知っていきたい。

そんな想いを抱きながら、今日も静かに辞書と向き合う。

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