B'z批評:No.11 Crazy Rendezvous
久々のB'z批評。今回は5th Album「IN THE LIFE」収録の♯5 「Crazy Rendevous」。
松本さんの当時の愛車、シボレー・コルベットの排気音で幕を開ける軽快なポップナンバー。
耳の肥えたファンならDriver's Highのエンジンとの違いを瞬時に聴き分けるだろう。
稲葉さんの見せる恋愛ソングは高嶺の花へ卑屈に成り下がるケースが印象的だが、初期の頃は引目を振り切って強気にでている。
本作もその一曲であり、他にはGIMME YOUR LOVE-不屈のLOVE DRIVER-やOh! Girlなどだろうか。
帰らせないよ 朝が来るまでは 好きなんだから しょうがない
果たして稲葉さん以外が言って通用するのかと思い始めれば、こちらが卑屈になるほどこっぱずかしい。
このこっぱずかしさも初期のB'zを楽しむ上での醍醐味だろう。
嫌われないように生きてきた 守ってばかりの性格が 自分で嫌になった今夜は 車線変更まで強引に行こう
恐らく多くの男性ファン諸君はこの歌詞を最も印象に残したのではないかと思う。”犯罪のようだったドライブ”をする勇気はなくとも、このフレーズにはカッコよさを覚えてしまうことだろう。
IN THE LIFEの曲の多くは「人生」よりも「生活」を描いた作品が多い。
その中で男女についての曲も多く、本作が「関係の始まり」であるならば「もう一度キスしたかった」は「終わり」であり、「それでも君には戻れない」は「後悔」だ。(『快楽の部屋』や「TONIGHT (IS THE NIGHT)」は「最中」?)
これらの曲は同一の世界線でない。飛躍して関連づけるのも面白いが、生活というコンセプトにおいて、それぞれのワンシーンから稲葉さんが思い描いた「それぞれの関係」として解釈する方がアルバムとしての統一感を持ちながら一曲一曲がアルバムの中で際立つ。
細かくにコンセプチュアルに捉えすぎない方が曲単位の力を感じられるのがB'zの特徴であると思う。
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