木の傘

妖しくて不思議なものが好きな、田舎の社会人です 伝承を下敷きにして怪異を創作することが…

木の傘

妖しくて不思議なものが好きな、田舎の社会人です 伝承を下敷きにして怪異を創作することが多いですが、心に浮かんだ不安をそのまま形にすることもあります 怪談やミステリーが好きです✨ 2022年から他サイトで活動開始。 2023年カクヨムコン9 中間選考に短編が2作品通りました。

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  • 照魔機関 短編

    創作大賞に出している照魔機関の短編です! 照魔機関とは、怪異による人的被害の対策を行う秘匿された捜査機関です。 【あの淵の底で——】は、カクヨムコン9中間選考突破作品、過去にカクヨムのホラー週間ランキング9位を記録した自信作です。長編に登場する人物も出てきます✨ 【あらすじ】 忘年会で同郷の後輩と話した夜、変な電話がかかってきた。 「見ぃつけた」 その声を聞いた翌日から、俺の周りでおかしなことが起こり始めた。 あいつは、俺を恨んでいるんだろうか。 怪奇現象のつながりの果てに見えるのは、憎悪か、愛情か、それとも……

  • 照魔機関(ショウマキカン)

    怪異による人的被害の対策を行う秘匿された捜査機関(照魔機関)に所属する捜査官——日暮逢と神無四辻。逢は原因不明の記憶障害を抱えているものの体に染みついた分析技術を駆使して、四辻は機関が収集した怪異の記録を元に推理を組み立て怪奇現象に挑む。 ホラーノベルゲームのような雰囲気を意識した、怪異と人の情念が絡み合うオカルト×ミステリーです! 主役コンビについて 日暮逢(ヒグラシ アイ) 栗色の髪に榛色の目を持つ女性。原因不明の記憶障害を患っており、自分の過去の記憶がなく、現在の記憶の構築も難しい場合があり、常にノートを持ち歩いて捜査状況を記録している。 神無四辻(カンナ ヨツジ) 灰緑色の髪の美青年。妖しく優美な雰囲気を纏っており、彼の中性的な美貌は為男女問わず魅了するが、捜査の為に奇行に走ることが多い。 日暮逢の相棒であり、師匠のような立ち振る舞いをする彼の正体は——。

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照魔機関 第1話 ■■の巫女

あらすじ  怪異による人的被害の対策を行う秘匿された捜査機関(照魔機関)に所属する捜査官——日暮逢と神無四辻。逢は原因不明の記憶障害を抱えているものの体に染みついた分析技術を駆使して、四辻は機関が収集した怪異の記録を元に推理を組み立て怪奇現象に挑む。  派遣先で二人を待ち受けていたのは呪いを恐れて錯乱する村人、建物を泥で満たす怪異、行方不明者の遺体が天井からぶら下がる現象。断ち切れない因習、渦巻く怨念、怪異の正体を暴いた時、見えてくるものは果たして、悪鬼か人の子か。  そして

    • あの淵の底で—— 最終話(全5話)

      「伸次君のご遺体は、弊機関が責任を持って捜索しております。調査に携わった者の認識に誤りがあり、対応が遅れてしまった事を心よりお詫び申し上げます」  逢が頭を下げた。  あの遺体が伸次じゃないのは、なんとなく分かってた。でも、まだ俺の中の常識が淵の怪奇現象を否定している。 「その話、本当なのか? 淵で泳いだ事もあるけど、何も起こらなかった。なんで伸次だけ……」 「これは仮説ですが、淵が見繕えるのは底に沈んだ物質だけだと思います。奴は底に潜んでいますから」  つまり、俺

      • あの淵の底で—— 第4話(全5話)

        【見繕い淵事象】についての調査結果を表示します 怪鳥事象の担当者へ  フィルターの解除申請を受理しました。遺族に調査記録を明かす事を許可します。 照魔機関 情報部 箱上 【見繕い淵事象】 以下、風土誌より抜粋 ~深山市に伝わる昔話 その⑤ 見繕い淵の伝説~  むかしむかし、ある村人が見繕い淵の近くで柴刈りをしていると、石にぶつかって鉈が折れてしまった。  腹を立てた村人は、鉈を淵に投げ捨てて帰ってしまった。  次の日、村人が淵を訪れると、投げ捨てたはずの鉈が

