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男同士のうすきみ悪い約束 パート2 〜嗚呼、職人の絶望日記〜

元同期と某山頂で、京都タワー消灯の瞬間を見逃したのは約1年前のできごとである。

そして先月、ふたたびチャンスがめぐってきた。

元同期のヤマダ君が大阪から遊びに来てくれることが決まった。

もちろん、有無を言わさず「キャンプな」とメールを送っておいた。

しかし、当日はあいにくの雨。
仕方ないので、仕事場の2階でゲームをする。


しかし、ヤマダ君である。
「きゃじょー君やったら、雨でもキャンプ行くって言うと思ったけど。」

ちょっと待ちたまえ。
雨の中キャンプをするのも青春だけど、
懐かしのゲームをするのも一つの青春だよ。

と、言いつつも、雨の中キャンプをするのがめんどくさかったというのが本音だ。
数年前まで持っていたムチャな勢いはなくなっていた。

ヤマダ君は見た目も中身も文化系なヤツなのに、なぜそんな攻めた発言をするのだ。
趣味は寝ること。休日の過ごし方は寝るだけ。
という男のはずなのに。

こんな日は、懐かしのゲームで盛り上がって、大人しく寝るにかぎる。

はずだったのだが、ケーブルの故障で音の出なくなったスーパーファミコンのつまならないこと。

しかも降っていた雨は止み、月がくっきり見えるほどに。

そして、ヤマダ君である。
「キャンプできるな。」

だから君は圧倒的インドア派なのにどうしてそう攻めてくる、、、

早寝早起きをモットーとする私はすでに猛烈な眠気に襲われていたが、この好機を逃せば、「いつまでたっても青春倶楽部」の部長としての名が廃る。

1年前に果たせなかった約束、「山頂で京都タワー消灯の瞬間を見届ける」ことを今年こそ。
そうして急いでキャンプの準備をして登山口へと向かった。

そんなわけで、登山開始後5分足らずでひどく後悔していた夜の10時半だった。


なんとか山頂にたどり着いたのが午前0時まえ。
疲労と眠気がピークに達したぼくは、テントに入ってすぐにうずくまる。

京都タワー消灯まであと2分というタイミングでヤマダ君に起こしてもらい、市街地が見渡せるところまで行ったが、、、

なぜか2分前にすでに京都タワーは消灯していた。

男同士の薄気味悪い約束は今年も叶わなかった。

みなさまのご支援で伝統の技が未来に、いや、僕の生活に希望が生まれます。