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賢者タイムと東京

「後悔のないセックスを求めて、向かう先はどこですか?」
こんな広告が山手線の車内のポスターに普通に掲示される日が来るまで、僕は叫び続けなければならない。
愛する人のいない人、
愛されたいと願う人、
そもそも愛とは何かを見失っている人、
これらすべての人の、受け入れ先はどこに存在していますか。
世界平和を願う前に、戦争紛争を寵愛し、徹底的に手なずけることをしようとする政治家に、票が入る時代。死なばもろとも。

新宿歌舞伎町

初めて知り合った男女が、互いを蔑み、いずれも
「私が/僕が遊んであげている」という錯覚を起こし、
深夜のBallian Resortに吸い込まれていく。

性行為をしただけなのに、すべてをわかった気になっている男。
自己の「女」を確認すべく、少し拒んだ表情を浮かべながらも、すぐに股を広げて喘ぐ女。

互いは分かり合えないし、分かり合おうともしない。
互いが互いを利用して、自己を満足させるための1手段にすぎない「性行為」のために、青春の1夜を「Resort」と称された牢獄で過ごしている。

彼女と別れ、2か月が経とうとしている。
容姿も学歴も年収も、中の上、そんな男にも需要はあるらしい。

経験人数の話をする。
両手両足で数えられないほどになったあたりから、「身体の相性」とかわけのわからないことを言うようになってしまった。

恥の多い人生。ドラマチックな夜をいつも求めている。
「刺激的な夜は刺激を感じる沸点を下げるところから始まる」なんてことを言った50歳手前の白髪交じりは、きっと何かにひどくくらっていて、好きだった。

ちょっと刺激的な、深みのある安定が欲しい。

刺激と安定のバランスを崩すと恋愛はうまくいかない。

人間の「飽き」という絶望と常に対峙していく必要があるのが恋愛だ。それに毛が生えたのが結婚だ。

都会の悪いところは、「人」と「モノ」の判別が鈍るところである。

寂しいときに寂しいと言う。
辛い時に辛いと言う。
嬉しい時は腹を抱えて笑い。
死にたいときには死にたいと言う。

それは明らかに「人」に向けて発信している。
「モノ」ではない。

この巻末はバットエンドで失礼いたします。

お前はお前の好きなように生きて死ね。以上。








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