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私のお気に入り

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私のセンサーに引っかかったもの。ノンジャンル。
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#浜田寿人

未だに化学調味料を否定する、勉強を忘れた無知なる人々

今年もこの時期がやってきたかーと思うのが、この化学調味料論議である。以前、僕の見解は以下のコラムでまとめてある。基本的にこの議論は科学を否定している人たちのある意味、危険な宗教的な発想にあると思っていて、僕はよく自らの料理においても、この化学調味料危険説を否定している。 基本的にアミノ酸が旨味成分であるということは科学的に解明されており、この解析作業事態が日本の食生活に大きく関わっているベースからのものだというのを多くの人が知らない。言い換えると日本の食生活に何気なく取り入

タダに対価を求める愛がない人たち

よく僕のところに来るのは宣伝するので無料で料理を作って欲しいという依頼だ。どんなに大物でも無料でと言われた瞬間に僕はお断りするようにしている。それはWAGYUMAFIAが無名だったから頃からもそうだし、WAGYUMAFIAの前身のキッチンイベントからもそうだ。物事には対価というものがある、だから僕はタダというのが嫌いだ。周りからは某有名なアトラクションなんかは1ポストに数百万とか払っているんだから、絶対やるべきとかそんなアドバイスももらうが、僕はプロとして料理をサーブしている

和牛輸出で輝き増す「頂点」戦略、日経インタビュー舞台裏

あまりご存知ない方も多いと思うが、WAGYUMAFIAのコアなビジネスのひとつがトップ生産者の和牛の輸出業だ。友人のレストランを除き、ほぼWAGYUMAFIAグループのみへの輸出を自社で行っている。このコロナ化でも順調に拡大をしており、和牛全体としても2021年は輸出高最高となり、輸出単価も回復したとのことだ。この和牛輸出の前線の取材を日経新聞からいただき、僕の想いみたいなものを語った。それが以下の記事だ。 輸出単価が回復したというのはとてもいい兆しだ。日本人はとにかく安く

仕事のプロセスを飛び級して伸ばしていく方法論

僕はまずは一人で全部やってみることを大切にしている。それは僕自身、まずは自分でやらない限り、人に説明できないタイプだからだ。和牛を触るときもその道のプロ中のプロたちとの交渉になる、だからこそ全てのファンクションでの修行をしてきた。そしてそこから見えた自分なりの方程式から導いた答えというものを出していく。その一つがWAGYUMAFIAだった。屠場、小売、焼肉屋・・・そういうところでの短期修行がなかったら、今の自分はなかっただろう。短い時間で僕が分析するのは、どうやったら飛び級が

パクリとオマージュの違い

料理というのはほぼすべての料理が模倣から生まれている。火を起こしたのも誰かだし、その誰かを真似したのが次に火を起こした人である。ただ僕はパクリとオマージュには明確な差があると思っている。それは原案に対してのリスペクトの有無である。 どの分野もそうだと思うが、劣化コピーはパクリだと思っている。上位互換のみがオマージュである。この2つの差異みたいなものを考えてみる。要は原案をとことん愛さないと、上位互換みたいな奇跡は生まれないのだ。きっと火を起こした人やその事実に対してのリスペ

牛丼(並)の値段が過去最高金額だという。

以前にもこのコラムで触れたが、コロナでの輸送問題、減産問題、そして中国の大陸全体での肉食化なども手伝って、食材の値段高騰が止まらない。いよいよ吉野家も牛丼並盛で426円、すき家が400円と10%以上の値上げを敢行した。USのタンの値段は落ち着いてきたようだが、中国でも人気のバラ肉の値上がりは止まらないだろう。 常々僕は高単価戦略こそがこれからの飲食店が生き伸びる唯一の活路だと説いている。低価格だから売れるという幻想は、上記にあげた食材調達費のコスト増などの世界的要因をみても

美味しいレストランは沢山あるが、楽しいレストランは圧倒的に少ないということ

世の中に美味しいレストランというのはごまんとある。海外が長かった僕からすれば東京のほぼ全てのレストランが旨いわけだ。ただし楽しいレストランは本当に少ない。不思議なことにみんな美味しいレストランを目指し、楽しいレストランは目指すことを忘れている人が多い。美味しいレストラン=レッドオーシャン、楽しいレストランはほぼ皆無なブルーオーシャンにも関わらずだ。 楽しさというのは美味しさよりも共有出来ることを知っているだろうか?僕は元々映画業界にいたのでよく分かる。楽しい映画はみんなが笑

FL比率というダサい言葉

飲食ビジネスの中でよく聞く言葉、FL比率という数字がある。FLは、FOOD & LABORの頭文字。すなわちFoodコストとLaborコストである。この2つのコストの合計と飲食店の売上高を比較したものが、FL比率。飲食系の人に会うと大抵このコスト比の話しを聞かれる。もちろんコストコントロールは重要な話しなのだろうが、僕はこのFL比率で話す人たちはコスパで話すフーディーたちと同じぐらいダサい人たちだと思っている。 はっきり言おう、FL比率という概念はすでに古い飲食の考え方だ。

コストパフォーマンスほどダサい言葉はない

香港にオープンしたMASHI NO MASHIを日本に逆輸入すると決めたときに、1万円のラーメンを作る決心をした。すべてにおいて妥協をせずに、それでも美しすぎずしっかりストリートなラーメンを作りたい。そして生まれたのがWAGYUJIROだった。1000円の壁がある日本のラーメンの世界、それならばいつものようにありえない手間と食材を使って、更にハードルをあげてみるというチャレンジだ。 シンガポールに住んでいたときに不思議なことがあった、海南鶏飯(ハイナンチーファン)がどんなこ

化学調味料を否定する危ない食文化

昨日の何気ない日本のコンビニについてのコラムをポストした途端に、化学を否定する方々からのコメントを数本頂いた。だいたいの趣旨は、コンビニ=化学調味料・添加物に汚染されているから危ないという趣旨のものだ。こういう人たちのことを僕は無化調論者という、要は自然が一番いいという思想の人たちだ。 まずその最たる例が味の素に代表される旨味調味料だ。味の素の主成分はグルタミン酸ナトリウム(MSG)という旨味成分である。この旨味を発見したのは1908年に東京帝国大学理学部化学科の池田菊苗教