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FL比率というダサい言葉

飲食ビジネスの中でよく聞く言葉、FL比率という数字がある。FLは、FOOD & LABORの頭文字。すなわちFoodコストとLaborコストである。この2つのコストの合計と飲食店の売上高を比較したものが、FL比率。飲食系の人に会うと大抵このコスト比の話しを聞かれる。もちろんコストコントロールは重要な話しなのだろうが、僕はこのFL比率で話す人たちはコスパで話すフーディーたちと同じぐらいダサい人たちだと思っている。

はっきり言おう、FL比率という概念はすでに古い飲食の考え方だ。昔はフレンチだったらこのぐらい、居酒屋だったらこのぐらいみたいなFL比率のセオリーみたいなものがあったらしい。今から独立する人でその比率でスタートしたら間違いなくエンドは近い。

飲食業をしていてとにかくFを下げていこうなんて考えている人は、アパレルで原価10%代で洋服を作ろうとしている人たちと同じだ。WAGYUMAFIAでは常により良い素材を探している。和牛はもちろんのこと、ウニも最高級、キャビアも最高級、醤油も最高級、米も最高級・・・もちろん酒も最高級だ。とにかく自分たちが最高に納得いかないものは出さないというのがポリシーだ。Fコストを下げる=品質を落とす、食べ手なんてそこまで気にしないとか分からないとか言っていたら、当然スタッフもそういうマインドでゲストに対応するに決まっている。最高級のものを出したいという思いで接客するのと全く違うのだ。

一番重要なのは、L比率について、これは設計次第で下げられるはずだし、下げる努力をしなかったらその飲食の先はない。人件費も必要人数の積み上げであって、そこに対して、高単価、そして少数精鋭、あとはアウトソースプレイヤーも含めて他社と共存することで、無駄な人を抱える必要はなくなってくるはずだ。どうせならば、どんどん辞めて新しい働き手を募集していくよりも、少数精鋭で頑張っているスタッフがもっと報われる仕組みを作っていった方がいい。

だから「君のところのFL比率教えてよ」って言われると、実にセンスがないなぁっと思うのだ。不思議なのはこの業界のうち、誰一人として利益率を聞いてくる人がいないということだ。このことからもFL比率を追いかけても利益が出ない体質は変わらないということがよく分かる。


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