        • 創作大賞に出した長編、読了してくださる読者様が多くて本当にありがたいです😭 でも、もっと読まれてほしいなぁと思ってしまう木の傘です 笑 だって、隙間時間全部費やして書いたからね! という訳で、照魔機関の短編を上げます✨いきなり長編読むのはハードル高いもんね、お試し版です✨

        • 固定された記事

        照魔機関 第1話 ■■の巫女

        • あの淵の底で—— 最終話(全5話)

        • あの淵の底で—— 第4話(全5話)

        • 創作大賞に出した長編、読了してくださる読者様が多くて本当にありがたいです😭 でも、もっと読まれてほしいなぁと思ってしまう木の傘です 笑 だって、隙間時間全部費やして書いたからね! という訳で、照魔機関の短編を上げます✨いきなり長編読むのはハードル高いもんね、お試し版です✨

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        • 照魔機関 短編
          5本
        • 照魔機関(ショウマキカン)
          16本

        記事

          あの淵の底で—— 第3話(全5話)

          奇妙な来訪者12月13日 怪しい男女  12月13日 夕方  あれから仕事が全く手に付かず、上司に相談して休ませてもらっていた。理解のある職場で助かった。  俺と妻はこの2日間、ずっと息子の治療方法や費用の事などを調べ続けていた。だけど、お見舞いには妻だけで行って貰った。妻は俺にも来て欲しそうだったが、理由を付けて断り続けていた。  息子の中にいるあいつと会うのが、俺は怖かった。  テーブルの上に出しっぱなしになっている資料は嫌でも目に入る。息子が治せるなら、どれだけ

          あの淵の底で—— 第3話(全5話)

          あの淵の底で—— 第2話(全5話)

          不審電話12月9日 忘年会    12月9日 俺は会社の忘年会に出席していた。  俺の職場は、一応上司や部下の括りはあるものの、そこまで堅苦しいものじゃなくて、普段の会話でも冗談を言い合えるような雰囲気だ。さらに、酒が入ると普段大人しい奴も大胆になる。そのせいか、今年入ったばかりの大人しい後輩が、今日はやけに饒舌だった。それで何かの拍子に、そいつは俺と同郷だと知った。あんな辺鄙な山の中から出てきた人間がこんな近くにいるなんて驚きだった。 「えっ僕、同じ中学に通ってました

          あの淵の底で—— 第2話(全5話)

          あの淵の底で—— 第1話(全5話)

          見繕い淵 の検索結果を表示します検索結果確認後 フィルター解除の申請をします ——閲覧中のページは、フィルターにより保護されています。当機関の調査結果を表示するにはフィルターの解除を申請してください—— 【見繕い淵事象】 以下、風土誌より抜粋 ~深山市に伝わる昔話 その⑤ 見繕い淵の伝説~  むかしむかし、ある村人が見繕い淵の近くで柴刈りをしていると、石にぶつかって鉈が折れてしまった。  腹を立てた村人は、鉈を淵に投げ捨てて帰ってしまった。  次の日、村人が淵を

          あの淵の底で—— 第1話(全5話)

          ホラー小説部門に出した長編が完結しました! 滑り込みです💦間に合ってよかった😭 めちゃ難しい話になってしまったけど、読んでくださってありがとうございました!ハートもいっぱいありがとうございます!

          ホラー小説部門に出した長編が完結しました! 滑り込みです💦間に合ってよかった😭 めちゃ難しい話になってしまったけど、読んでくださってありがとうございました!ハートもいっぱいありがとうございます!

          照魔機関 最終話 桑原の巫女

          みとし村を見ている 異界が消え、天井裏から田原梅の遺体が降ろされた。  冷たい祖母の体を、田原は強く抱きしめた。たった一度の過ちで、永遠に奪い去ってしまった祖母の温もりを、追い求めるように……。  その姿を見た逢は、田原が自分達を殺そうとしたのは、保身の為じゃなくて、機関の捜査官である自分達から、悪霊になった祖母を守ろうとしたからだったんじゃないか、という考えが浮かんだ。  サイレンの音が近付く中、一瞬——生きていた頃の姿を取り戻した梅が、田原を抱きしめている光景を見た

