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タダに対価を求める愛がない人たち

よく僕のところに来るのは宣伝するので無料で料理を作って欲しいという依頼だ。どんなに大物でも無料でと言われた瞬間に僕はお断りするようにしている。それはWAGYUMAFIAが無名だったから頃からもそうだし、WAGYUMAFIAの前身のキッチンイベントからもそうだ。物事には対価というものがある、だから僕はタダというのが嫌いだ。周りからは某有名なアトラクションなんかは1ポストに数百万とか払っているんだから、絶対やるべきとかそんなアドバイスももらうが、僕はプロとして料理をサーブしている以上、しっかりとWAGYUMAFIAの金額をいただくことをしている。

昨日もそんな話だった。日曜日に急遽東京に帰ってきて、フルコースを作りそして撮影をする、そんな段取りだった。コース金額の話をすると難色が示された、僕は自分のポリシーを曲げない。彼らも僕らが宣伝したら、1500万円ぐらいの価値があるとの数字的な効果も示してきた。それでも僕はタダ飯を作ることが大っきらいだ、当たり前のようにお金を払ってくださる僕らを支えてくれているゲストにも失礼だと思うからだ。僕のポリシーを伝えると、"Understood, Let's see you next time"と、サクッと断ってきた。その文面をみて、やらなくてよかったなぁっと思うのだった。まぁ、僕らのコンテンツなんて彼らにとっては実はそんなもんなのだ。

面白い話を聞いた、カットモデルとして色々な雑誌に出ていた人からの話だ。どこに行ってもカットは無料になるらしく、ひとつのサロンだけはどんなに有名だろうがしっかりとお金をもらうというサロンがあったらしい。大物からは怪訝の顔をされて、いかに自分が有名か、それに対してタダにせずに請求するとは何事か?と怒られるらしいが、それでもそのサロンの話はいい話だなぁっと思うのだった。僕らのWAGYUMAFIAは広告宣伝に1円も使ったことがない。結局タダに対価を求める人というのは、それぐらいの人たちで僕がいうところの超常連にはならない人たちだ。お金に対して敏感な人は、ビジネスも人としてもしっかりしている人が多い。

料理というのは愛情だと思う。食材を作る人、集める人たちも愛情がないと出来ない仕事だ。その愛を受け継いで、その人のことを考えて料理を作る。だからその愛のバトンタッチが出来ない人は、どんなに有名だろうが、どんなに影響力があろうが、僕らにとっては必要ない人たちなのである。これは結構シビアな線引だが、ある程度背筋をシャンと伸ばして、毎日凛と生きていきたいものである。



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