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【5月読書記録①】『見果てぬ王道』

今年のGWは9連休!ということもあって、
意気込んで本を借りてみたものの、実際に読んだのは2冊だけでした。(笑)

いずれも明治から昭和の日本を舞台に、
世界を股にかけて生きた「ある男」の物語です。


『見果てぬ王道』川越宗一

無名の主人公が、破天荒すぎる。

主人公は「辛亥革命」を成し遂げた孫文を支えた男、梅屋庄吉。

庄吉は実在の人物で、明治の長崎県に生まれ、
中国の革命家である孫文と香港で知り合い、
彼の革命にかかる活動を生涯支えていた人物です。

正直、この本を読むまで「梅屋庄吉」という人物が
実在していたことすら知らなかった。
「学校の歴史の授業でも習わなかったよな~」と思ったけど、
中国革命に関することは一切公開してはならないという庄吉のメモのもと、
国交正常化まで情報を公開しなかったため、らしい。

でもこの人すごい。すごすぎる。

外国との貿易が盛んな長崎に生まれ育ったこともあり、
国際感覚がめちゃくちゃ優れているグローバル人材なのです。

10代の頃から船で朝鮮に米を売りに行き、
アメリカ留学を目指すも乗っていた船が沈没、
長崎に戻ってから九州で鉱山開発をしたのち、
日本とマレーをつなぐ人材派遣のような仕事を試みたものの、失敗し挫折。
上海で知り合った女性と香港で写真館を創業し、
シンガポールでは活動写真を流行らせ、
日本に戻って活動写真(映画)会社を起業して、
日活の創業者の一人となっています。

「人に歴史あり」というけど、歴史ありすぎるやろ。
明治の日本にこんなグローバル人材がいたとは、正直驚きでした。


共通の願い「王道を作る」

庄吉は、稼いだお金を孫文の活動を支えるために、
惜しげもなく提供します。
生涯で孫文たち活動家に援助した資金は、
現在の貨幣価値で1兆円を超えるとか!!(やばい)

庄吉がここまでして孫文を支える理由はひとつ。
孫文が香港で庄吉に語り掛けた夢である、
「王道」をともに成し遂げようとしたから。

それは、中国とその周辺の東洋諸国がお互いに富み栄え、
お互いに尊重と友好をもって交わること。

この「王道」を東洋に作るために、
庄吉は商人らしく、資金援助の形で革命を支えます。

「自分にできることはこれしかないから」と
誰も真似できないほどの巨額の資金と武器を援助する庄吉。

まじで漢すぎる。


【感想】自由で破天荒で、失敗を恐れない大人がいてもいい

本を読み終わって感じたのは、ふたつ。

「こんな自由で破天荒で、失敗を恐れない大人がいてもいいんだ」

先行きが不透明で、何かと不安を煽られる時代になっちゃってますが、
もっと自由に、思うように、自分が信じる道を選んでもいいんだと
庄吉には勇気をもらいました。

安定した仕事がなくても、貯金がスッカラカンでもいい。
自分が「こうだ」と思えるものに全力を注ぐ。

そういう人を認め、支え、面白がる大人がいれば、
失敗ややり直しに寛容な世の中になるじゃないかと思います。

「ほんの数人から始まった活動でも、国を大きく動かすことができる」

辛亥革命という教科書に載るような大きな出来事も、
最初は数人の同志たちの集まりから始まった、という単純なことに
改めてハッとさせられました。

「革命を起こすとかそんな大それたこと私にはできへんわ~」と
思っていたけれど、
自分や周りのために何か行動をすることが
大事なんじゃないかと思えてきました。

たとえば、
・政治に関心をもって、ちゃんと選挙で投票すること。
・困っている人たちの声に耳を傾けること。
・環境にいいものを選んで買うこと。

それくらいから始めてみればいいのかなぁと、思ったりしました。


400ページのボリュームのある作品だったけど、
庄吉のおかげでグイグイ読み進めることができました。

歴史や長崎に興味がわいた方はぜひ読んでみてください!


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