          照魔機関 最終話 桑原の巫女

          照魔機関 第13話 天井下り事象 大詰め

          住処 午後10時近く、中島は呼び鈴を鳴らした。 「中島さん? どうしたんですか、こんな時間に——」  戸を開けた人物は、中島の後ろにいる二人を見て表情が強張った。 「こんばんは、田原さん。先日、うちの加藤捜査官が、札をあなたに渡して、そのときに結界の張り方と注意点を説明したそうですね。 『一度張った結界は、ある法則で札を破かない限り、破られる事はないから安心だ。そう言って実演して見せた』と、つい先程彼から伺いました。  結界を張ったのは、お婆様のお部屋ですか? 綻び

          照魔機関 第13話 天井下り事象 大詰め

          照魔機関 第12話 囲

          【みとし村事象についての報告】————フィルターの一部解除に成功しました———— (1939年6月2日)  みとし村の神:おみとしさま  特徴:村人を見ている  みとし村には【囲】という奇妙な風習があり、村人は死後、おみとしさまになってもそれを続けている。  囲は、1年ごとに村人が投票で1人を選び、迫害するというもの。  迫害の対象者が出た家は、次の投票が終わるまでの1年間、対象者を座敷牢に閉じ込めなくてはならない。これは対象者を、村人とおみとしさまから守るためと伝

          照魔機関 第12話 囲

          照魔機関 第11話 アイは名前を書けない

          当機関が有する桑原珠月についての記録 ————閲覧中のページは、フィルターにより保護されています————【神無四辻 事象】  当機関が初めて存在を確認した時、■■神は、守り神の■護が及ばぬ辻に顕現し、辻神を食らっていた。  その食欲たるや凄まじく、中世以前は朝に■■、夜には三百の■■■■を飲干ししていたと推測される。  その凶暴さから、■■■辻神と混同され■■■■、■■辟邪■に描か■■■■と同じ類の怪異■■■■■■■■。  機関が■■■■■怪異の■■■■■■■■■■■■

          照魔機関 第11話 アイは名前を書けない

          照魔機関 第10話 辻のおみとしさま

          大野家と空き家の間にある神の目まで来ると、 「逢さん、念のため離れていて。絶対に見ちゃ駄目だよ」 と、釘を刺した。 「四辻さんは大丈夫なんですか? 村に来た時、辻の前で失神しちゃったじゃないですか」 「さっき何とかなったから、今度も大丈夫」  逢は頷くと、辻とは反対側の土手に歩いていった。  駄目だと言われると、余計に気になってしまう。辻から意識を逸らす為、逢はノートを取り出した。捜査の進捗や、破かれた札の事についてなど、書き記すことは山積みだった。  タブレットを使わ

          照魔機関 第10話 辻のおみとしさま

          照魔機関 第9話2/2 天井下り事象 禍害降る家

          異界天井と新しい仮説「おかえりなさい。異界の入口と遺体を見つけたんですか?」 「どちらも見つからなかった。でも、だからこそ分かったことがある」  子供部屋に戻ってきた四辻は、埃まみれのマスクとゴーグルを外し、天井を眺めた。 「天井下り——妖怪の名を借りたこの事象。案外、的を射ているかもしれない。  大昔、天井は異界視されていた。現在でも、天井裏というものは、普段見通す事のできない身近な異界だ。天井下りがぶら下がる天井は、天井の姿を借りた異界なんだよ」 「それが、霊が

          照魔機関 第9話2/2 天井下り事象 禍害降る家

          照魔機関 第9話1/2 天井下り事象 禍害降る家

          田原の証言 中島は遺体を町に運んでいった。遺体は町で機関に引き渡され、検死が進められることになっている。  祖母を気にかけ、帰ろうとする田原を、四辻は思い出したように呼び止めた。 「すみません、田原さん。もう何点か確認することがありました」 「なんでしょう?」 「消えた遺体は、全員発見されていますか?」 「報告漏れの心配でしょうか? 今日発見した田畑さんも含め、消えた村人6人とそちらの捜査官1人……間違いなく、7人全員発見されています」 「では、事象が始まる前から

          照魔機関 第9話1/2 天井下り事象 禍害降る家

          今日は一日お仕事でした💦 創作大賞の締め切りギリギリ…明日できれば全話投稿したいなぁ 校正さえ終われば間に合うはずなので、頑張るしかない…

          今日は一日お仕事でした💦 創作大賞の締め切りギリギリ…明日できれば全話投稿したいなぁ 校正さえ終われば間に合うはずなので、頑張るしかない…