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理想のカツ丼を求めて PART3

2013年11月28日 自転車日本一周の旅 75日目 山口県

昨日、一昨日と日本海の沿岸を走っているが全体的に閑散としている。
気温も急に落ちてきて一気に冬の空気になってきた。

お昼過ぎに現れた商業施設で昼食をとることにした。
平日でランチタイムのピークを過ぎているからか、広い店内で私の他に客はいない。
厨房では数人の年配女性が立ち働いている。

もちろんカツ丼を注文する。
吉本ばななさんの『キッチン』に出てくるような「大将、これ美味しいですね!」が出るかもしれない。

お店のお母さんが横を通った時に、その一言は出た。

「この漬け物、うまいっすね!」

この食堂では十種類以上の漬け物が食べ放題なうえに、どれもおいしくてついカツ丼よりも漬け物の方を褒めてしまった。

「若いのに漬け物が好きなんて珍しいね。たくさん食べてくださいね。」
と優しい笑顔で漬け物を進めてくださる。
冬の日本海で冷えた心があったまる。

セルフサービスのお茶を汲みに行った時に、厨房の方から「いま来てる子がね、漬け物が美味しいって言ってて、~」
と話す優しげな声が聞こえて、なんだかほっこりした。

漬物をたくさん食べて会計をしようとレジに行くと、さっきのお母さんが出てきた。
伝票を渡すと、「お代はいいわ」と優しげな笑顔で言われた。

「え、でも、、、」と戸惑ったが、お言葉に甘えることにした。

機会があったらあの時のお礼を言いに行きたいと思う。

つづく




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