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照魔機関 短編

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創作大賞に出している照魔機関の短編です! 照魔機関とは、怪異による人的被害の対策を行う秘匿された捜査機関です。 【あの淵の底で——】は、カクヨムコン9中間選考突破作品、過去にカ…
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あの淵の底で—— 第1話(全5話)

あの淵の底で—— 第1話(全5話)

見繕い淵 の検索結果を表示します検索結果確認後 フィルター解除の申請をします

——閲覧中のページは、フィルターにより保護されています。当機関の調査結果を表示するにはフィルターの解除を申請してください——

【見繕い淵事象】

以下、風土誌より抜粋

~深山市に伝わる昔話 その⑤ 見繕い淵の伝説~

 むかしむかし、ある村人が見繕い淵の近くで柴刈りをしていると、石にぶつかって鉈が折れてしまった。

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あの淵の底で—— 第2話(全5話)

あの淵の底で—— 第2話(全5話)

不審電話12月9日 忘年会

 
 12月9日 俺は会社の忘年会に出席していた。

 俺の職場は、一応上司や部下の括りはあるものの、そこまで堅苦しいものじゃなくて、普段の会話でも冗談を言い合えるような雰囲気だ。さらに、酒が入ると普段大人しい奴も大胆になる。そのせいか、今年入ったばかりの大人しい後輩が、今日はやけに饒舌だった。それで何かの拍子に、そいつは俺と同郷だと知った。あんな辺鄙な山の中から出て

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あの淵の底で—— 第3話(全5話)

あの淵の底で—— 第3話(全5話)

奇妙な来訪者12月13日 怪しい男女

 12月13日 夕方
 あれから仕事が全く手に付かず、上司に相談して休ませてもらっていた。理解のある職場で助かった。

 俺と妻はこの2日間、ずっと息子の治療方法や費用の事などを調べ続けていた。だけど、お見舞いには妻だけで行って貰った。妻は俺にも来て欲しそうだったが、理由を付けて断り続けていた。

 息子の中にいるあいつと会うのが、俺は怖かった。

 テーブ

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あの淵の底で—— 第4話(全5話)

あの淵の底で—— 第4話(全5話)

【見繕い淵事象】についての調査結果を表示します

怪鳥事象の担当者へ

 フィルターの解除申請を受理しました。遺族に調査記録を明かす事を許可します。

照魔機関 情報部 箱上

【見繕い淵事象】

以下、風土誌より抜粋

~深山市に伝わる昔話 その⑤ 見繕い淵の伝説~

 むかしむかし、ある村人が見繕い淵の近くで柴刈りをしていると、石にぶつかって鉈が折れてしまった。

 腹を立てた村人は、鉈を淵に

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あの淵の底で—— 最終話(全5話)

あの淵の底で—— 最終話(全5話)

「伸次君のご遺体は、弊機関が責任を持って捜索しております。調査に携わった者の認識に誤りがあり、対応が遅れてしまった事を心よりお詫び申し上げます」

 逢が頭を下げた。

 あの遺体が伸次じゃないのは、なんとなく分かってた。でも、まだ俺の中の常識が淵の怪奇現象を否定している。

「その話、本当なのか? 淵で泳いだ事もあるけど、何も起こらなかった。なんで伸次だけ……」

「これは仮説ですが、淵が見繕え

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