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牛丼(並)の値段が過去最高金額だという。

以前にもこのコラムで触れたが、コロナでの輸送問題、減産問題、そして中国の大陸全体での肉食化なども手伝って、食材の値段高騰が止まらない。いよいよ吉野家も牛丼並盛で426円、すき家が400円と10%以上の値上げを敢行した。USのタンの値段は落ち着いてきたようだが、中国でも人気のバラ肉の値上がりは止まらないだろう。

常々僕は高単価戦略こそがこれからの飲食店が生き伸びる唯一の活路だと説いている。低価格だから売れるという幻想は、上記にあげた食材調達費のコスト増などの世界的要因をみても確実に終わったのだ。吉野家での牛丼(並)価格変遷をみてみよう。1965年は120円、僕が生まれた時代の70年代後半には300円、そして90年には400円、そこから過去最高値の426円へと到達。牛丼史上過去最高金額と伝えられているが、ちょっとまって欲しい。半世紀近くたって、121円しか上がっていないということが何を意味しているか考えた方がいい。異常なことだ。

皆が忘れてしまうのは、安いものはある日突然なくなってしまうということだ。刹那的にみると安上がりに仕上がることで食べ手が得をすると思われがちだが、今は牛丼チェーンが利益を削って大変な思いをしている。これが1杯、1000円になったとしよう。ユーザーからは不平不満が相次ぐだろうが、長い牛丼の歴史で考えてみたら、よりよい牛丼を強固なサプライチェーンを築きあげて、供給し続ける体制を確保できるはずだ。

例えばこう考えてほしい、スーパーに言ってUSのバラスライスを買ってきて、一から牛丼を作って欲しいのだ。労力と値段的にも全く400円で提供できないことが良く分かるはずだ。自分がこよなく愛する食には少しでも投資し続けられるかが、実は食を絶やさないために消費者が出来ることだということを忘れないで欲しい。「昔は日本でも牛丼食べられたんだよ」と将来言われないようにしたいものだ。


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