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仕事のプロセスを飛び級して伸ばしていく方法論

僕はまずは一人で全部やってみることを大切にしている。それは僕自身、まずは自分でやらない限り、人に説明できないタイプだからだ。和牛を触るときもその道のプロ中のプロたちとの交渉になる、だからこそ全てのファンクションでの修行をしてきた。そしてそこから見えた自分なりの方程式から導いた答えというものを出していく。その一つがWAGYUMAFIAだった。屠場、小売、焼肉屋・・・そういうところでの短期修行がなかったら、今の自分はなかっただろう。短い時間で僕が分析するのは、どうやったら飛び級が出来るかということだ。

僕は「和牛で世界一」になるという目標でWAGYUMAFIAを始めた。真剣にそう考えたのは37歳の時だった。40代にまた新たなチャレンジをしたい、そしてそれは心のそこから楽しめ、そして社会的に意義があることをしたい。それが僕にとって和牛だった。WAGYUMAFIAが立ち上がったのが2016年、ターゲット達成の目標は10年間と決めていた。そう考えると、逆算の10年で何ができるのか?ということを考えないと、やみくもに時間のみが過ぎていく。だからこそ、自ら手を動かし続けることによって、どこを飛び級するのが一番効率的なのかを徹底的に考えた。

相方の堀江が鮨屋で20年間の修行は要らないという話しをしたことがある。僕もその考え方に100%賛同している。以前、映画業界にいた時に誰もが知る世界的な監督のインタビューの時だった。若い男の子でラインをもって音声に付き添っている研修生みたいな子がいた。その子にこう質問した。「君は将来なにをしたいの?」ハニカミながらその子はこう答えた。「映画監督です。」監督はこう答えた。「だったら、今すぐそのケーブルを持つ仕事をやめて、映画を取り始めた方がいい。ケーブルを持っていても一生映画監督にはなれないよ。」このダイアローグを僕は常に思い出すようにしている。そして同時に現場経験をして既存の流れを一通り理解してから、一気に飛び級する方法論を模索した方がいい。

不思議なのは飛び級をしつつも、現場の泥臭い仕事も同時に一緒にやった方がいいということだ。それは自分がどの職業なのかということをショーケースすることでもあり、また現場の空気を吸うことで自分の現在の状況というものが分かる。飛び級スピードも増してきたが、僕のキッチンに入る数も増えている。どちらも車輪の両輪のようなもので、頭で全て考えていたとしても飛び級はできないし、頭を使わずに現場仕事していても同じ結果となる。以前中東の国王の会食時に、庶民の気持ちを聞くためにタクシーの運転手をしばらくやったと聞いて驚愕したことがある。彼も現場に出ないと、頭で考えているだけではダメだということを教えてくれる。


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